コーチのお墨付き:ランニングを上達させるための5つのヒント(本当に効果あり!)
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マンネリを打破し、フィットネスの向上を続ける秘訣をご紹介。
多くのランナーは、決まったルーティンを好ましいものと捉え、数か月(あるいは数年)にわたって同じ距離を同じスピードで走る。そのような手堅い方法を採用するのは決して悪いことではない。 しかし、そのルーティンがマンネリ化していると感じるランナーがいるとしたら、ちょっとした変化を加えてみると、結果としてパフォーマンス向上につながるかもしれない。これは今からランニングを始める初心者にとっても参考になるはず。
ランニングを始める心構えができたら、認定資格を持つ3人のランニングコーチが伝授する秘訣をチェックしよう。
ランニングを上達させる方法
1.初心者は、まず習慣づけを重視しよう。
スピード、強度、距離などをあれこれ変えてみる前に、鍵を握る要素であるスケジュールを確立するところから始めよう。
「トレーニングで最も大事なことは一貫性。初心者ランナーにとっては特に重要です」と話すのは、ミルウォーキー在住のRRCA認定ランニングコーチ、ポール・ワーロスキーだ。 「週に3〜4回、30分走るようにしましょう。途中で歩いても構いません。 新しい習慣に順応しなければならないと体に伝えることになり、体がこれに応えるのです」
けがをした場合を除き、毎週のランの習慣を破らないようにしよう。走る日は、毎回、同じ時間にランを始めるのが望ましい。 ランに出かけることを見越して、心身ともに備えができるようにするためだ。
2.スプリントの前にストライドトレーニングに取り組もう。
スプリントワークアウトにはそれなりの意義があり、経験を積むと重要性は増す。ただしスプリントに全力で取り組むトレーニングは、調整して臨まないとかえって体に悪影響を及ぼしかねず、逆効果になることがあるとホイットニー・ハインズは語る。彼はテネシー州ノックスビル在住のVDOT認定ランニングコーチで、The Mother Runnersの創設者でもある。 スプリントワークアウトに取り組めるようにするために、まずはストライドトレーニングをした方がよいとハインズはアドバイスする。
20〜30秒かけて徐々に加速していき、トップスピードに達したら少しの間そのスピードを維持し、今度は30秒かけて通常のランニングのスピードまで減速する。 週にほんの数回でも、ランニングの際にストライドトレーニングに取り組めことで、フィットネスへの大きな効果が期待できるとハインズは言う。
「ストライドトレーニングでは、神経筋制御の働きを改善することで、パフォーマンスを高められます。 筋肉は脳から動くよう指示されると、できるだけエネルギー効率が高くなるような動き方を学習します。 ストライドトレーニングの目標は、心肺系の強化というより、神経筋制御の働きを高めることなのです」
何より、スプリントトレーニングほど難易度が高くない点がメリットになるとハインズは言う。それでいて、骨、腱、筋肉、関節を強化できるレベルの負荷はかかる。
「それに、少しずつ負荷を高めていくのでフォームに集中でき、すぐに疲れてしまうことがありません。 疲れるとフォームがいい加減になり、けがをしやすくなるため、疲れにくいというのは重要なことです」
3.ヒルリピートにチャレンジしよう。
トレーニングではほとんど起伏のない平坦な場所で走っていても、レースではずっと平坦な場所を走れるとは限らない。 また、レースには興味がない場合でも、坂道での走り方が身につけば、パワー、ストライド、持久力が向上すると、ニューヨーク在住のRRCA認定ランニングコーチ、ローレンス・シャムは語る。
「ヒルトレーニングは楽ではありませんが、繰り返し行えば、ストライドが広がり、体の動きがダイナミックになります。 標高差のある丘陵コースのレースに出たいときは、特に効果的。 ヒルトレーニングを行えば、起伏の多いコースに備えることができます」
ストライドトレーニングのように、日々のランニングに適宜組み込めるものとは違い、時間を取ってトレーニングを効率的に実施したい場合にヒルリピートは最適かもしれない。 通常のランの代わりにヒルリピートを行ってもよい。
一般的なヒルワークアウトでは、最大を10とする自覚的運動強度(PRE)が7程度の適度なペースで坂道を駆け上がり、リカバリータイムとして、PREが4程度の楽なペースで坂を下る。 これを6〜8回繰り返すことをシャムはすすめる。
ヒルリピートのコツをつかんだら、段階的に強度を上げて変化をつければよい。 たとえば、最初にPRE6で坂道を上ったら、次はPRE7、8、9と順に強度を上げ、今度は8、7、6と下げていく。 このトレーニングにより、強度を調整しやすくなり、PREを上げるとフォームやストライドにどんな影響が出るかがわかるようになるとシャムは話す。
「特にトレーニング計画を立てることもなく、起伏に富んだ地形を走るだけで、山での走り方が身につくと誤解している人が多い。 それも確かに力にはなりますが、集中して取り組むヒルトレーニングのほうが効果があるのです」
4.スピードプレーを取り入れよう。
ここでスプリントトレーニングの出番だ。ただし、スウェーデン語が語源のファルトレクという楽しい方法で行う。 ファルトレクは体系化されていないスピードワークの一種であり、適度なペースのランニングに、全力で取り組む短時間のスプリントを組み合わせる。多くはスプリントの時間を決めるか、目標地点になる目印を決める。 たとえば、軽いジョギングの途中で、木や停止標識を目印にしてスプリントを挟み、またいつものペースに戻す。
シャムはこう説明する。「これは楽しくて一風変わったワークアウトです。 基本的には、ランにインターバルワークアウトを組み込むようなもので、好きなように調整できます」
たとえば、3分間のランニング後、スプリントを1分行う。これを10分間または約16キロ走ったりする間、繰り返す。間に挟むランは好きなように調整できる。 ヒルリピートと同じように強度を段階的に上げていくこともできる。たとえば、5秒間のスプリントから始めて、10秒、20秒、30秒、20秒、10秒、5秒と順に時間を変化させる。スプリントとスプリントの間は適度なペースのランニングでつなぐ。
このやり方の優れた点は、単調で退屈に感じることもある長距離ランを分割できることだ。 友達と2人で、またはグループで走るときは、ファルトレクを取り入れて、普段のトレーニングの中にミニレースを組み込むこともできる。
5.クロストレーニングもお忘れなく
ランニングに熱心に取り組んでいても、実施するアクティビティが1種類だけだと、けがのリスクが高くなる。 ここで問題になるのがオーバーワーク。ある研究によれば、特に膝や足首の損傷、さらに腱の捻挫や疲労骨折も、オーバーワークが引き起こす問題だ。 けがのリスクを減らしつつランニングを上達させるには、1週間のルーティンに異なったアクティビティを加えることが重要。
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シャムはこう語る。「クロストレーニングは、ランニングの上達に私がぜひおすすめしたいトレーニングです。ランニングで使うのと同じ筋肉を使いますが、同じやり方で繰り返し負荷をかけるということはしません。 好例はサイクリング。 ランニングもサイクリングも大腿四頭筋とふくらはぎを使いますが、足首から上の部位に対するつま先部分の動きに違いがあるため、筋肉の動かし方が異なるのです」
クロストレーニングには、筋力トレーニング、ヨガ、ダンス、水泳など、異なる可動域で体を動かすさまざまなアクティビティが含まれる。 「フィットネスに種類豊富な運動を組み込むほど、ランニングは上達するでしょう」とシャムは話す。
文:エリザベス・ミラード