進むだけ、改良を続けながら
Department of Nike Archives
実用的なランニングシューズとして生まれたペガサスは、40年間に及ぶ改良を経てNikeの主力製品となった。誰からも愛されるランニングシューズの歴史を振り返ろう。
Nikeで最も愛されるランニングシューズ。そんなペガサスの評価は、いささか単純に過ぎる。なぜなら40年にわたって、ペガサスには多数の変更や見直しが繰り返されてきたからだ。変更の多くは成功したが、失敗もなかったわけではない。長年にわたって、ペガサスは信頼の獲得だけを目標に成長してきた。
「誰もができれば変わって欲しくないと願うような製品。それがペガサスの宿命なのでしょう。だから本質を変えず、クオリティだけを高める作業に何よりも苦労しました」
クレア・ハミル(Nikeランニング元チームリーダー)
史上初となる2つ目のZoom Airユニットを搭載し、あらゆる天候に対応する通気性抜群のアッパーを採用。ニューモデル「ペガサス 39」の発表を記念して、ペガサスシリーズの歴史を振り返ってみよう。
1983年
Nikeが新製品のペガサスを発表。高性能と手頃な価格を両立すべく、中間価格帯のランニングシューズとしては初めて圧縮Airテクノロジーを採用した。たちまち人気を博した初代ペガサスは、Nikeがランニング愛好者たちの心をつかむきっかけになる。
1996年
革新的な企業として知られるNikeは、コアコンセプトを温存しながらペガサスのリニューアルを試みる。だがビジブルAirを搭載したペガサスには、ランナーたちから反発の声が続出。1998年、このラインは廃止された。
2000年
多くのランナーたちは、初代ペガサスへの愛着を捨てていなかった。そこでNikeランニングチームは、ペガサスの設計に徹底的な見直しを加える。ビジブルAirユニットを取り外し、シューズの内側にAirコンソールを装備。軽量性とクッション性を高めたペガサスは、優れたイノベーションによって人気を取り戻す。
2004年
ペガサスは、女性ランナー向けの設計が特に高く支持されている。発売から2年後、ペガサスのウィメンズモデルは独自のデザインとイノベーションを経て、完全な女性専用製品として発売された。
2018年
高度な検査と合計47,000マイルに及ぶ摩耗試験。約25か月の開発期間を経て、「エア ズーム ペガサス 35」が12色で発売された。この新モデルはペガサス史上最大の成功を収め、12か月で1,200万足を販売。徹底したテストによって、ペガサス 35は新しい伝統を創始した。
次世代のペガサスに着想を得た彫刻家ファビアン・エーフナーは、「Nike エア ズーム ペガサス 39:イノベーションアーティファクト」という作品を制作。最新モデルのペガサスを解体し、シューズに樹脂を詰めて並べ替え、デザインの背後にある再創造の歴史と包括的なプロセスを表現した。
過去40年の多彩なイノベーションが詰め込まれた「ペガサス 39」。この新モデルが、これからの40年の礎となることを願っている。