遠赤外線サウナが健康にもたらす5つのメリットをエキスパートが解説

健康とウェルネス

遠赤外線サウナの効果を裏付ける科学的根拠と、遠赤外線サウナがどのように全身の健康を向上させるかについて、エキスパートが解説。

最終更新日:2022年9月28日
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遠赤外線サウナが健康にもたらす5つのメリットをエキスパートが解説

ワークアウト後にサウナに入るのを習慣としている人がいるが、これには正当な理由がある。 暑くて狭いスペースで発汗を促すことには、いくつかの健康上の利点があるからだ。 また、空気を加熱して体を温める従来のサウナとは異なり、遠赤外線サウナは遠赤外線で直接体を温める。

従来のサウナは80℃もの高温になることがあるが、遠赤外線サウナの場合は40~60℃だと説明するのは、理学修士で専門看護師の シャイナ・ペインター。 つまり、遠赤外線サウナは温度が低いので、より快適かつ安全に長い時間楽しむことができるのだ。

「私はよく患者さんに遠赤外線サウナを勧めています。他の種類のサウナよりも遠赤外線サウナを使うことが多いです」と語るのは、医学博士のモニシャ・バノーテ。彼女は、 米国病理学者協会のフェローで アメリカ統合医療委員会の委員でもある、生活習慣を専門とする医師だ。

「温風を使うサウナよりも、遠赤外線を使うサウナの方が、より深く皮膚に浸透します」と彼女は語る。 「その結果、低い温度でもより激しく汗をかくのです」

この発汗療法が、どのようにしてリラクゼーションと健康を促進するのか、説明しよう。

遠赤外線サウナで得られる健康上の5つのメリット

遠赤外線サウナと従来型のサウナ、いずれにも血行促進や心臓の健康などの健康上のメリットがあると、医学博士でアメリカ家庭医学会フェローのラトナ・ヌーティは 説明する。 「遠赤外線サウナは、適度な運動と同じような反応を体に起こすと考えてください」と語るのは、オステオパシー医学医師のジェニファー・ボントレガー。 次に、遠赤外線サウナがどのように健康や運動能力を向上させるのかをご紹介しよう。

  1. 1.筋肉の痛みを和らげる

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    「遠赤外線サウナによる血液循環の改善は、運動後の筋肉の回復を早める効果があります」とボントレガーは語る。 「定期的に遠赤外線サウナを使うことで、アスリートのパフォーマンス向上にもつながる可能性があります」

    彼女は、体をよく動かす10人の男性を対象にした2015年の小規模な研究を例に挙げる。この研究では、厳しい持久運動の後に遠赤外線サウナに30分入ると、サウナを利用しなかった人と比べて神経筋の回復が向上することが明らかになった。

    (関連記事:プロが解説する、ワークアウト後のサウナのメリット(とデメリット)

  2. 2.慢性疼痛に効果が期待できる

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    遠赤外線サウナ療法は、慢性疼痛の治療法としても有望と考えられる、とボントレガーは述べている。 その根拠として、彼女は2008年に行われた小規模な研究を挙げている。 関節リウマチと強直性脊椎炎(炎症性の病気)の患者が、4週間かけて8回のサウナ入浴をしたところ、体の調子が良くなったという。

  3. 3.炎症を抑えることができる

    遠赤外線サウナが健康にもたらす5つのメリットをエキスパートが解説

    遠赤外線サウナを使うと、血管系に抗炎症作用を示すことが分かっていると、ペインターは述べている。 遠赤外線サウナに入ると、熱ショックタンパク質(体温上昇によって活性化するタンパク質ファミリー)が誘発され、活性酸素やその他のフリーラジカルによって引き起こされる細胞の損傷を軽減するのに役立つ。

    「熱ショックタンパク質は、寿命を延ばし、老化現象全体を改善することが示されています」とペインターは述べている。

  4. 4.体内デトックス

    遠赤外線サウナが健康にもたらす5つのメリットをエキスパートが解説

    「サウナ療法は、従来型サウナでも遠赤外線サウナでも、体内の有毒成分の排泄を促す可能性があります」とペインターは語る。

    彼女によれば、2012年の研究で、体は重金属を尿や血液よりも汗で排泄することを好むことがわかったという。

    「有害物質の負荷を減らすことで、酸化損傷、細胞の早期老化、内分泌系や循環器系などの臓器系の障害を減らすことができる可能性があります」と彼女は述べている。

  5. 5.血圧を下げ、心臓の健康を促進する

    遠赤外線サウナが健康にもたらす5つのメリットをエキスパートが解説

    アメリカ疾病対策予防センターによると、心臓病は、米国の男性、女性、およびほとんどの人種・民族の人々の死因の第1位となっている。 遠赤外線サウナは心臓の健康を高め、血圧を下げる効果があることが研究で明らかになっていると、ペインターは言う。

    特に、高コレステロール、高血圧、糖尿病などの冠動脈疾患の危険因子を持つ人には、遠赤外線サウナが有効であると考えられる。 ペインターによると、その理由は次の通りだ。遠赤外線サウナの使用は、一酸化窒素の産生を増加させるのに役立つ。 これにより、血管が拡張され、血流と循環が改善される。

    それを裏付ける研究結果がある。『Journal of Human Hypertension』に掲載された2017年の研究では、1回30分のサウナセッションが動脈硬化を減少させ、血圧を改善することが明らかになった。 2004年の研究では、少なくとも1つの冠動脈危険因子を持つ患者が、2週間、毎日遠赤外線サウナに入った。 すると、収縮期血圧と酸化ストレスレベルの低下がみられた。 また、うっ血性心不全の患者を対象とした2004年の別の研究では、毎日1回15分の遠赤外線サウナを2週間行うプログラムに参加すると、不整脈が改善される可能性があることが示された。

遠赤外線サウナの使用上の注意点

一般的に、サウナ入浴は週に2~4回を目安にするとよいと、ペインターは言う。 回復を目的とするならば、ワークアウトの後にサウナに入ろう。

ペインターは、サウナ前にドライブラッシングを行うことを勧めている。 乾いた硬めのブラシで体をマッサージすることで、リンパ系が汗を通じて老廃物を排出しやすくなるのだ。 これを行う場合は、足元から、大きく円を描くように、上へ上へとブラッシングしよう。

その後、5分から30分(従来型のサウナでは15分以内が一般的)サウナ入浴をする。 サウナに慣れるまでは、40℃程度の温度から始めて、時間をかけて60℃まで上げるといい、とペインターは言う。 また、高体温症やオーバーヒートの兆候を感じたらセッションを終了してほしい、と彼女は述べている。 めまい、頭痛、吐き気、心拍数の上昇、目のかすみ、筋肉のけいれん、痛みなどに注意しよう。

サウナの後は、血圧の変動を避けるために、徐々に体をクルーダウンしてほしい、とペインターは説明する。 冷たいシャワーや水風呂の前に、2~5分の休憩をとるようにしよう。

他にも重要なアドバイスがあるとすれば、 サウナに入る前に水分補給をすることだ。 「オーバーヒートしたり、頭がぼーっとしたり、脱水症状になったりしないように、セッションの少なくとも24時間前と直後に水分を補給することが大切です」とバノーテは語る。

セッション前、セッション中、セッション後に合計で少なくとも約2リットルの水を飲むことを目指すべきだと、メリッサ・ニコレッティ医学博士は提案する。

「サウナでめまいやふらつきを感じやすい方、低血圧になりやすい方は、脱水を防ぐために電解質(タブレットや粉末飲料)を摂取してみてください」とペインターは言う。

遠赤外線サウナを避けるべき人は?

このような治療法を検討する前には、必ず医師に相談してほしい。 ミシェル・ヘン医学博士は、以下の健康状態にある場合は、サウナを避けるようにと述べている。

  • 重度の大動脈弁狭窄症(心臓の病気)
  • 心臓病による胸の痛み
  • 最近、心臓発作を起こした
  • 最近、脳卒中を起こした

加えて、高齢者、妊娠中の人、子どもにはサウナは適さない。 また、サウナに入る前にアルコールを摂取するのはやめよう。

文:ディナ・チェイニー

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公開日:2022年9月28日

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