コーチに聞く、もっと速く泳げるようになる方法
スポーツ&アクティビティ
水中でのスピードを上げるにはどうすればよいかをチェックしよう。
趣味で水泳をする人も、トライアスロンで競泳をする人も、クロストレーニングの一種として水泳を取り入れている人も、誰もがプールで自己ベストを更新する方法を模索しているはずだ。 もっと速く泳げるようになるにはどうすればよいか悩んでいるなら、まずはそれが手の届く目標であるということを頭に刻んでおこう。
「ほとんどの人は速く泳げるようになりますが、正しい方法でスピードを上げられるように、準備をしておくことが大切です。 目標を達成するためには、初心者やトライアスロン選手、エリート競泳選手など、どんな方でも練習や生活習慣に一定の基準を設けることが求められます」と話すのは、米国水泳コーチ協会認定の水泳コーチ兼ストローク専門家のマーリ・マッキンタイアだ。 大筋としては、プールで微調整を繰り返し、陸上で計画的に筋力トレーニングを取り入れ、健康的な生活習慣を維持する必要がある。
速く泳ぐための基礎知識
1.ステップ1:水中で効率的に体を動かすことに集中する
効率とは、プールの端から端まで泳ぐのにどれくらいのエネルギーを使うかということだ。
「水泳を突き詰めると、必ず効率に行き着きます。効率を高めれば、節約したエネルギーをスピードに充てることができるからです」とマッキンタイアは言う。
まずは、ストロークあたりの推進距離を測ろう。 これは1回のストロークで、どれくらいの距離を移動できるかを表すものだ。 マッキンタイアは、1ラップのストロークの回数(手を水に入れる回数)を数えることを勧めている。 クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライのどのスピードを上げる場合でも、ストロークあたりの推進距離を基準として使うことができる。
推進距離が測れたら、効率を高めるために以下の3点を試してみよう。
- キックを改善する。 水泳の初心者か経験者かを問わず、バタ足を強化するよう、マッキンタイアは推奨していている。 「水泳を始めたばかりで足首があまり柔軟でないと、バタ足を簡単にできるとは限りません」と彼女は語る。 こうした場合はプールの外で、足首の可動性を高める運動を行うのが効果的だ。
そのためには、足首から先を前後に曲げ伸ばしする、時計回りと反時計回りに足首を回す、立ってふくらはぎを伸ばすという、3種類のストレッチを試してみよう。 プールに入る前に(または水泳後のリカバリーで)全身をほぐすためのストレッチとしてマッキンタイアが勧めるのは、体をひねって片腕を天井に向けて上げるランジだ。これは通称、「世界一効果的なストレッチ」として知られている。
また、水中でのキックの練習には長いフィンを使うとよいようだ (フィンにはブレードが長いものと短いものがある)。 「ブレードの長いフィンを装着すると、体が浮きやすくなり、ヒップが上がり、脚が伸びるため、膝を曲げて自転車のペダルをこぐようなフォームの乱れを抑えられます」と彼女は言う。 さらに、長いフィンは足首と脚の柔軟性を高めてキックを改善するためにも役立つそうだ (スピードを強化するワークアウトでは、短いフィンを装着しよう)。
- 息継ぎを極める。 「息継ぎの仕方を改善することも、スピードの強化につながります」とマッキンタイアは言う。 クロールのストロークをする際は、顔を水面と同じ高さにして、首を軽く横に回転させながら息継ぎするとよい。 別の言い方をすれば、頭を上げて水面から出してはならない。そうすると下半身が下がり、 姿勢が乱れるだけでなく、推進力の効率が損なわれてしまう。彼女によれば、 「口で息継ぎをするときは、ゴーグルの片側が水中に入っていて、もう片側が外に出ている。 こうした頭の位置が理想的です」とのことだ。
- 体を一直線に保つ。 水中では、流線型の良い姿勢を保つことで効率が高まる。 そのためには、2本の見えない線の間を泳いでいる状態をイメージするとよい。 そうすると頭から腰、足首までを同じ高さに保つことができる。 「水泳中はこの姿勢を維持しながら、後ろから前へ体を回転させてください」とマッキンタイアは話している。
- キックを改善する。 水泳の初心者か経験者かを問わず、バタ足を強化するよう、マッキンタイアは推奨していている。 「水泳を始めたばかりで足首があまり柔軟でないと、バタ足を簡単にできるとは限りません」と彼女は語る。 こうした場合はプールの外で、足首の可動性を高める運動を行うのが効果的だ。
2.ステップ2:スピードトレーニングに取り組む
「速く泳げるようになるためには…速く泳ごうとすることです」というマッキンタイアの言葉は、当たり前のようでありながら核心をついている。 「ゆっくりと楽に、ずっと快適なペースで泳いでいるだけでは、速く泳げるようにはならないのです」 そこで役立つのが、スピードトレーニングだ。 現在行っている簡単なプールワークアウトの代わりに、スピードの強化に特化したセッションを取り入れよう。 まずは、50m(または25mプールを一往復)を泳いで、ストロークの回数を記録する。 そうしたら、次は25mを4回全速力で泳ぐようにする(1回ごとに15~20秒の休憩をとる)。その際は、ストロークあたりの推進距離を同じに保つか、2ストローク差以内に収めるようにするとよいそうだ。
3.ステップ3:筋力トレーニングを取り入れる
水中のストロークや姿勢の改善には、レジスタンストレーニングが効果的だ。 水泳のスピードアップを目指しているときは、ヒンジ(デッドリフトなど)、スクワット、片脚バランス、プル(ラットプルダウンなど)、体幹ワークアウトなどを中心としたエクササイズを、プールの外で行うことが重要だ。
「これらの運動はどれも、泳力アップに高い効果があります」と話すのは、Nation's Capital Swim Club、Rockville-Montgomery Swim Club、All Star Aquaticsで筋力トレーニングコーチを務めるリー・ソマーズだ。 たとえば、大腿四頭筋を鍛えると、キックの強さとパワーが増す。 ハムストリングを鍛えれば、レース後半の挽回力が高まるだろう。 「下半身と腰が強化されれば、上半身ばかりに頼らずに水中を進めるようになります」とソマーズは述べている。
広背筋は、鍛えることでたくさんの水をかけるようになる、ストロークで重要な筋肉群だ。 また、体幹を鍛えればストロークの効率アップや正しい姿勢づくりが促されるうえに、怪我の防止にも役立つという。
特にプルアップのトレーニングは、泳力を高める効果も高い。 2018年の『The Journal of Strength and Conditioning Research』に掲載された研究では、プルアップのパフォーマンスと水泳のスピードに関連性があることが示されている。これはおそらく、プルアップのパフォーマンスが上半身の強さを示していることによるものだろう。
目安としては、週に1~2回の筋力トレーニングを行うことになる。正しいプログラムを作るためには、パーソナルトレーナーをつけることを検討するとよい。
4.ステップ4:水中以外でも健康的な生活習慣を実践する
スピードアップの試みは、プールの中だけでは完結せず、 プールの外で行う日々の行動も重要になる。
- 水分補給をする。 特に運動中は、脱水状態になると疲労感が生じ、意識がもうろうとした感じになる。 スポーツ栄養学の資格を併せ持つマッキンタイアは、体重の30分の1ほどの量の水を毎日飲むよう勧めている。 ワークアウトに熱心に取り組んでいる人は、ナトリウムを含む電解質飲料で水分を補給しよう。 また、愛用しているスポーツドリンクのラベルを確認し、ナトリウムが添加されていない場合は、ボトルに塩をひとつまみ入れて混ぜるとよい。
- 炭水化物の摂取量を維持する。 炭水化物は体と脳のエネルギー源として好ましい、とマッキンタイアは言う。 そのため、果物、野菜、全粒穀物、豆類に含まれる良質な炭水化物を日中に十分に摂取するようにしよう。 また、炭水化物を豊富に含むワークアウト前に適した食べ物(バナナやアップルソースなど)をプールに入る20分前に少し食べることを、マッキンタイアは勧めている。 スポーツのパフォーマンスを専門とする管理栄養士に相談し、自分の体に合った綿密な栄養補給プランを立てることを検討しよう。
- 休息を取る。 目標を追いかけているときは、休息よりもトレーニングに気をとられやすくなる。 それでも、成長は休息を取ることで可能となる。推奨されている1日7時間(以上)の睡眠を必ず確保しよう。仮眠を取れるようなら、そちらも実行するとよい。 「休息は多めにとるようにしましょう」とマッキンタイアは述べている。
文:ジェシカ・ミガラ
- 水分補給をする。 特に運動中は、脱水状態になると疲労感が生じ、意識がもうろうとした感じになる。 スポーツ栄養学の資格を併せ持つマッキンタイアは、体重の30分の1ほどの量の水を毎日飲むよう勧めている。 ワークアウトに熱心に取り組んでいる人は、ナトリウムを含む電解質飲料で水分を補給しよう。 また、愛用しているスポーツドリンクのラベルを確認し、ナトリウムが添加されていない場合は、ボトルに塩をひとつまみ入れて混ぜるとよい。