就寝前の食事は体に悪い? エキスパートの解説

健康とウェルネス

この質問に回答することは、必ずしも簡単ではない。

最終更新日:2022年9月30日
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就寝前の食事は体に悪い? エキスパートが解説

理想としては、決まった時間にバランスの取れた食事をしたい。 しかし現実は、たいてい仕事や日々の営みによって、計画が乱されるものだ。 あわてて食事の用意をしたり、就寝間際に間食をとったりしている自分にふと気付いたとき、寝る前に食べるのは悪いことなのだろうかという疑問が湧くのも当然のことだ。

この疑問には明確な答えがないと専門家は認めているが、 就寝前の食事は望ましい行為ではないことを示唆するデータはある。 ここで知っておくべきことを紹介しよう。

就寝前の食事は体に悪い? エキスパートが解説

就寝前の食事が健康に及ぼす影響とは?

就寝前の食事は健康に複数の影響を及ぼす。 睡眠専門家で神経科医のW・クリストファー・ウィンター博士は「栄養の摂取と代謝が睡眠を妨げる可能性があります」と語り、 夜勤の看護師30人を対象にした2021年の小規模な研究に言及する。 この研究では、前日の夜、食事の時間が就寝時間に近い人ほど、次の日に眠気を感じやすくなることがわかった。

2021年に『British Journal of Nutrition』に掲載された研究でも、就寝前1時間以内に飲食すると、睡眠の質が低下するリスクが高まる可能性があることが判明している。 就寝前の飲食のせいで、体が必要とする時間より長時間眠ってしまう可能性もあるのだ。 この研究によれば、就寝の1時間前に食べたり飲んだりした人は、眠りに落ちた直後に目覚めるリスクが2倍以上高かった。これは、不眠症や睡眠の質の低下に結び付く。

「食事は強力な同調因子です。つまり、一定の時間に食事をすることが睡眠を導く強力な合図になり、寝る前に食べ過ぎたり食事をまったくとらなかったりすると体のリズムが乱されます」とウィンターは話す。 スパイスが効いた食べ物や脂肪分を多く含む食品を食べることも睡眠を阻害する要因になりうるとのことだ。

就寝前の食事は胃酸逆流の要因にもなると、管理栄養士のケリー・ガンズは指摘する。これは、胃の内容物が食道に逆流すると起きる症状だ。 米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所の説明によると、この逆流は、胸やけ、胸の痛み、吐き気、嚥下障害、咳といった症状を引き起こすことがある。「人によっては寝る前に食べると逆流が起きるかもしれません。気分が悪くなるうえ、睡眠が妨げられるおそれがあります」とガンズは話す。

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就寝前の食事が体重に及ぼす影響とは?

答えは、「場合による」だ。 「就寝前にたくさん食べることと、体重が増えたり減量が難しくなったりすることには、ある程度関連性があります」と話すのは、管理栄養士のジェシカ・コーディングだ。

その明確な理由を突き止めようと行われてきた研究で、「夜遅い時間に食べる人は、それほど遅い時間に食べない人より、全般的に摂取するカロリーが多い傾向があるという事実が明らかになりました」と語る。

何を食べるかも重要なのだ。 「夜遅くに食べるものは、カロリーは多くても栄養に欠ける軽食などになりがちです」

ガンズも同意してこう話す。 「寝る前に余分なカロリーを摂取すると、体重が増えるでしょう。 ただ、1日に必要とするエネルギー量の範囲内であれば、体重が増えるおそれはそれほどありません」

(関連記事:栄養士がすすめる、ワークアウト後に最適な高タンパクの軽食

就寝前の食事は体に悪い? エキスパートが解説

就寝の何時間前に食事を終えるべきか?

これも場合による。 睡眠の質を下げるリスクを減らすため、通常は、就寝の4時間以上前までに食事を終えるようアドバイスしているとウィンター。一方で、誰にでも当てはまる適切な時間についての研究はなかなか見当たらないことも認めている。

ウィンターによると、食事の時間が就寝時間に近い人は、胃酸逆流の症状も悪化しやすい。2007年に発表されたある研究で、就寝の6時間前までに食事を終えた人は、就寝の2時間前以降に食べた人より、症状が少なかった。 とはいえ、就寝のかなり前から食べないようにするというのは簡単なことではない。ほとんどの人は食後3時間ぐらい経つと空腹を感じるものだとコーディングは指摘する。

ただし、これも人による。

「胃酸逆流の症状がなく、いつもよく眠れるのであれば、就寝間際に食べても問題はないでしょう」とガンズは話す。

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就寝前に空腹を感じたときの対処法

就寝前に食べなければならなくなる状況は、いくつか考えられる。残業で遅くなることも、単に時間を忘れて空腹に気付くこともあるだろう。 「その場合は食べても構いませんが、食べるものには気を付けましょう」とコーディングは言い、

野菜類、食物繊維、タンパク質、体に良い脂質を組み合わせて食べるようアドバイスする。 「私は、就寝前の1時間は量の多い食事をとらないようにしています」

すでに夕食を済ませていれば、ナッツバターを添えたバナナや、フムスと野菜のような軽食をとってはどうかと提案する。 「糖質や脂質を多く含む食べ物は消化しにくく、睡眠を妨げるおそれがあることを覚えておきましょう」

いつも就寝間際にお腹が空くようなら、夕食の内容を見直したほうがいいかもしれないとガンズは話す。

「食事の量が少なすぎると、夜遅い時間にお腹が空くかもしれません」食物繊維、体に良い脂質、タンパク質を含む食事をとるよう意識するとよいとのことだ。

どうしても甘いものが食べたくなったときには、フルーツ1切れにギリシャヨーグルトをスプーン1杯添えるなど、空腹を満たしつつ、タンパク質も補給して栄養バランスを高められる食品を選ぶのがおすすめだとガンズは語る。

繰り返しになるが、就寝前にお腹が空いて食べても、睡眠が妨げられたり体重が増えたりすることがないようなら、就寝前の食事も問題ないとコーディングは言う。 「就寝前の食事についてはさまざまな見解があり、夜遅くに食べるのは体に悪いという考え方もあります。 でも、体が求めるものは人それぞれなんです」

文:コリン・ミラー

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公開日:2022年9月30日

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