伝統を受け継ぐ:ナイキ エア マグの進化
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未来を見据えたNikeシューズの誕生ストーリーをご紹介。
1989年、ユニバーサル・ピクチャーズは、マイケル・J・フォックス主演の有名なSF映画を公開。広く評価された。 この映画では、主人公がナイキ マグと呼ばれる電動シューレースのスニーカーを手に入れる。 しかし当時、自動でシューレースが締まる機能はなかった。映画の撮影中、背後にしゃがんだ人が後ろからシューレースを引っ張り、自動でシューレースが締まるように見せなければならなかったのだ。 数十年が経ちNikeが革新を続ける中、この映画は、一般の人々が購入できる特別エディションのナイキ マグ シューズの登場に影響を与えた。
「エア マグは、未来的なテクノロジーと、80年代にNikeが得たチャンスを実現させ、次の千年に向けて前進しています」こう話すのは、シニアブランドのクリエイティブスニーカーカルチャーとフットウェアキュレーションを担当するロバート・ウィリアムズだ。 「エア マグでは、HyperAdaptやAdaptテクノロジーなど、未来的なNike商品に採用できそうなデザインコンセプトやアイデアを探求しました。 テクノロジーと融合するユニークなそのデザインが、コラボレーションの基準となっています」
Nikeはまず、2011年にThe Michael J. Fox Foundation for Parkinson’s Research(パーキンソン病研究を支援する、マイケル・J・フォックスの財団)と提携して、一般の人々が入手可能なマグの初期モデルを開発した。 精力的なイノベーターであるティファニー・ビアーズとティンカー・ハットフィールドが、映画に登場するシューズのレプリカ制作を主導。 映画の公開から15年以上を経てシューズ再現への関心が高まり、3万人のファンがシューズの実現を求めるオンライン署名に賛同した。 未来的なディテールをアピールする1,500足限定のエディションは、パーキンソン病研究のためのオークションにかけられ、10日間で1,000万ドル近い資金が集まった。
「最初はマイケルと画像をほんの数秒共有しただけでしたが、ナイキ マグの背後にあるアイデアは、Nikeではるかに大きな何かを解き放ちました」Nikeのエグゼクティブチェアマンであるマーク・パーカーはこう語る。 「未知のイノベーションを追求することになっただけでなく、世界の特に大きな課題に立ち向かう力があると気付いたんです。 パーキンソン病との闘いに対する意識の向上をサポートする機会を得たことを光栄に思います」
5年後の2016年、パーキンソン病の研究を支援するために革新を続けたNikeは、マグの次のモデルを発売。オンライン抽選により89足の限定販売を行い、670万ドルの資金を集めた。 「電動のシューレース」はAdaptive Fitテクノロジーシステムの一つ。デジタル技術を活用して履く人の動きを感知し、シューレースを締めて適宜調整する。
「最初はフィクション作品のために作ったアイテムを現実のものとし、すべてのアスリートに役立つ新しいテクノロジーを発明しました」とパーカーは言う。
さらに数年が経ち、スポーツ用には使用されないアンティークのスニーカーのように扱われたナイキ マグを、オークションや再販サイトで目にするようになった。数万ドルで取引されることも多い。
2000年に設立されたマイケル・J・フォックス財団は、パーキンソン病を患う人々の治療法を見つけるための研究を加速させている。