ランニングは本当に膝に悪いのか
スポーツ&アクティビティ
ランニングは膝に悪いとよく言われるが、実際にはそれほど悪いわけではない。 ただ、膝の痛みを経験したことがあるのなら、いくつか反省すべき点があるのかもしれない。
ランの最中やランの後に膝の痛みを感じたことがある人は、「ランニングは膝に良くないのか?」と考えたことがあるかもしれない。では、その疑問にお答えしよう。ランニングには関節の調子を整えるメリットがある一方、いくつか注意しなければならない点もあるというのが実際のところだ。
走ることが膝にどのような作用を及ぼすかについては、ランニングフォーム、走る距離、シューズ、健康状態全般などが関係してくる。 ここで、ランと関節の関係、そしてランニング中に膝の痛みを感じないようにする方法について説明しよう。
ランニング中に膝の痛みが引き起こされる原因
ランニング中、地面やトレッドミルに大股で着地するときは、常に足が最初の接点となる。 足は着地時にかかる衝撃を吸収し分散する役目を担うが、その衝撃は体重の3-4倍にも及ぶ。
こうした高負荷な動きが膝に負担をかけてしまうことになる。 ただし、負担がかかるからといって、ランニングが膝に悪いということにはならない。 膝の痛みや怪我を引き起こす要因で多いのは、オーバートレーニング、足に合わないシューズの着用、テクニック不足など。また、以前から患っている痛みが悪化してしまうケースもある。
さらに、十分な回復を待たずにトレーニングの回数を増やしすぎたり、強度を上げすぎたりして膝を酷使すると、ランナー膝(腸脛靱帯炎)、腸脛靱帯症候群(ITBS)、疲労骨折、膝蓋大腿疼痛症候群などの怪我を引き起こすことがある。
週に数回、定期的にランニングをしてもよいが、そのためには準備が必要だ。 ランニング初心者は、週に1、2回から始めるとよいだろう。ただし、セッションの合間に十分な休養とアクティブリカバリーを取り入れることを忘れずに。 経験を積んだランナーは頻度を増やしても構わないが、膝の痛みや怪我の防止のために、ランとランの間に適度な回復期間を取ることが大切だ。
回復期間中に炎症が収まり、筋肉へのダメージが修復されていく。 だんだんと筋肉が強くなり、ランニングで繰り返し負担がかかっても対応できる準備が整ってくる。 そのおかげで、筋肉がより効果的に関節への衝撃を和らげサポートできるようになり、怪我のリスクも減るというわけだ。
膝の健康を守るランニングフォーム
走り方によって膝の調子は大きく変わってくる。 間違ったランニングフォームは膝の痛みや怪我につながる。これを回避するため、次のアドバイスを参考にしよう。
- オーバーストライドをしない:ストライドが大きすぎると脚が真っすぐ伸びてしまう。 着地時に膝が曲がらないので、衝撃をうまく吸収できなくなる。 これを防ぐには、ストライドを小さくしてみよう。これでストライドのたびに膝がしっかりと曲がるようになるはずだ。
- 着地時の状態をチェックする:足が衝撃を受ける着地の際に、足が外側へ傾く傾向(サピネーション)がないかチェックしてみよう。 生まれつき甲高の人はサピネーションになりやすい。また、ランニングテクニックが不足していることも膝の痛みの原因として多くみられる。 足が内側に倒れ込みすぎる傾向(オーバープロネーション)も膝の痛みを引き起こす要因のひとつだ。 アーチが崩れると、膝と内転筋が内側に回転し、股関節と膝頭を刺激してしまう。
- 足中央部で着地する:『Medicine and Science in Sports and Exercise』に発表された2015年の研究によれば、かかとから着地するヒールストライクにより、膝蓋大腿関節への負担が増加し、結果として膝の怪我や痛みのリスクも増すそうだ。 つまり、足中央部での着地を心がけるのが得策ということになる。
- 自分に合ったランニングシューズを履く:衝撃を吸収し、膝への負担を減らしてくれるクッション性に優れたランニングシューズは欠かせない。 オーバープロネーションの人には、臀部と膝の回転を正常に保つために、土踏まずをしっかりとサポートしてくれるランニングシューズがおすすめだ。
膝の不調:ランニングを休むタイミング
走り始めて膝に痛みを感じるようなら、ランニングを中止しよう。 対処しながらランニングを続けられるシンスプリントのような怪我とは異なり、膝の不調は無理して走り続けると怪我につながるおそれがある。
走れないのはつらいだろう。でも、1日(あるいは数日間)休めば怪我の悪化を防げるかもしれない。場合によっては、怪我が悪化して何か月も走れなくなる可能性だってあるのだ。 そして、もし膝の痛みが改善されなかったり、悪化したりするようならば、予約を取って医師に診てもらおう。
変形性膝関節症といった特定の疾患がある場合は、ランニングを中止して、ウォーキング、アクアジョギング、エアロバイクやエリプティカルを使用したエクササイズなど、低負荷のカーディオエクササイズを試してみよう。
ランニングが関節の健康にもたらすメリット
これからもアクティブに身体を動かせるようにするには、関節の健康が大切であることは明らかだ。
- 『Cell Metabolism』に発表された2011年の研究では、筋肉量を増やせば加齢による筋力低下を予防できると伝えている。
- また、『BioMed Research International』に発表された2018年の研究は、エクササイズが骨密度を高め維持するのに役立つと報告している。
- 『Journal of Aging Research』に発表された2011年の研究によれば、慢性的な関節疾患を持つ場合でも、エクササイズには関節の可動性を高める効果が期待されるそうだ。
- 定期的な運動には、適切な体重維持と関節への過度の負担を避ける効果がある。
- 『European Journal of Applied Physiology』に発表された2016年の研究によれば、ランニングは膝関節の炎症を軽減する効果があるそうだ。
- 『PeerJ』に発表された2020年の研究は、ランニングには膝を保護する効果があり、結果として骨と膝関節軟骨が状況に適応しながら強化されていくと伝えている。
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