エキスパートが伝授する、夜によく眠るためのコツ
健康とウェルネス
管理栄養士と睡眠療法士が、夜にぐっすり眠れる方法をアドバイス。
良質な睡眠が健康全般の基本であることについては、きちんと証明されている。 しかし、部屋の明かりを消す前にドラマをもう1話だけ見ようとしたり、多少睡眠時間を削ってでも自分の時間を捻出しようとするリベンジ夜更かしが癖になったりして、夜にしっかり睡眠をとるのに苦労している人は多い。
睡眠をサポートしてくれるサプリメントも市販されているが、そのようなものに頼らなくても自然に解決できる方法がほかにないものかと考えることもあるだろう。 専門家によると、とりわけ、特定の食品を食べること、運動すること、習慣を守ることで、夜の自然な睡眠を体に覚えさせることができるという。 その詳細や、それ以外にも専門家お墨付きの睡眠を助ける方法についてチェックしよう。
1.睡眠を促す食品を食べる
摂取する食品が睡眠に影響を与えることから、理学修士、 登録栄養士(R.D.)、 認定栄養士の資格を持つエイミー・シャピロ氏は、特に就寝時間に近いタイミングで、リラックス効果のある食品を多く摂るよう勧めている。
クルミ:アーモンドやクルミといったナッツ類は特に、睡眠に効果があるとシャピロ氏は言い、 その理由について、「クルミは睡眠ホルモンであるメラトニンが摂取できる食品の1つ」だと説明する。 この種のナッツには、オメガ3脂肪酸として知られるアルファリノレン酸(ALA)も豊富に含まれているとのこと。 ナッツに含まれるALAは、体内で、ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)という重要な2つのオメガ3脂肪酸に変換される。
「DHAはセロトニンの生成を促す効果があり、眠りにつくのを助けてくれます」とのことだ。 最大限の効果を得るには、就寝の30分~1時間前に8~10粒(1つかみ)程度のクルミを食べるといいと、シャピロ氏はアドバイスする。 これはクルミの一食分の量に当たり、この量より少ないと、同等の効果は期待できないとのことだ。
アーモンド:アーモンドもメラトニンを多く含む食品だ。さらに、大事な微量ミネラルであるマグネシウムの摂取源でもある。
「この栄養素は、筋肉や神経系の緊張を解き、炎症を和らげることで、睡眠の質を高めてくれます」とシャピロ氏は説明する。 アーモンド1オンス(23粒程度)で、1日に必要なマグネシウムの19%を摂取できるという。 この量のアーモンドを就寝の30分~1時間ほど前に食べることで、ぐっすり眠れるかもしれない。
キウイ:ナッツアレルギーがある人や、アーモンドやクルミがお好みでない人にシャピロ氏が勧めるのは、普段の夜の軽食にキウイを加えることだ。
「キウイには1日に必要なビタミンCの71%が含まれ、カロテノイドも豊富です。 どちらの栄養素も強力な抗酸化作用があります。炎症を抑えてくれるので、睡眠の質が高まります」という。
シャピロ氏は、4週間にわたって行われた2011年の研究を参考に取り上げる。この研究では、毎晩就寝1時間前にキウイを2個食べると、就寝前に何も食べなかったときと比べて入眠にかかる時間が42%短くなったことが示されている。
2.就寝の4~6時間前に運動する
日中に運動することで、夜の睡眠パターンを改善できる可能性がある。とはいえ、よく眠るために特定のエクササイズをすることが目的ではない。そう説明するのは、心理学博士であり睡眠の専門家で、『The Women's Guide to Overcoming Insomnia』の著者でもあるシェルビー・ハリス氏。ここで最も大事なポイントとなるのは、運動のタイミングだ。
ハリス氏によると、運動するのに望ましい時間帯は、自然に眠くなる時間の4~6時間前とのこと。 「この時間帯に運動すると、体温が少し上昇した後、寝る時間の前に自然に下がります。これが、もうすぐ眠ることを脳に知らせるサインになり、自然に脳内でメラトニンが放出されて、入眠を助けるのです」という。
一方、就寝まで3時間を切るタイミングで精力的に運動すると、「人によっては寝つきが悪くなることがあります。体温を下げるには時間が足りず、深部体温が高すぎる状態になる可能性があるからです」とのことだ。 深部体温が高すぎると、寝つくのに時間がかかるおそれがある。
できれば、運動は早めの時間帯に行うようにしたい。 遅い時間帯でないと運動できない場合は、ヨガ、ストレッチ、ゆっくりペースの散歩といった穏やかな運動をすることをハリス氏は勧めている。
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3.起きる時間と寝る時間を一定にする
夜によく眠れるよう、自然に体に習慣づける最善の方法の一つは、毎日同じ時刻に布団に入り、同じ時刻に起きるようにすることだとハリス氏は語る。 もちろん、週末も含めてだ。 「時間を一定にすることで、自然に眠る時間と起きる時間を、体内時計が判断しやすくなります」という。
就寝前のリラックスの習慣も重要だ。 少なくとも就寝の30分前(できれば1時間前)は、スマートフォンやテレビなどの画面を見ないで、 瞑想や読書をしたり、日記をつけたり、絵を描いたり、夜にふさわしい穏やかなヨガをしたりすることをハリスは勧める。こういった活動は脳と体を落ち着かせてくれるのだ。
朝の習慣を守ることも、睡眠の質の向上につながる。 ハリス氏が特に勧めるのは、起床後、朝の太陽の光を浴びること。 「これは体内時計をリセットする絶好のチャンスです」とのことだ。 ハリス氏の説明によると、日光が心と体に朝の到来を知らせ、メラトニンの分泌を停止させる。この2つの作用はどちらも、睡眠スケジュールの維持を助ける。
4.カフェインとアルコールの摂取を控える
ハリスはまた、就寝の3時間前以降のアルコール摂取を控えるようアドバイスする。 「アルコールの摂取は睡眠の質の低下につながり、夜中にたびたび目覚める原因になります。 また、レム睡眠が少なくなり、翌日の思考や感情の制御に支障が出る可能性があります。レム睡眠には思考や感情の制御を助ける働きがあるのです。」
シャピロ氏の説明によると、アルコールは飲んだ時点ではリラックス効果を発揮するが、血糖値の低下を引き起こす原因にもなる。血糖値が下がると、睡眠が途切れやすくなるのだ。 それに、アルコールを排出しようとする体の働きも、夜中に何度も目覚める要因になる。
カフェインについても同じことが言える。 ハリス氏いわく、一日の遅い時間帯にカフェインを摂取すると寝つきが悪くなり、健康を維持するために体に必要な、回復を促す睡眠がとれず、浅い睡眠になってしまうこともあるとのことだ。
シャピロ氏もこれに同意する。 「カフェインによって覚醒してしまい、眠れなくなる人もいます。 影響を受けやすい人は、午後12時~2時以降はコーヒーを飲まないほうがいいでしょう。 午後4時にコーヒーを飲む人もいると思いますが、これも遅すぎる時間帯に該当します。 代謝をして体から排出するのには、時間がたっぷり必要になるんです。」
就寝の8時間前以降はカフェインの摂取を控えることが望ましい。 午後にコーヒーやエスプレッソを飲みたいなら、夜の睡眠の質を高めるために、デカフェコーヒーを選ぶことをおすすめする。
5.カモミールティーを飲む