ジュースは健康に良いのか? 管理栄養士が解説

食事

栄養学のエキスパートがジュースのメリットを指摘。根拠のない主張を一蹴する。

最終更新日:2022年12月8日
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ジュースは健康に良いか? 管理栄養士が解説

健康とウェルネスの世界では、流行が生まれたり消えたりを繰り返している。ジューシング(ジュース搾り)も例外ではない。 ジューシングは、長年にわたって人気を博し(そして失い)続けている。 ジューシングには確かにメリットがあるが、一部には科学的な根拠なしに広まっている説もある。

知らない人のために説明しておくと、ジューシングとは、まさに言葉どおり「ジュースを搾る」ことだ。 「ジューシングとは、果物や野菜から汁を抽出または取り出すこと。多くの場合、果肉や食物繊維、種や皮などは捨て去ります」と言うのは、理学修士のマヤ・フェラー。フェラーは 登録栄養士(R.D.)、 認定栄養士の有資格者でもある。 しかし、ジューシングは健康的なのか?そして、大々的に語られているだけの効果が本当にあるのだろうか?

以下では、フェラーとブリタニー・モデル(理学修士、登録栄養士(R.D.)、 認定栄養士)が、ジューシングの効果と注意すべき潜在的リスクなどについて詳しく解説する。

ジューシングは健康的なのか?

端的に言えば、答えはイエスだ。ジューシングは健康的だ。 しかし、留意すべきリスクもいくつかある。

「数百年にわたりジューシングが食生活の一部となっている文化が数多くあります」とフェラーは言う。 「ジューシングは、微量栄養素と水分をすばやく効率的に補給できるのです」

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とはいえ、フェラーもモデルも、ジューシングを唯一の栄養源にすべきではないと口をそろえる。 ジュースだけでは十分なカロリーや栄養素を摂取できないので、あくまで自分の食習慣を補完するものとすべきだ。 フェラーによると、ジューシングに関する大きな問題は、バランスの取れた主要栄養素、炭水化物、脂質、そしてタンパク質が含まれていないことだ。

「主要栄養素とは、生きるために大量の摂取が必要な栄養素です」とフェラー。 「ジュースに含まれる主要栄養素は、主に炭水化物。ですから、ジュースだけではタンパク質と脂質が足りません。 また、ジューシングでは食物繊維を取り除きますが、食物繊維は多くの植物性食品に含まれる素晴らしく強力な成分です」。

満腹感をもたらし消化器系の健康をサポートする以外にも、食物繊維には数多くの健康効果がある。例えば、心臓病や糖尿病、高血圧のリスクを下げる効果がある。

ジューシングに期待できる3つのメリット

  1. 1.栄養素をすばやく摂取できる

    ジューシングの大きなメリットの1つは、簡単かつ多くの場合便利に、果物や野菜を食事に取り入れられる点だとモデルは言う。 自宅でジュースを作ってもいいし、市販のジュースを購入しても構わない。 どちらもよい選択肢だ。 だから、好みと予算に合わせて決めればよい。 市販のものを買う場合は、栄養成分表ラベルを読んで不要な添加砂糖に気を付けるよう、フェラーは推奨している。

  2. 2.ジュースはビタミンとミネラルが豊富

    ジューシング(すなわち、果物と野菜をジューサーに入れる行為)は、高濃度のビタミンとミネラルを手に入れる手段だ。 果物と野菜をジュースにすれば、さまざまな栄養素を摂取し、それぞれの効能を期待することができる。

    「例えば、ビートジュースには血圧によい効果をもたらす硝酸塩が豊富に含まれています。またクランベリージュースは尿路感染の予防に役立ちます。タルトチェリージュースは集中的かつ長時間の運動後の回復のために使われてきました」とフェラー。

    一方で、すべての食物にはメリットがあり、特定の1種類のジュースがほかのものより優れている、または「より健康的」ということではないと、モデルは説明する。

  3. 3.水分補給になる

    ジューシングに期待できる効果の1つは、水分補給だ。

    「ジュースはそのほとんどが水分で、炭水化物も含まれているので、ただの水より効率的に細胞の水分補給ができます」とフェラーは言う。

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一部の主張は誤り

ジューシングのメリットについては、さまざまな眉唾物の主張がある フェラーによると、その多くはしっかりした研究に基づいたものではないという。

例えば、「果物と野菜をすべて食べるよりもジュースにするほうが栄養素の吸収がよいという意見には裏付けがまったくない」とフェラーもモデルも口を揃える。 ジューシングには体のデトックスやクレンジング効果があるというのも、間違った情報だ。

ジューシングに考えられるリスク

ジューシングにはメリットがあるが、留意すべきリスクもいくつかある。 その1つが、搾りたてのジュースはすぐに飲まないとバクテリアの温床になり得るということ。これは、食中毒を引き起こしかねない。

「自宅でジュースを作る場合、一度に飲める分だけ作ってください。 搾りたてのジュースの中で有害なバクテリアがすぐに増える可能性があります」と言うのはモデル。 「市販のフレッシュジュースを買う場合は、有害なバクテリアの増殖を抑えるために低温殺菌された商品を選びましょう」

フェラーはまた次のように警告する。ジュースを一度に大量に摂取すると、ジュースに含まれる果糖(糖)の影響でお腹がゆるくなり下痢になることもある。 ジュースが薬と相互作用を引き起こす可能性もあると、フェラーは言う。 例えば、グレープフルーツジュースは一部の薬に干渉する。コレステロール、高血圧、不安感に対する薬だ。 だから、食事にジュースを追加しようと考えているなら、まず自分の医療提供者と相互作用の可能性について必ず話をしよう。

また、ジューシングは、糖尿病などの血糖値の問題を抱える人にとってはあまりよい選択肢ではないかもしれない。 「タンパク質または脂質と組み合わせずにジュースを食事として摂取すると、血糖値が上昇し、満腹感も長く続きません」とモデル。 一般的に、血糖値が常に高い(または急上昇している)状態だと、深刻な合併症のリスクが増す

結論

ジューシングは、果物や野菜の日々の摂取量を増やす優れた方法であり、食事の一環として取り入れやすいのもメリットだ。 フェラーによると、葉物野菜のグリーンジュースを1日1回飲むことにしている人もいれば、葉物野菜と果物のミックスジュースを週に数回飲んでいる人もいるという。

「好みの果物と野菜のバランスを見つけること、1回の食事としてではなく食習慣を補完するものであることを忘れないことが大事です」とフェラー。 ジューシングは自分には不向きというなら、それも構わない。 モデルによると、いつもの食事で十分な栄養を摂取できているなら、必要栄養量を満たすためにジュースを飲む必要はない。

文:ジェシカ・エストラーダ

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公開日:2022年12月8日

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