アメリカンフットボールの基礎知識:プレー方法
スポーツ&アクティビティ
ファーストダウンの取り方から得点の条件まで、ゲームの基礎を学べるアメリカンフットボールの初心者向けガイド。
アメリカンフットボールは、観るのもプレーするのもエキサイティングなスポーツ。でも詳しくない人にとっては、ルールなどが少々わかりにくいかもしれない。 アメフトの試合を理解するために、ゲームの目的、得点、計時、ポジション、プレーの順序などについて学んでおこう。
アメリカンフットボールの得点
ゲームの目的 これは単純明快。相手チームを上回る得点を獲得すれば勝利である。 ボールを投げて味方に受け渡したり、走りながら1人でボールを運んだりした結果、プレーヤーがゴールラインを越えてエンドゾーンに到達すればポイントの獲得となる。またはフィールドゴールポストの間を抜けていくボールを蹴ることで、「フィールドゴール」のポイントを獲得する。
標準的なフットボールフィールドは、縦が120ヤード(約110メートル)の長方形で、天然芝または人工芝が敷かれている。 プレーフィールドは横幅が50ヤード強、縦がちょうど100ヤードで、両端にそれぞれ10ヤードのエンドゾーンがある。 このエンドゾーンが得点エリアとなるため、チームはボールを相手陣内のエンドゾーンまで運んで得点を試みる。ボールの運び方は、持って走る方法と投げてキャッチする方法がある。
各エンドゾーンのすぐ後ろにはフィールドゴールポストが立っており、チームはポストの間を狙ってフィールドゴールを蹴る(詳細は後述)。 ゴールラインは、エンドゾーンとプレーフィールドを分ける線上に位置する。
「ランかパスによってボールがゴールラインを超えると、6ポイント取得。これがタッチダウンです」と説明するのは、コルトン・コーン氏。バージニア州リンチバーグにある全米大学体育協会(NCAA)で、ディビジョン1に所属するリバティ大学の選手人事部長を務めている。 NCAAの規定によると、ディビジョンIは大学間スポーツのトップレベルを示す。
コーン氏が説明する。「タッチダウンをしたチームには、追加ポイントへのチャレンジが与えられます。キックで1ポイントを狙うか、コンバージョンで2ポイントを狙うかが選べます。コンバージョンを成功させるには、基本的に3ヤードラインからタッチダウンを奪う必要があります」
注:ナショナルフットボールリーグでは、2ポイントコンバージョンは2ヤードラインから獲得し、1ポイントキックは15ヤードラインから蹴る。
4回のダウンでタッチダウンを記録できない場合(詳細は後述)、4回目のダウンでフィールドゴールを蹴り、ゴールポストの間を通過すれば3ポイント獲得となる。 「ポイントを獲得するには、キックがすべてバーの上を通過する必要があります」とコーンは言う。
(防御中に)ポイントを獲得できるもう1つの方法は、エンドゾーンで相手チームのプレーヤーにタックルすること。 オフェンス側がボールを持っていて、自分のエンドゾーンでタックルされることを「セーフティ」と呼ぶ。タックルを決めたディフェンス側のチームに2ポイントが入る。
プレーの順序
フットボールでは、まず両チームのスペシャルチームがフィールド上に登場し、キックオフで始まる。 ボールを蹴ったチームがディフェンス、ボールを受け取ったチームがオフェンスとなる。 ボールを受け取ったオフェンス側のチームは、キックオフのボールをキャッチした後、キックしたディフェンス側のチームにタックルかアウトオブバウンズで止められるまで、できるだけ前にボールを運んで陣地を挽回する。 キックオフプレーの後、両チームのオフェンスラインとディフェンスラインがそれぞれフィールドに登場する。
注:レシーブチームは、エンドゾーンでボールをキャッチして膝をついたり、ボールがエンドゾーンを超えて蹴られたときに、タッチバックを獲得する。 タッチバックが成立すると、オフェンス側は自動的に自陣25ヤードラインから攻撃を開始できる。
「オフェンス側のチームは、[ダウン]と呼ばれる4回のプレー機会で10ヤードの獲得を目指します」とコーン氏は説明する。 「4回未満のダウンで10ヤードを獲得すると、すぐにダウンはリセットされます。オフェンス側にはその地点からさらに10ヤード獲得を狙うチャンスが4回与えられます」
各プレーの開始時に、オフェンスとディフェンスがそれぞれ仮想線の上に整列する。この仮想線が「スクリメージライン」だ。 センターがボールをクォーターバックにスナップすると、プレーが始まる。 クォーターバックは、ボールをランニングバックに渡してランプレーでヤードを獲得してもいいし、チームメイトにボールを投げてキャッチしたプレーヤーをエンドゾーンに向かって走らせてもいい。
ディフェンスの目標は、ボール保持者にタックルしたり、パスを邪魔したり逆に奪ったりして、オフェンスが4ダウン以内に10ヤードを獲得できないように前進を阻止すること。 ディフェンス側のプレーによってオフェンス側がボールを落とすこともある(ファンブル)。ディフェンス側がボールを拾い上げれば攻守交代になる。相手のエンドゾーンに向かってボールを運んでもいいし、運が良ければタッチダウンも狙える。
「ディフェンスが成功し、オフェンス側が10ヤードを獲得できない場合、オフェンス側は4回目のダウンでパントキックを飛ばして相手チームにボールを渡します。でもあくまで10ヤード獲得を目指す場合は、パスかランで最後の攻撃に賭けることもあります」とコーン氏は言う。 「でもオフェンス側が4回目のダウンで10ヤード獲得を達成できなかった場合は、相手チームはボールがある地点からスタートするので地理的に有利になります」
4回目のダウンではもう1つプレーのオプションがある。それはオフェンス側が3ポイント(タッチダウンで6ポイント)取得を狙ってフィールドゴールを蹴ること。このプレーは、相手のエンドゾーンに近い距離で可能となる。 以下のオフェンス側のプレーが終わると攻守交代となる。
- フィールドゴールを試みる
- 4回目のダウンでコンバージョンに失敗する(最初のダウンまたはスコア獲得に失敗する)
- タッチダウンを記録する(さらに追加ポイントまたは2ポイントコンバージョンを試みる)
試合時間をすべて経過した時点で、ポイントの多いチームがゲームの勝者となる。
第4クォーター終了時に同点の場合、通常は延長戦が開始される。 延長戦の具体的なルールは、プレーのレベルやリーグによって異なる。
計時の基本
フットボールの試合は4クォーターに分けられ、1クォーターはそれぞれ15分間である。 だがゲーム中にはタイムアウト、クォーター間の休憩、ポゼッション間の一時停止などが頻繁に発生するため、通常は全部で約3時間くらいの長さになる。
プレー時間はスナップ後から計測されるが、次のようなシナリオが発生するたびに時計を止める。
- 不完全なパスが投げられたとき
- 得点が成立したとき
- ボールを持った選手が前半のラスト2分間、後半の5分間にアウトオブバウンズになった場合
- タイムアウト(注:各チームにはハーフごとに3回のタイムアウトが割り当てられている)
- ペナルティがあったとき
- 怪我が発生したとき
プレーヤー
すべてのフットボールチームには、ディフェンスラインとオフェンスラインがある。所属選手は、みなどちらか1つに所属するように定められている。 攻守交代時にフィールドに出てくるスペシャルチームラインもある。 スペシャルチームには、キックオフチームとキックオフリターンチーム、パントチームとパントリターンチーム、フィールドゴールユニットがある。 各ラインは11人のプレーヤーで構成されているため、各チームから一度に11人のプレーヤーがフィールドに立つことになる。
(関連記事:アメリカンフットボール初心者のためのポジションガイド)
オフェンスポジション
オフェンス側のプレーヤーは、ラン、スロー、キャッチ、パスでヤードを稼ぎ、ポイントを獲得することが期待される。 相手チームのプレーヤーをブロックして、クォーターバックが安全にプレーする時間を確保する。
- オフェンスライン:レフトタックル、レフトガード、センター、ライトガード、ライトタックルで構成される。 オフェンス側のプレーヤーは、各プレーの開始時にスクリメージラインからスタートする。 オフェンスラインの選手は、クォーターバックがボールを投げる時間を確保するために相手ディフェンスを邪魔する「パスブロック」か、ランニングバックやフルバックがボールを持ってヤードを稼げるように相手ディフェンスを抑える「ランブロック」のプレーをする。 センターがボールをクォーターバックにスナップすると、プレーが始まる。
- クォーターバック:「QB」と略称されるクォーターバックは、オフェンスの司令塔の役割を果たす。 各プレーの開始時に、センターはボールをクォーターバックにスナップする。クォーターバックは、パス、ハンドオフ、ランなどのプレーを選択してヤードの獲得を目指す。
- ランニングバック:クォーターバックから引き継ぎをして、ランプレーによってヤード獲得を狙う。キャッチプレーやブロックに参加することもできる。
- フルバック:リードブロッカーの役割を果たす。 フルパックのプレーヤーがクォーターバックやランニングバックに迫ってくる相手をブロックすれば、QBやRBはタックルされずにプレーを続行できる。
- ワイドレシーバー:パスをキャッチするスペシャリストとして知られる。 ワイドレシーバーがハンドオフしたり、相手プレーヤーをブロックしたりする場合もある。 フィールド内で特に速く走れるプレーヤーが務めるポジションだ。
- タイトエンド:このポジションは、レシーバーとオフェンスラインマンの間で複数の役割をこなす。 クォーターバックとランニングバックのために相手ディフェンダーをブロックしたり、自分でパスを受けることもできる。
ディフェンスポジション
ディフェンス側の主な目標は、相手チームの攻撃を阻止すること。相手が得点を入れたり、4回のダウンで10ヤード獲得したりするのを防ぐ。 ディフェンスは、ボール保持者にタックルし、ボールをキャッチするプレーヤーにタックルし、パスをインターセプトし、ファンブルを引き起こすことが具体的な目的となる。 主要な役割ではないものの、ディフェンスのプレーヤーが相手ボールをインターセプトしたり、ファンブルしたボールを奪って、そのままタッチダウンを記録することもできる。
- ディフェンスライン:ディフェンスラインは、相手チームのオフェンスラインの反対側でスクリメージライン上に並ぶ。2人のディフェンスエンド、1〜2人のディフェンスタックルからなる3~4人のプレーヤーで構成される。 ディフェンスラインは、相手チームの攻撃に対する最初の防衛線だ。攻撃的なプレーヤーにアタックし、ヤード獲得を阻止するのが最優先事項となる。
- ラインバッカー:アウトサイド、インサイド、ミドルのラインバッカーからなる。フィールドには常に3~4人のラインバッカーがいる。 ラインバッカーは、ランニングバック、タイトエンド、ワイドレシーバーのプレーを邪魔し、パスラッシュやボール保持者へのタックルも狙う。
- コーナーバック:フィールドにはコーナーバックの選手が2~4人いる。 通常はディフェンスで最速のプレーヤーが務め、一般的に相手のワイドレシーバーを抑える。 コーナーバックはパスを分断してインターセプトしたり、パスをキャッチするプレーヤーへのタックルも狙う。
- セーフティ:ストロングセーフティとフリーセーフティの2つのポジションがある。 守備の一番後ろに構えるラインであり、自陣の最深部でプレーしながら相手のランプレーのディフェンスもサポートする。 長距離のパスを警戒し、ボール保持者へのタックルも狙う。
スペシャルチーム
スペシャルチームは、キックオフ、パント、フィールドゴールに特化したプレーヤーたちで構成される。
- キッカー:キックオフやフィールドゴールの際にボールを蹴る。
- パンター:オフェンスがファーストダウンを獲得できなかった場合、相手チームがなるべく後ろの地点からオフェンスを開始するようにパントキックで長いボールを蹴る。
- キックリターナー:キックオフ後にボールを受け取り、攻撃開始の地点をなるべく前方で始めるために相手陣地に向かって走る。
- パントリターナー:キックリターナーと同様、このプレーヤーはパンターが蹴ったボールを受け取り、ヤードを稼ぐために相手陣地に向かって走る。
- ロングスナッパー:キッカーやパンターのために、通常センターがおこなうスナップよりも長い距離でボールを味方に受け渡す。
文:エイミー・シュリンガー