ランニングのスタミナと持久力をつける方法

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スタミナと持久力をつけて長距離を走れるようにしよう。 ここでは、今のトレーニングプランを調整してランニングの距離を伸ばす方法を紹介する。

最終更新日:2024年4月5日
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ランニングに必要なスタミナと持久力を高めるには

ランニングにおいて、スタミナと持久力は強い武器になる。 スタミナと持久力があれば、より長い距離を疲労せずに走破できる。 頭の中の「もうやめたい」という声を押しのけるほど心身が鍛えられているので、走り続けることができるのだ。

ランニングは繰り返しの動作を長時間にわたって行うスポーツである。 スタミナや持久力が足りないと、スタートしてすぐに疲れてしまい、諦めることになる。 幸い、今のトレーニングプランを調整すればスタミナと持久力を鍛えることが可能だ。

スタミナと持久力の違いは?

スタミナと持久力は、どちらも運動をどれだけ長く続けられるかを示す言葉だ。 この2つは同じ意味で使われることも多いが、正確には別のことを指す。

スタミナは、ある運動を全力でどれだけ長く継続できるかを示すものであり、 身体的な負担と精神的な負担の両方が考慮される。

一方、持久力とは、ある運動を総合的にどれだけ継続できるかを示す。 持久力は、心肺機能の効率と関係がある。 つまり、心臓、肺、筋肉がどれだけ効率的に連携し、血液と酸素を全身に行き渡らせて運動を持続できるかということだ。

高負荷の運動は、どれもスタミナが必要とされる。 高負荷運動の例として、サッカー、トライアスロン、ローイング、格闘技、テニス、バスケットボールなどが挙げられる。 こういったスポーツでは、高負荷の運動とアクティブリカバリーが何度も繰り返される。 スタミナがあれば、精神的にも肉体的にもこうした繰り返しに耐えることができる。

一方、マラソンのように長時間にわたる継続的な運動では、持久力が必要になる。 つまり、筋肉を働かせて運動を継続するために、酸素を含んだ血液を効率的に全身に巡らせる能力が心肺系に求められるのだ。 持久力が必要なスポーツでは、最大限の効果を上げたり全力を出したりする能力よりも、長時間の運動を可能にする肉体的な能力が試される。

ランニングのスタミナと持久力をつける方法

  1. 1.規則正しくトレーニング

    ランニングで持久力を鍛えるコツは、できるだけ規則正しくトレーニングすることだ。 スケジュールを守り、週に3、4回は走ろう。 ランニングの回数は経験値やフィットネスレベルによって異なる。 初心者は、週に1、2回から始めて体を徐々に慣らしていくと良い。 慣れてきたらランニングのボリュームを増やしていこう。 ただし、リカバリーが重要であることもお忘れなく。 トレーニングを継続できない人は、次のヒントを参考にしてほしい。

    • アラームをセットする:アラームがランニングに出かけるタイミングを教えてくれる。 アラームの音を聞けば、仕事から帰ってきてソファに倒れ込むかわりに自分の立てた目標を思い出し、ランニングシューズを履くようになるはずだ。
    • ランニング仲間を作る:仲間と一緒に走ると、トレーニングを続けるのが楽になる。 社交とトレーニングを同時にできるのだから一石二鳥だ。
    • 前もってスケジュールを組んでおく:忙しくなるとランニングが後回しになってしまう。 前もってスケジュールを組んでおき、自分に使命感を植え付けよう。
  2. 2.徐々に距離を伸ばす

    経験豊富なランナーなら誰でも知っている「10%ルール」、すなわち走る距離を毎週最大10%ずつ伸ばすルールを実践しよう。 少しずつ距離を伸ばすことで、怪我を予防し、過度な負担を感じることなく体を慣らすことができる。

    たとえば、ある週に10km走ったら、翌週に走る距離は最大11kmということになる。

  3. 3.HIITをトレーニングに取り入れる

    高負荷インターバルトレーニング(HIIT)は、持久力を高めるのに大きな効果がある。 学術誌『PLoS One』に掲載された2013年9月の論文によると、インターバルトレーニングは持久力トレーニングよりも最大酸素摂取量(持久力の指標の1つ)の向上効果が高い。

    インターバルトレーニングでは、全力での運動と休息を一定時間ずつ繰り返す。 坂道を30秒間駆け上がり、60秒歩いて下るのもインターバルトレーニングの一種だ。

    このようなインターバルトレーニングを続ければ、心肺機能が高まり、長距離レースに耐えられるようになる。 また、高負荷をかけることで、嫌気呼吸の副産物である乳酸を筋肉が効率的に処理できるようになる。 ただし、高負荷の運動中に筋肉内の乳酸量が増えると、燃えるような不快な感覚が発生することもある。

  4. 4.プライオメトリクスを行う

    プライオメトリクスとは、瞬発的な運動を利用するトレーニングのことだ。 ボックスジャンプ、スクワットジャンプ、クラッププッシュアップ、タックジャンプの動きを想像してみよう。 このような動きをすると、筋肉が短い時間で最大の力を発揮するため、筋力の向上につながる。 また、ランニングのスタミナ面においても次のような効果がある。

    • 筋肉が伸張性収縮と短縮性収縮を繰り返すうちに、エネルギーを蓄積する能力が向上。 筋肉の短縮性収縮は、大多数の人がやりづらさを感じる動きだ。 プライオメトリクスではそれを鍛え、短縮性収縮のフェーズで大きな力を出せるようにする。 体が効率的に力を出せるようになるため、スピードアップにつながる。
    • 筋繊維の強化。 負荷をかけながら行う瞬発的な運動では、今までとは違うタイプのストレスが筋肉にかかる。 それをきっかけに、筋繊維の力とサイズを増大させる肥大化プロセスが始まる。
    • 柔軟性のアップ。 収縮する前に筋繊維が伸ばされるため、長期間続けると柔軟性が向上する。 たとえば、ボックスジャンプをする際、かがんで大腿四頭筋を伸ばし、瞬発的にジャンプするとよい。

    これを続けていると走り方や効率が改善し、怪我のリスク低減にもつながることが、2019年の研究で明らかになっている。

  5. 5.ストレスとうまく付き合う

    スタミナの要素として忘れがちなのが、ストレスとの付き合い方だ。 ストレスには、精神的なストレス(例:仕事でつらい思いをした)と肉体的なストレス(例:きついワークアウトをやった)がある。 体はストレスを受けると、機能が低下する。 免疫機能の低下、コルチゾールやアドレナリンの上昇によるホルモンバランスの崩れ、睡眠障害などは氷山の一角に過ぎない。 事実、2019年9~10月に学術誌『PAIN Reports』に掲載された論文によると、ストレスによって回復力が損なわれる。 体が闘争・逃走モードになるため、損傷した組織の修復に集中することができなくなるのだ。 他のプロセスも一時停止してしまう。

    ストレスと上手く付き合うのに有効な方法としては、瞑想、マインドフルネス、ヨガがおすすめだ。 2011年7~12月に学術誌『International Journal of Yoga』に掲載された論文によると、そのようなエクササイズには、炎症の抑制と神経系の鎮静、筋肉の緊張緩和といった効果がある。

    さらに、2020年8月に学術誌『Neural Plasticity』に掲載された論文では、マインドフルネスを5週間続けた被験者に持久力の向上が認められたという結果が示されている。

  6. 6.800メートルのインターバルを走る

    持久力を高めたいなら、トレーニングプランに複数回の800メートル走を加えることをおすすめする。 このトレーニングスタイルでは、短距離スプリントと休憩インターバルを複数回行うことで、ランニングのパフォーマンスが高められる。 マラソンやハーフマラソンのトレーニングをしている人は、このような運動をすることで長距離ランに必要な要素をイメージしながら、持久力を鍛えることができる。

    自分の目標ペースを把握し、800メートル(標準的なランニングトラック2周分)でそれを実践すればよい。 目標ペースが3:45/マイルなら、800メートルでの目標タイムは3分45秒となる。 目標タイムを楽に達成できるようになるまで、何度も800メートル走を繰り返そう。

  7. 7.筋力トレーニングを怠らない

    経験者・初心者を問わず、筋力トレーニングをトレーニングの習慣に取り入れよう。 2010年6月に学術誌『Strength and Conditioning Journal』に掲載された論文によると、筋力トレーニングにはランニングの効率を高める効果があるため、これを続けることにより、少ない酸素で長時間ペースを維持できるようになる。

    また、筋肉や関節が鍛えられ、重要な筋肉群が活性化しやすくなる。 筋動員率が上昇すればするほど、身体能力も高まる。 National Strength and Conditioning Associationによると、身体能力の向上がランニングスピードの上昇につながるとのことだ。

    以下の筋力トレーニングを、トレーニングのルーチンに取り入れてみよう。

    • スクワット
    • デッドリフト
    • オーバーヘッドプレス
    • ランジ
    • ベントオーバーロウ

ランニングにおいてスタミナと持久力が重要な理由

ランニングには、長時間疲れずに走り続けるためにスタミナと持久力が欠かせない。 しかし、スタミナと持久力がついたからといって、急にマラソンが楽になるわけではない。 これまで疲労困憊になっていた距離が、徐々にこなせるようになる。 足を前に出すことを止めず、最後まで心拍数を低く保つことができるようになるのだ。

持久力が身についたら、ペースを上げていこう。 5kmレースのペースが自分のトレーニングペースになることもあり得る。心肺機能が高まるにつれ、より高いレベルに対応できるようになるからだ。 また、トレーニングを続けることで精神的にもタフになり、体を追い込めるようになる。

公開日:2021年11月22日