必ずパッケージの食品表示をチェックしよう
Coaching
表示されている原材料が健康的なものなのか、それとも工夫を凝らした宣伝文句に過ぎないのかを見きわめる簡単なチェック方法を伝授。
ビーガンカリフラワー「チーズ」パフ。チョコレートハマス。植物性グレインフリークッキー生地。どの食べ物も健康に良さそうだが、はたして本当にそうだろうか?
どの程度健康に良いまたは悪い食品かを判断するためには、パッケージに記載されている文言や数字を見るのが最も確実であることは間違いない。問題は、それをどう解釈すればよいのか分からない人が多いということだ。ある調査によると、アメリカ人の83%は、ときどき食品ラベルに記載されている原材料に困惑するという。あなただけではないので、安心してほしい。しかも企業は、健康に関する根拠のない謳い文句を使ったり、感情を刺激するマーケティング戦略を駆使して、消費者の冷蔵庫や食糧庫の中身を左右しようとしている。そう語るのは、Precision Nutritionで主任パフォーマンス栄養コーチを務める登録栄養士のライアン・マシエル氏だ。
パッケージ食品を買い物かごに入れる前に、マシエル氏が教える以下の4つのステップでチェックしよう。
01. 前面に目を通す。
箱や袋の前面は宣伝だと考えよう。企業はこのスペースを使って、情報を与えるのではなく、商品を売ろうとしているのだ。「オーガニック」、「○○含有」など、パッケージに使われる多くの文言は厳しい規制のもとで厳密に定義されているが、「自然」、「本物のXまたはYを使用」といった表現が誤解を招く場合がある。
どの程度健康的な商品かを考える際に、このような謳い文句に影響力があることは明らかだ。しかし、その文言が正しくても、栄養上の品質に関連しているとは限らないことを、『Journal of Public Policy & Marketing』に掲載された研究が示している。例えば、低脂質やグルテンフリーの食品であっても、それを食べることが自分の体に良いかどうかは医者や栄養士に相談して判断する必要がある。また、そのような食べ物でも、あまり健康に良くない他の特性があるかもしれない。これについては、以下で説明する。
健康に関する宣伝文句を見ると自分の体に良い商品だと思い込んでしまうこの現象を、研究者は「健康ハロー効果」と呼ぶ。マシエル氏は次のように述べている。「食品に記載されている文言が多ければ多いほど、注意する必要がある。例えば、ホウレンソウには購買を促すためのマーケティング上の工夫がそれほど施されていない。ホウレンソウは放っておいても売れるからだ」
02. 記載内容をクロスチェックする。
パッケージで食物繊維について強調されていたら、栄養成分表示欄を見て、何グラム含まれているか確認する。マシエル氏によると、「○○含有」と記載されている場合は一日の推奨摂取量の10%以上(食物繊維の場合は2.5-3グラム)、「高○○」や「○○豊富」と記載されている場合は20%超(食物繊維の場合は5グラム以上)含まれているという。
続いて成分表をチェックし、その食物繊維が全粒穀物、豆類、果物、野菜などの自然由来のものか、オオバコやセルロースなど、食物繊維の含有量をかさ増しするために添加されたよく分からないものかを調べる。タンパク質についても同じことを行い、エンドウタンパク分離物ではなく、エンドウなどの自然食品由来であることを確認する。「より自然な状態の食べ物は、一般的に栄養が凝縮されており、低カロリーのため、体に良い」とマシエル氏は言う。
栄養に関する宣伝文句が書かれていたら、必ずこれを行おう。パッケージの他の部分に前面の文言を裏付ける情報が多少なりとも記載されていたら、さらに調査を続ける。そうでなければ、商品を棚に戻すのが賢明だ。その企業は何らかの理由で消費者を欺こうとしているかもしれない。
「食品に記載されている文言が多ければ多いほど、注意する必要がある」
ライアン・マシエル
登録栄養士、Precision Nutrition主任パフォーマンス栄養コーチ
03. 原材料を調べる。
次に、原材料リストをさらに詳しくチェックする。原材料は重量順に記載されている(つまり、初めに記載されているものがその食品の大部分を占める)ため、上位3つが極めて重要だ。その位置には、脂肪分の少ないタンパク質、野菜、果物、全粒穀物などの自然食品が記載されていることが好ましい。糖を含む場合は、リストの下部、できれば最下位近くにあるとよい、とマシエル氏は言う。また、糖の原料が1種類かどうか(ハチミツやデーツなどが望ましい)にも着目する。「シロップ」や末尾に「ロース」が付くものは糖類だということを覚えておこう。
原材料の項目数によって健康的かそうでないかの線引きをすることはできないが、原材料リストが長いものより短いものの方が良いことは間違いない、とマシエル氏は述べている。原材料が多い食品ほど、加工度が高い傾向があるそうだ。(また、最近の研究では、超加工食品の多い食生活が、過食、肥満、疾患リスクの増大に関係していることが示されている。)
04. 事実を検討する。
ここまで来たら栄養成分表示に的を絞り、まずは一人分の分量を確認するようにと、マシエル氏は言う。今年、米国食品医薬品局は、多くの食品の一人分の分量を更新し、人が実際に食べる量をより正確に反映した。しかし、驚いたことに、マシエル氏によるとこれは栄養士が推奨する量ではないという。これは、平均的な人が食べる量であり、その他の栄養情報も考慮することが前提となっている。グラノーラの一人分の分量が1/3カップだとしたら、通常お皿一杯分食べる人は、ラベルに書かれている数字を掛け算すれば、実際に摂取するカロリー、脂質、糖が思ったより多くなることが分かるだろう。
また、添加糖分の量を把握する必要がある。これは、果物や牛乳などの食品にもともと含まれている糖分ではなく、食品を甘くする加工過程で添加される糖分を指す。この数値がとても重要だ。添加糖分が多すぎると(アメリカ心臓協会と米国農務省によると、女性で1日25グラム超、男性で36グラム超)、血糖値が急上昇して突然のエネルギー不足を引き起こしたり、皮膚疾患や睡眠障害といったさまざまな健康上の問題が生じたりする可能性があるとの研究結果も出ている。
暗黙の事実
当然ながら、より健康的な食品選びを簡単に行う最も単純な方法は、ラベル無しの食品をできるだけ多く選ぶことだ。栄養成分表示を見なくても、トマト、リンゴ、ケールが体調を万全にするために役立つことは明らかだ。そして、自然のままのパッケージ(パッケージ無し?)が魅力的で、地球環境に優しいことは言うまでもない。