妊娠中の不眠を克服する方法
Nike (M) が登場
胎児の成長に伴い、睡眠は大きく乱れがちになる。心身のさまざまな原因で眠れない時に、役立つヒントを専門家が解説。
- 妊娠後期に入ると、身体的な違和感に加えて心理的な重圧も増してくる。親になることや、新しい生活を迎えることへの不安だ。このような状態が常態化すると、しっかり眠ることがほぼ不可能になる。
- 夜は快適な姿勢で過ごせるように環境を工夫して、昼は「心配タイム」を利用することで深く眠れるように準備しよう。
- 体を動かすことによって、適度な疲労が気持ちを落ち着かせてくれることもある。NTCアプリの「Nike (M)ove Like a Mother」で、充実した睡眠を手に入れよう。
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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。
妊娠すると、「今のうちによく眠っておきなさい」としたり顔でアドバイスしてくる人がいる。ご説ごもっとも。だがまったく眠れないときは、一体どうすればよいのだろう?
妊娠中は生理的にも心理的にも大きな変化が生じるため、穏やかな心とは無縁になる。お腹は途方もなく膨らんで落ち着かないし、ホルモンの影響で体温もどんどん高くなる。吐き気や胸焼けなどに見舞われることもあるだろう。そんな状況を深く理解するのは、カリフォルニア州オークランド在住のアマンダ・ウィリアムズ医学博士(認定産婦人科医)。「Nike (M)ove Like a Mother」諮問委員会のメンバーも務める専門家だ。胎児の成長とともに、ストレスや不安も大きくなる。妊娠後期には、ほぼ80%の女性が不眠症に悩まされているという調査結果を見ても驚きはないだろう。
しかし睡眠は究極の回復手段であり、新しい命を懸命に育んでいる母体は毎日の回復が重要になる。そう指摘するのは、睡眠障害を専門とするサフィア・カーン医学博士(ダラスUTサウスウェスタンメディカルセンター)だ。心身どちらの問題に起因する不眠でも、ぐっすり眠れるようになる秘訣を紹介しよう。
体が快適になるよう工夫する
横になっているとき、少しでも快適だと感じられたら大きな進歩だ。それでは始めよう。
1. 寝相に気をつける。
多くの医師がアドバイスするのは、左側を下にして眠ることだ。仰向けで眠ると、心臓に血液を送り込む大静脈に圧力がかかり、母体と胎児に十分な血液を送れない可能性もある。そう語るのは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校でボランティアの精神医学准教授を務めるアンナ・グレザー医学博士(Women’s Wellness Psychiatry創設者)。横向きで寝るのに慣れていない人は、枕を活用しよう。自分のニーズに合わせた妊婦用枕を購入してもいいし、今持っている枕を何個か組み合わせて使ってもいい(ウィリアムズ博士談)。使い方は、圧迫されて緊張を感じる部分の下に置くだけ。乳房の下、脚の間、腰の後ろは特に効果的だという。
仰向けでないと眠れない人は、それでも構わないとグレザー博士は言う。1~2個の枕で体を支えて、胴体を少し傾けるだけでいい。これは胸焼けの緩和にも効果がある(それ以外の問題については後述)。
2. 症状を鎮める。
妊娠後期は悩みが尽きない。グレザー博士によれば、ホルモンがどんどん分泌され、ひどい寝汗をかくこともあるため、必要に応じて部屋を十分に冷房しよう。胃酸の逆流や胸焼けがある場合、一日の後半は酸性の食品(トマト、オレンジ、チョコレートなど)を控え、食事の量を減らしたほうがいい(ウィリアムズ博士談)。吐き気がつらいなら、塩気のあるクラッカーをベッドサイドに常備しておく。クラッカーのデンプン質が、症状を落ち着かせてくれるだろう。むずむず脚症候群やこむら返りで寝つけない場合は、水を多めに飲んで電解質の量を増やすといい(午後のおやつにバナナを食べて、夕食に塩を少しだけ足す)とウィリアムズ博士は言う。それでも解決しない場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しよう。そうアドバイスするのは、ニューヨーク州ホワイトプレーンズ在住のシェルビー・ハリス博士(心理学者)。『The Women’s Guide to Overcoming Insomnia(女性の不眠症を克服法)』の著者だ。場合によっては、鉄やマグネシウムのサプリメントだけで症状が改善することもある。
さらに切実なのは頻尿の問題だ。妊婦は常に水分を大量に補給する必要があるし(決しておろそかにしてはいけない)、胎児が膀胱を圧迫しているためトイレが近くなる。「この問題の解決策は、とにかく尿意を感じたらトイレに行くこと。就寝時間が遅くなることについては諦めます」とウィリアムズ博士は言う。「トイレではリラックスして、深呼吸をして、膀胱から全部出しきるように努力しましょう。そうすれば、20分後にトイレに戻ってくる確率が減るはず」と語るのは、コロラドスプリングス在住のローレル・プルー博士(骨盤の健康を専門とする理学療法士、FEM Physical Therapy創設者、Nike (M)ove Like a Mother諮問委員会)だ。
3. ベッドを離れる。
以上の対策を実践しても、ベッドに入って20分以内に眠くならなければ(もちろんスマートフォンは遠ざけて画面を消しておく)、寝床から起き出して別のことをしよう。良質な睡眠を得るためには、ベッドがただ眠るための場所だと心身に言い聞かせておく(ウィリアムズ博士談)。眠くならないときは家の中を歩いてみたり、バランスボールでストレッチをしたり、ソファで本を読みふけったりして、入眠の準備が再び整うまでベッドに戻らない。「これは夜中に目が覚めてしまった場合にも有効です」とウィリアムズ博士は語る。
心を休ませる
それでも眠れない場合は、心理的な問題かもしれない。気持ちに余裕を持たせるため、次の方法を試してみよう。
1. 問題を分類する。
この時期に、あれこれ悩むのは自然なことだ。しかし心配が何かの役に立つわけでもない。ハリス博士のおすすめは、生産的な悩み(自力で解決できる悩みや、自分の行動で対応できるストレス要因)と、非生産的な悩みに分類すること。問題を分けてしまうことで、自分がコントロールできるものについては解決への意欲が高まるし、制御不能なものを気にしずぎないようにできる。
さらに効果的な方法は、一日の早い時間帯に「心配タイム」を設けること。気になっている問題について書き出し、比較しながら熟考して問題解決を図る(カーン博士談)。眠りにつく時間を、思い悩む時間にしてはいけないのだ。
2. 運動する時間を作る。
ご存じのとおり、質の高いワークアウトの後は気分が多少なりともすっきりする(実際の問題が解決していなくても)。エクササイズによって幸福感を高めるエンドルフィンが分泌され、セロトニン系が整ってストレスが和らぐ。不安によって活性化した脳の恐怖中枢が、運動で落ち着く効能がある。そう説明するのは、オンタリオ州ハミルトン在住のジェニファー・ハイズ博士(NeuroFitLabのディレクター、『Move the Body, Heal the Mind(体を動かして心を癒やそう)』著者))だ。自分で選んだ運動を毎日20分できるなら、それだけで不安を和らげるきっかけになる(ウィリアムズ博士談)。
運動のメリットはまだある。昼間に活発に動くと、体は良質な睡眠を求めるようになる(恒常的睡眠欲)。ベッドの中に潜り込むときには、十分に疲れている方がいい(カーン博士談)。ただし、寝る前の1時間ほどは激しい活動を避けること。エネルギーが高まると、体温も上がってしまう。
3. 生活を整える。
妊婦でなくとも、ベッドに横たわってから明日の用事が心配になってくる人は多い。そんな習慣から抜け出すコツが、用事に優先順位をつけること(ハリス博士談)。すべての用事(やりたいこと、やる必要のあること)を3つに分類する。第1類は、その日にやるべきこと。第2類は、できればその日にやりたいこと。第3類は仕事以外で他の人から期待されていること。このうち第1類に分類したことだけを優先し、残りの2類からは1つ以上できたら上出来とする。この考え方が、ストレス軽減につながるのだ(その日にやるべきことが、それほど多くないことに気付くはず)。その結果、日中の活動が生産的になり、穏やかな気持ちで過ごせるようになって、夜も眠りやすくなる(ハリス博士談)。
これだけの知恵を絞っても、妊娠前と比べたらまだ眠りにくいかもしれない。それでも、どんなにささやかな休憩だって効果はあるのだと自分に言い聞かせよう。ここで紹介したヒントは、確実に寝不足になるであろう産後にも役立つものばかりだ。
文:サブリナ・ハント
写真:ビビアン・キム
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