ランニング中に目指すべき平均心拍数とは?

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運動生理学者によると、それはさまざまな要因によって決まる。 詳細をここでチェックしよう。

最終更新日:2025年2月6日
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ランニング中に目指すべき平均心拍数とは?

心臓が激しく脈打ち出すまで、その鼓動に意識を向けることはあまりないかもしれない。しかし、ランニング中の平均心拍数を把握することは、アスリートとしての成功を収めるうえできわめて重要だ。

運動生理学者のジェイソン・マホフスキー(管理栄養士、CSSD、CEP、認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)は、「トレーニング中の心拍数を追跡することで、どれだけハードな運動をしているか、そして休憩や休養中に体がどのくらい早く回復しているかが分かります」と述べている。 「また、有酸素トレーニングから無酸素トレーニングに移行する段階の特定にも役立ちます」

このガイドを使って、ランニング中の適切な心拍数を把握しよう。

ランニング中の心拍数に影響を及ぼす要素

一般的に、いわゆる「適切な心拍数」を決める要素はいくつかあり、たとえば次のようなものが挙げられる。

  • 年齢
  • 体重
  • 有酸素能力・体力
  • 遺伝

速く走ったり、坂道を走ったりすれば、自動的に心拍数は大幅に上昇する。 だが、心拍数を上げる要素は他にもある。たとえば次のようなものだ。

  • ストレスや不安
  • その他の医学的状態
  • 一部の薬物治療
  • 高い気温と湿度
  • カフェイン、アルコール、ニコチン

最大心拍数

最大心拍数を計算する最も簡単な方法は、220から年齢を引くことだ。 たとえば、40才の人なら180が1分間あたりの心拍数(bpm)の最大値となる。

「しかし、この計算方法は注意して使わなければなりません。心拍数は個人差が大きいからです」と述べるのは、運動生理学者のトッド・バッキンガム博士だ。 「これはあくまで40才の最大心拍数の平均値であり、これより多い人もいれば少ない人もいます」。言い換えれば、ベテランのアスリートであれば、同じ年齢だがそれほど健康でない人よりも最大心拍数は低くなる可能性が高い。

ランニング中に目指すべき平均心拍数とは?
ランニング中に目指すべき平均心拍数とは?

ランニング中の適切な心拍数

「ある人にとっては “適切” な心拍数でも、別の人にとっては高すぎたり低すぎたりします」と博士は言う。 それよりも、ランニング中の目標心拍数、つまり最大心拍数を基準にした心拍数の範囲について考えた方が役に立つかもしれない。

アメリカ心臓協会(American Heart Association、AHA)は、強度が中程度のランニングには、最大心拍数の50~70%を維持することを推奨している。 つまり40才の人が中程度のランニングをする場合は、90~126bpmを維持することを目安にするといいだろう。

全米陸上競技連盟(USA Track and Field)およびロードランナーズクラブオブアメリカ(Road Runners Club of America)の認定ランニングコーチであるマーニー・クンツによると、スピードワーク(テンポ ランなど)の場合は、心血管関連の基礎疾患がない限り、最大85%までが目安になるという。

さらに、一般的に最大心拍数の90~100%の運動を行う場合はあまり長時間にならないようにし、短時間で済ますようにクンツはすすめる。

ゾーントレーニング

ゾーントレーニングは、リカバリーランや難易度の高いワークアウト中に目指すべき心拍数を特定するのに役立つ。 トレーニングゾーンは5つあり、ゾーン1が一番楽な運動で、ゾーン5が全力疾走のレベルだ。 マホフスキーによると、ゾーン2とゾーン3は身体を有酸素運動に適応させるためのカギとなる。 それぞれのゾーンの違いについて、以下で簡単に説明しよう。

ゾーン2:このゾーンは最大心拍数の60~70%を必要とするので、基本トレーニングと考えてよい。 持久力が鍛えられ、向上するゾーンだ。「運動の初心者や趣味でエクササイズを楽しむ人の多くにとって、ゾーン2トレーニングのメリットは大きく、体への負担も軽いでしょう」とマホフスキーは話す。 「この強度の方が楽しく、長く続けられると感じる人もいます」

ランニングの初心者や、長期間のブランクから復帰してスポーツを再開した人は、まずはゾーン2のトレーニングに取り組むと多くのメリットを得られるかもしれない。 「それは、苦しい状態に対する耐性と、高負荷の要求に対する体の受容力によって異なります。特に、運動を再開する場合はなおさらです」と彼は言う。

ゾーン3:このトレーニングゾーンでは、最大心拍数の70~80%で運動をする。 このゾーンでのランニング中に会話をするのは不可能ではないが、長くは続かない場合が多い。 ゾーン3とは、つまりテンポペースを表す。

「一般的にゾーン3は、長期間にわたって持続可能なレベルではありません」と、マホフスキーは説明する。 「関節を痛めやすい人やランニング初心者は、ゾーン3に費やす時間に注意して、セッションの合間に体を十分に回復させるほうがいいでしょう」さらに彼は、酷使によるけがを防ぐために、適切なリカバリーが不可欠だと付け加える。

関連記事:ランニング後に最適なリカバリー方法

ランニング中に目指すべき平均心拍数とは?

心拍数が低すぎる場合や高すぎる場合に起きること

ランニング中に目標の心拍数を下回ることには、いくつかのデメリットがある。 適切な心拍数のゾーンでトレーニングすると、目標を早く達成しやすくなる、とバッキンガムは指摘する。 回復を目的としたランニングで心拍数が上がりすぎると、回復の妨げになってしまう。一方で、低すぎる強度で走っても運動適応は向上しない。 「トレーニングに慣れている人は、有酸素能力を向上させるために、高いレベルのトレーニングゾーン、特にゾーン3でのワークアウトを少し増やす必要があるかもしれません」とマホフスキーは話す。

だが、ランニング中に心拍数が上昇しすぎた場合の方が、より深刻な事態が引き起こされる可能性が高い。 最大心拍数に近付くほど、その運動を続けるために心臓(および体のその他の部位)に負荷がかかる。 強度を緩めなければ、心悸亢進や不整脈、息切れ、胸の痛みが生じる恐れがある。

ランニング中に心拍数が上昇しすぎると、誰でもこうした事態に陥る可能性があるが、心臓の持病がある人は特にその危険が高まる。 このため、心臓に持病がある人やその他心血管関連の疾患がある人は、万全の態勢でランニングに臨むためにかかりつけ医と相談することが必須となる。

マホフスキーは、次のような症状が出たらランニングを中止するように言っている。

  • 目まい
  • 動悸
  • 胸苦しさや胸の痛み
  • 呼吸困難
  • 血圧の著しい変化

心拍数を測る方法

ランニング中やその前後の心拍数は、以下の部位の脈動をチェックすることで簡単に測定できる。

  • 手首の内側
  • 肘の内側
  • 首の側面
  • 足の甲

上記いずれかの部位に人差し指と中指の先を軽く押し付け、脈を確認する。 次に15秒間、脈を数えて、それに4をかける。 これで心拍数を算出でき、 この方法を使えば、いつでもすばやく心拍数を確認できる。

しかし、この方法は利用しやすい反面、不便で実用的ではない、とマホフスキーは指摘する。

「腕時計やリストストラップ、チェストストラップなど、心拍数の追跡に適したツールはたくさんあります」と彼は言う。 「こうしたツール類に関する研究も盛んに行われています」

最も正確な数値を調べたいなら、心臓モニター(チェストストラップ)とスマートウォッチを両方購入することを検討しよう。 スマートウォッチなら心拍数のデータを保管できるため、時間ごとの傾向を把握することも可能だ。 データを集めるほど、自分にとって「適切」なランニング中の心拍数が分かるようになる。

さらにエキスパートからのヒントをチェックするには、Nike Run Club Appをダウンロードしよう。

公開日:2025年2月4日

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