インターバル走のメリット
スポーツ&アクティビティ
インターバルトレーニングには、ランナーの健康増進や脂肪減少、ペース向上など、さまざまなメリットがある。
ゆっくりとした定常状態のランニングがふさわしい日もある。 しかし、インターバル走に専念する方が効果的なときもある。 選択するインターバル走ワークアウトのタイプによって、健康、カロリー消費、スピード強化などに重点を絞ることができる。 インターバル走なら、どんな目的でも達成できるのだ。
次に、インターバル走とは何か、そしてそれがランナーとランナーのワークアウトにどのように役立つかについて説明しよう。
インターバル走とは何か
簡潔に言うと、インターバルトレーニングでは、一定のペースでしばらく走り、次に一定時間の休憩を取ることが求められる。
「インターバル走は高負荷のインターバルを伴うものだと誤解されがちですが、高速でも中速でも行えるし、低速でもよいのです」と、トッド・バッキンガム博士は説明する。彼は西ミシガンにあるMary Free Bed Sports Rehabilitation(メアリー・フリー・ベッド・スポーツ・リハビリテーション病院)でこの種のトレーニングの主任運動生理学者を務めている。
4タイプのインターバル走
1.高負荷インターバルトレーニング(HIIT)
高負荷インターバルトレーニング(HIIT)は、有名なワークアウト方法だ。 その効果は、脂肪燃焼や心肺機能向上など、科学的に証明されている。 HIITでは、短時間の高負荷無酸素ラン(最大心拍数の80〜95%になる強度)と短時間のウォーキングか軽いジョギングを交互に行う。 HIITのワークアウトはストリートやトラックで行うこともできるが、トレッドミルを使ったワークアウトを作成することも可能だ。
2.ファルトレク
「ファルトレクは、スウェーデン語で『スピードプレー』を意味します。一定の時間や距離をさまざまなスピードで交互に走ります」と、ニューヨーク市に住む全米陸上競技連盟公認ランニングコーチのブリアナ・ウィリアムズは言う。
スピードを上げるタイミングとその程度は各自が選択する。 ただし、止まって休んではいけない。ファルトレクでは、最後まで走り続けられるようにペースを調整することが求められる。 この方法は、中長距離のランナーのスピード持久力の強化に役立つと、ウィリアムズは述べている。 スピード持久力とは、ほぼ最高に近いスピードを長時間維持する力のことだ。
3.テンポインターバル
このトレーニング方法では、乳酸閾値(LT)かそれ以上のペースでインターバル走を行う。 LTを超えると、代謝副産物である乳酸が、体が分解できるスピードを超える速さで血中に蓄積する。 そうなると、筋肉が疲労して走り続けられなくなる。 ワークアウトにテンポインターバルを取り込むことで、体が血中の乳酸をすばやく分解できるようになる。 最もお勧めするのは、ランニングコーチと協力して自身のLT値を把握し、自分に合ったテンポインターバルワークアウトを見つけることだ。
インターバル走の5つのメリット
1.健康増進
「インターバル走は、適切にやれば、ほぼどのランニングタイプよりも速く健康レベルを高めることができます」と、認定ストレングス・コンディショニングスペシャリストで、TRAINFITNESSの臨床運動生理学者でもあるジャック・マクナマラは述べている。
ハードな運動の間にリカバリー時間があることで、体は着実に高負荷に慣れることができる。 また、高負荷のトレーニングにより徐々に心肺機能が強化されると、マクナマラは言う。
2.ランニングペースの向上
一定のペースで行うランニングと比較すると、多くの場合、インターバル走の方がより高負荷で総合的なワークアウトになる。 これはペースの向上にも役立つ。
たとえば、5Kランのペースが5分/キロのランナーは、6Kを同じペースで走ることはほぼ不可能だろう。 しかし、6Kをインターバルに分けることは可能だ。つまり、トラックまたはトレッドミルで400mを15回、自分の目標ペースで走ることならできる、とバッキンガム博士は言う。 上達するにつれ、休憩時間を短くしたり、インターバルの時間を伸ばしたりできる。 そして最終的に、6Kを5分/キロのペースで走れるようになる。
3.カロリー消費量の増加
インターバルトレーニングがきついということは、定常状態でのランニングより多くのカロリーを消費しているということだ。
『Journal of Strength and Conditioning Research』誌に掲載されたある研究では、エアロビクス、レジスタンス、HIITワークアウトのカロリー消費量を比較している。 結果は圧倒的で、HIITが他のワークアウトよりも30%多くカロリーを消費している。HIITを行ったグループの運動時間は、他のグループの3分の1だったにもかかわらずだ。
インターバルトレーニングでは、ワークアウトが終わった後もより多くのカロリーを消費する。 この生理的効果は運動後過剰酸素消費(EPOC)または「アフターバーン効果」として知られている。インターバルトレーニングは筋肉と心肺機能に非常に高い負荷をかけるため、体は全力で運動後の回復に努めなければならない。 それによってカロリーの燃焼が増えるため、負荷が一定の有酸素運動よりもずっと多くのカロリーを消費することになる。
たとえば、『Applied Physiology Nutrition and Metabolism』誌の2014年の研究では、20分間のHIITワークアウトを行った人が運動後24時間に消費したカロリーは、一定のペースで50分間サイクリングをした人の消費カロリーに匹敵することがわかっている。
4.トレーニングのバリエーションを増やす
決められた距離を同じペースで最初から最後まで走ると飽きてしまうことがある。 しかし、速度や斜度、時間が異なるインターバルに分けて走ることで、体と心の集中力を保つことができる。
さらに、インターバル走のワークアウトはさまざまなタイプから選べるため、飽きることはまずない。 「インターバルトレーニングをトレーニングプランに導入する方法は無限にあります」とバッキンガム博士は語っている。
5.時間効率の良さ
ショートランの時間しかない時でも、十分なフィットネス効果とカロリー消費を実現できるのが、短時間のHIITワークアウトだ。 実際、HIITワークアウトは15分くらいの短さにするのが理想的だ。 長すぎると疲れが出てHIITの効果が薄れてしまう。 そもそも、高負荷なランニングを長時間続けるのは至難の業だ。
インターバル走の始め方
インターバル走のスタイルの多くは、かなりハードである可能性があるので、初心者には注意が必要だ。 「未経験者の場合、高負荷インターバルは体に強いインパクトを与え、通常の緩いランニングと比べて筋肉に大きなダメージを与える可能性があります」と、バッキンガム博士は言う。 つまり、より強い痛みが生じ、回復に時間がかかるということだ。
最初は繰り返しの回数を少なくし、インターバルの時間を短くして、徐々に増やしていこう。 回復のためのインターバルは、運動のインターバルよりも長くすること。 ワークアウトが楽に行えるようになったら、ひとつふたつバリエーションを加えて強度を高める。 考えられるのは次のようなことだ。
インターバルの数を増やす
休憩のインターバルの時間を短くする
運動のインターバルの時間を長くする
いつもと違う地形のコースを走る
スピードを上げる
週の中でインターバル走を行う日の間隔を空けるのもよいアイデアだ。 週に(最大)2〜3日、日を空けて行うことを検討しよう。 長時間のランにインターバル走を入れることも可能だ。
バッキンガム博士は自らがサポートするアスリートすべての長時間ランを、次のようなルールでインターバルに分けている。まず自分の通常のペースで9分間走り、次に休憩のために1分間歩く。 これを自分が目標とする時間または距離に達するまで続ける。
長時間のランをいくつかに分けるのは、心臓を休めることのほかに、短時間で気持ちをリセットし、新鮮さを保ちながらワークアウトに集中できるようにするのに役立つ。
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