プロセスをコントロールする
Coaching
目標を達成できていないのを嘆くのではなく、戦略的に1歩ずつ進みながら、そこに到達するまでの過程を楽しもう。
- プロセスを作成し、頻繁に見直すことが、長期にわたって向上し続ける鍵になる。
- プロセスを5つのわかりやすい原則に分割すると、正しく理解できる。
- スタート地点で助けが必要なら、NTCの幅広いワークアウトプログラムが、プロセスの作成に役立つ。
知っておくべきポイント
事実、目標に到達するまでの過程にあるのは努力だけではない。
戦略的なマインドセットも持つ必要があると言うのは、シンガポール国立大学の心理学科で助教授を務めるパトリシア・チェン博士だ。彼女は、最近発表された戦略的マインドセットに関する3つの新しい研究の共著者でもある。戦略的マインドセットの原則は、進歩に行き詰まりや遅れを感じているときに、一歩下がって、「もっと良い方法はないのか?」という大きな質問を自分自身に投げかけることにある。
成功する人は、自分のプロセス、つまり意図的に行うすべての行動に対してこの質問を投げかけ、日々より良い方法で自分の目標に近づこうとする、と言うのは、シカゴ大学プリツカー医学部 脳ダイナミクス研究室の主任で、神経科学者のステファニー・カシオポ博士だ。
プロセスは広く全体にわたる。ワークアウトについてだけでなく、たとえば、前の夜にはどのように準備して眠るか、事前に何を食べるか、ウォームアップの時間をとるかどうか、どれぐらい詳細に記録するか、どうやって回復するかなどすべてが関係してくる。そう考えることで、毎日少しずつ変化させることができるのだ。また、もっと向上するために付け加えられることや変えられること、取り除いた方が良いことはないかと、自分自身に対してかなり規則的に問いかけることでもある。
プロセスを確立することによって、常に学び成長するためのモチベーションを自分の内側に見出すことができ、自信も育つと、カシオポ博士は言う。また、自分の目的と進捗状況をリアルタイムで確認することになるため、作業の持続可能性が高まり、心から楽しむことができるようになるとも述べている。では、その具体的な方法を紹介する。
まず、CRAFTを磨く
カシオポ博士が作った頭字語、CRAFTを使ってプロセスを開発し、堂々と成長への道を歩もう。
- CはConsistency(一貫性)。カシオポ博士の定義によれば、一貫性のある人が今日行ったパフォーマンスは、昨日の標準を満たし、時にはそれを超える。
- RはRepetition(繰り返し)。ルーティンや個々の行動の繰り返しによって、それらが自動化される(筋力エクササイズに取り組むことや重要度順にToDoリストを作ることを考えてみよう)。
- AはAction-planning(行動計画)。来週のランニングスケジュールをカレンダーに書き入れるなど、目標に向けてやるべきことを具体的に計画する。このステップは、特に力を与えてくれるし、やる気を起こさせてくれるとカシオポ博士は言う。エネルギーを投資する場所は自分でコントロールできると気づかせてくれるからだ。
- FはFocus(焦点)。オンラインサイクリングのクラスでも、その後のストレッチでも、シンプルに「現在に100%集中する」ことだとカシオポ博士は定義している。
- TはTolerance(許容)。自分や他の人(たとえば、ストレスで疲れているルームメイト)だけでなく、自分の失敗や成功も許容する。目標を追い続けるのは簡単なことではない。だから、「心身の痛みを許容するアスリートとしての力量が、プロセスには重要」だとカシオポ博士は説明する。
次に、それらを適用する
これで、プロセスがどういうものかわかったはずだ。次は実行に移す方法を見てみよう。
1. コミットメントをに全力を注ぐ。
プロセスをプロセスとして機能させるには、あるプロセスを1回限りのイベント(あるいは2週間限定のイベント)にするのではなく、それに含まれる要素を繰り返す必要がある。たとえば、ワークアウトと健康的な食事、1時間の楽譜を読む練習と1時間のコードを弾く練習などだ。長期間行うことに及び腰になったり、モチベーションが下がってきた場合は、1度その作業をやり遂げるごとに、次はもう少し簡単にできるようになることを思い出そう。そでが一貫性につながっていくとカシオポ博士は言う。
2. 戦略を研ぎ澄ます。
プロセスを確立することは、すべてをやることとは違う(そんなことは誰もできない)。成功する人は自分が達成したい目標と、そのために何をすればよいかを正確に把握しているとカシオポ博士は言う。多くのトップアスリートが、トレーニングをブロックに「期分け」する理由はそこにある。筋力、スピード、耐久力などパフォーマンスの要素ごとに焦点を置くと、それらが干渉し合うこともない(彼らは、エネルギーと時間に限りがあるという事実も許容している)。
より早く目標に達成しようとタスクをいくつも試みる代わりに、行動計画を立てて、方法、時間、場所を特定してみよう。これは実行意図と呼ばれ、一度に1つの目標に到達するのには役立つが、複数の目標を追いかけているときは、あまり役に立たないことが研究により明らかになっている。
3. ゆったり過ごす時間を持つ。
自分に合ったプロセスを確立してしまえば、時間が経つうちにいくつかの要素を意識しなくなってもかまわない。それは実際には良いことだとカシオポ博士は言う。健康的な習慣を取り入れ、大きな成果を挙げている自分の精神に、大いに必要な休息を与えよう。
以上をすべて実行するとなると、とても手に負えないと感じるかもしれないが、すべては日ごとの、または時間ごとの繰り返しなのだ。自分を信じ、プロセスを信じよう。
文:ジェイミー・ミラー
絵:レオナルド・サンタマリア
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