経験者が語る、ランニング初心者のためのガイド

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ランニングを習慣化するのは、意外と簡単かもしれない。 エキスパートからのヒントを参考に、ランニングの始め方を学ぼう。

最終更新日:2022年10月12日
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ランニングを始めるためのとっておきのヒント

どんなランナーにも、初心者の頃はあった。 次はあなたがスタートを切る番だ。

では、何から始めればいいのだろうか。 ランニングシューズを履く前に、あなたと同じ立場だったランニングコーチからのアドバイスをチェックしておこう。彼らはさまざまな初心者をランニングの世界に導いた、実績のある指導者たちだ。 エキスパートからのヒントを参考にしながら、ランニングを始めてみよう。

ランニングを始めるためのとっておきのヒント

「目的」を書き出す

あなたはそもそも、なぜ走りたいのだろうか。 この問いに答えれば、やる気に火をつけることができる。

健康の改善、目標の達成、新しいことへのチャレンジなどを目指して走る人もいるだろう。 自分なりに考えた「目的」を書き留めておき、目に見える場所に置くことで、モチベーションが衰えたときの発奮材料にしよう。 「病気にかかり、ゼロからのスタートを余儀なくされたときはいつも、フィニッシュラインをまたぐ自分の姿を思い描いていました」と語るのは、USATFおよびRRCA(レベルI、レベルII)認定ランニングコーチのエイミー・ドレッキだ。

ゆっくり着実に前進する

初心者ランナーはやる気のあまり、始めからもっと遠くまで、もっと速く走りたいという衝動に駆られがちだ。 しかし、トレーニングは文字どおり一歩一歩進めていく必要がある。 「体が慣れるまでには、どんな人でも時間がかかります」と、RRCA認定ランニングコーチのルジーナ・ディウジャステは言う。 最初から追い込み過ぎると、けがをしたり、心が燃え尽きたりする公算がどうしても大きくなる。

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焦らずに、ゆっくりと着実に前進することが重要だ。 ランニングコーチたちは、その方が充実したトレーニングを行えるようになると断言する。 「徐々にレベルアップしていくことが、ランナーとしての成功の鍵です」とディウジャステは話す。 遅めのペースでスタートすれば、持久力、根気、自制心を鍛えながら、関節、腱、骨に適応する時間を与えられて、 ランニングフォームや呼吸法に磨きをかけるチャンスにもなる。

さらに、距離やペースを無理のない範囲でキープすれば、達成感を得やすくなるはずだ。 達成感を感じられたら、ランニングの習慣を続けたいと思うだろう。 ところが、短期間に自分を追い込み過ぎると挫折感に襲われることがあり、ランニングを生活の一部にするのは無理だと感じてしまうかもしれないと、ディウジャステは言う。

彼女は15分から30分のランを、休息日を挟みながら週に2-3回行うことからのスタートを勧めている。 ランの時間を短くし、ウォーキングと交互に行うインターバルを取り入れてもいいだろう(後ほど詳しく説明する)。

ランニングを始めるためのとっておきのヒント

適切な装備を整える

高品質なギアに投資すれば、ランニングをもっと楽しめ、けがによる痛みやひどい筋肉痛を防げるはずだ。たとえば、適切なランニングシューズを手に入れれば、走行中や走行後のコンディションに大きな変化が見られるだろう。

ランニングシューズはクッション性やサポート性がさまざまで、足の形や体格、好み、走る路面、トレーニングのスタイルに合ったものを選ぶことができる。 道路やトレッドミルでの長距離ランで衝撃を吸収するデザインのシューズもあれば、構造が補強されたシューズもある。 さらには、特定のプロネーション(走るときに足首が内側に傾く程度)にぴったりのものもある。 走行中の足首が大きく外側に傾く場合はアンダープロネーション(またはサピネーション)といい、 内側に傾く場合はオーバープロネーションという。 プロネーションの傾向がある足は、いずれの場合でも衝撃を吸収しにくいため、望ましい位置で着地できるよう足をサポートするシューズを選ぶことで、痛みやけがのリスクを低減できる。

他のランナーにおすすめのシューズを尋ねてみてもよいが、 足の特徴は人によって千差万別だ。 ディウジャステは、近くの店舗に足を運び、ランニングシューズを試着することを勧めている。 もしくは、自宅で軽く試走してから返品できるかどうか確認してみよう。

その他のランニングウェアは、気候によって必要なものが変わる。 最低限検討すべきアイテムは、ハイインパクトスポーツブラ、速乾性に優れたシャツやパンツ(ショートパンツやタイツも役に立つ)、高性能ソックスだ。 必要に応じて、寒い気候に適したランニングギアをプラスしよう。

ランニングとウォーキングを組み合わせる

先述のとおり、ランニングとウォーキングを組み合わせるアプローチは、持久力を鍛えながら外の空気を吸い、使い過ぎによる厄介なけがを防ぐための定番だ。

この方法は、シンプルだが高い効果がある。 あらかじめ決めておいた時間だけ走った後で、一定の時間歩くことを繰り返すのだ。

「ランニングは負荷の高いスポーツなので、骨や関節が運動に慣れるまでに時間がかかります」とドレッキは言う。 ランニングとウォーキングを組み合わせれば、体に少しずつ負荷をかけていくことができ、痛みやけがのリスクの軽減につながる。

また、体力を徐々に養う効果もある。 「ウォーキングの時間を挟むことで、初心者ランナーは総合的な強度を適度なレベルで維持でき、長時間のランニングに必要な持久力を養えます」とドレッキは説明する。 息切れするまで可能な限り長く走るだけのアプローチでは、走る時間を無理のない長さに区切る場合と比べて、すぐに疲れ切ってしまうだろう。

ランニングとウォーキングを交互に繰り返す区切り方は無数にあるが、ドレッキが勧めるのは、30秒走った後で、2分歩く方法だ。 これを4-5セット繰り返す。

その際は、ワークアウトの最中と終了後のコンディションを意識すること。 どこにも問題がなく調子が良ければ、次のセッションではセットを1つ増やしてもいいだろう。

体が慣れてきたら、ランニングの時間を伸ばそう。 まずは1分のランニングと2分のウォーキングに切り替え、 次は2分のランニングと2分のウォーキングにする。 その後は、走る時間を増やしながら歩く時間を減らせばよい。

ランニングを始めるためのとっておきのヒント

ランニンググループに参加する

ランニングを始めるに当たって、1人で走るのが不安、どうすればいいかわからない、サポートが必要という場合は、地域のランニンググループを探してみよう。 ランニンググループは優れたネットワークで、継続的にサポートが得られ、モチベーションを維持でき、仲間とのつながりができる。 ランニングのルーティンを築く枠組みにもなるだろう。

ランニンググループにはさまざまなタイプがある。 地域のランニング団体によって組織されたグループもあれば、ランニングストアやスポーツクラブが運営するグループもある。

多くのグループは、レベルにかかわらずすべてのランナーを歓迎してくれるが、特定の目標(マラソンに向けてのトレーニングなど)やペースが設定されている場合もある。 興味を持ったランニンググループに、ペースや経験の参加条件がないかどうか確認しておこう。

ドレッキは「参加しても、ついていけなければ楽しめないでしょう」と言う。 そのためにも、ウェブサイトで詳細をチェックするか、グループの代表者に問い合わせてみよう。

事前にプランを立てる

前もって準備しておけば、ランニングがうまくいく確率も高くなるのではないだろうか。

「前の晩にランニングウェアを並べておいたり、ランニング後に食べる軽食を用意しておいたりするというような単純なことをやってみましょう」と、RRCA認定ランニングコーチで、World Instructor Training Schools認定パーソナルトレーナーのベス・ベイカーはアドバイスする。

関連記事:ワークアウトの前後に摂るべき食品は?

もう少し踏み込みたくなったら、ランニングに出かける時間を決めて、カレンダーに記しておくとよい。 その時にルートを選んでおくこともできる。

走行前に決めておくことを増やせば、その場で判断する必要がなくなり、予定が詰まっている日は特に楽になる。 前もって計画を立てておけば、ウェアを着替えて出かけるだけで済むからだ。

ランニングを始めるためのとっておきのヒント

強度に注意する

何よりも大切なのは、無理をしないこと。初心者ならなおさらだ。 ベテランランナーも、力を抜く日を設定することの重要性を力説している。

「初心者がおかしがちな間違いは、スピードを上げ過ぎること。過度の筋肉痛やけがの原因になります」とドレッキは指摘する。

強度の低いランニングを行えば、長距離ランの際に機能する有酸素系エネルギーシステム(酸素を使い、炭水化物と脂質を基にエネルギーを生み出す仕組み)が発達する。

ランニングをしたら、強度のレベルを0-10で評価してみよう。 0はソファに寝そべってテレビを見ている状態、10は全力のスプリントに相当する。 ドレッキは、4か5程度の強度レベルを維持することを勧めている。

ウォームアップとクールダウンの正しい方法を身につける

ランニングはパズルの1ピースに過ぎず、 ウォームアップとクールダウンの習得も欠かせない。

「ウォームアップは、デスクワークで長時間座っていてからランニングに出かけるような場合には特に大切です」とドレッキは言う。 ウォームアップを行うことで、座った姿勢から急に強度の高い運動を始めても、極端な負荷を避けることができる。

一方、クールダウンは、心拍数と血圧が徐々に正常値に戻るのを助ける。 ドレッキはこう説明する。「ランニングをいきなり止めると、心拍数が下がらずに失神するリスクがあります。 同じように、ランニングの直後に車を運転して帰ろうとすると、下肢に血液がたまり、めまいを引き起こすかもしれません」クールダウンを行えば、どちらのケースも防ぐことができる。

ウォームアップやクールダウンは、効果を得るために時間や手間をかける必要はない。 最初は、ワークアウト前後に5-10分歩くだけでいいとドレッキは言う。

道路やトレイルを走るための準備運動なら、ダイナミックストレッチも効果がある。 アクティブな動きで筋肉を伸ばし、関節を可動域の限界まで動かすことで、 ワークアウトに必要な動きに体を順応させるのだ。

初心者におすすめのウォームアップエクササイズは、こちらでチェックしよう。

スタティックストレッチは柔軟性の向上に役立ち、ランニング後に気分を落ち着かせる効果があるとドレッキは話す。 その際は、ストレッチの姿勢を30秒ずつキープすればよい。

ランニングのクールダウンに最適なストレッチをチェックしよう。

ランニングを始めるためのとっておきのヒント

比較したくなる衝動を抑える

トップクラスのランナーたちは、自分と他のランナーを比べたくなる衝動を抑えることが重要だと強調する。

「ペースを他人と比べて自分が遅すぎると感じるのはよくあること。そのせいでやる気をなくしたり、ペースを上げ過ぎたりしてしまうことがあります」とドレッキは言う (そんなときは、7つ目のヒントをもう一度確認しよう)。

大切なのは、目標達成に至るまでの現在地を把握し、これまでの歩みと、近い将来に訪れるであろう成長を意識することだ。 「とにかく無理のないペースで続けること。走り続けていれば、時とともにスピードも持久力も向上します」とドレッキは話す。

文:ローレン・ベドスキー

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公開日:2022年4月26日

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