ランニング中の呼吸法

スポーツ&アクティビティ

ランニング自体のテクニックと同じように、ランニング中の呼吸にもテクニックがある。 身体は元気なのに息が切れている場合は、呼吸パターンを調整する必要があるかもしれない。

最終更新日:2024年12月21日
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ランニング中の呼吸方法

呼吸には大きな力がある。 呼吸パターンが変われば、身体の状態すら変わってしまうのだ。 そのため、瞑想やヨガの最中は、より長く、深く、ゆっくりと呼吸することが推奨されている。 呼吸は神経系を落ち着かせ、副交感神経を優位にする。言い換えれば、「休息と消化」の状態になるのだ。 これにより、一瞬一瞬自分の体に集中し、ストレスと戦うことが可能になる。

次に、呼吸にはランニングで実践するタイプのものがある。 一部のランナーは、走っている間に瞑想状態になり、 呼吸が安定する。 走ることそのものに浸りきり、永遠に続けられるような感覚を抱くことさえある。 目標とするのはその境地だ。 しかし、多くの初心者にとって、走り始めるとすぐにハーハーと息を切らしてしまうことが、長距離を走ることをためらう原因となる。

興味深いことに、初心者の多くは「私は疲れていません。息が切れているだけです」と言う。これは心肺機能の低下の兆候かというと、 ある程度はそうだが、 それだけではないのが事実だ。 ランニング自体のテクニックと同じように、ランニング中の呼吸にもテクニックがあるのだ。 胸を張り、体幹を働かせ、前方を見つめて走る。 また、体の横で力強く腕を振り、足の母指球で着地する。

このように正しいランニングフォームについてはよく語られるが、ランニングのための正しい呼吸法にはあまり言及されない。 では、ランニング中の呼吸はどのようにコントロールすればよいのか? ランニング中における最善の呼吸法を探ってみよう。

ランニング中に呼吸数が増える理由

息を吸うと、空気が取り込まれる。 この空気は肺に入り、血液に酸素が送り込まれる。 すると、エネルギー生産の老廃物である二酸化炭素が血液から肺に入り、息を吐くときに排出される。 酸素を含んだ血液は、体を巡り、働いている筋肉に流れる。 これはガス交換の基本であり、理解しておくと、ランニング中の呼吸の重要性について考える上で役立つ。

運動をするとき、筋肉は懸命に働いている。 筋肉に送られた酸素は、ブドウ糖をアデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるものに変換するために使用される。 ATPは、筋肉の収縮の動きを促進するエネルギー源だ。 そのため、酸素需要が増加し、二酸化炭素の生成も増加する。 これに対応するために、呼吸数が増加して、より多くの酸素を取り込み、筋肉に送り込もうとする。

より速く呼吸すれば、より多くの酸素を取り込めると思うかもしれない。 しかし、実際にはそうではない。

ランニング中の呼吸法を知ることが重要である理由

速く浅い呼吸をすると、身体はより多くの二酸化炭素を排出する。 さらに、細胞が酸素を取り入れるのが難しくなる。 このように急速な胸式呼吸では、酸素を豊富に含んだ息が十分に吸い込まれないため、筋肉は酸素不足に陥る。 十分な酸素がないと、働いている筋肉では、使用できるブドウ糖が乳酸に変換される。 その結果、筋肉が痙攣し、脇腹が痛くなったり、疲労を感じたりする。

ランニング中に呼吸数が増加するのは正常なことだ。 しかし、速く浅い呼吸をし始めるとすぐに、呼吸を正常に戻すのに数分かかってしまう状態になる。 そして、ランニングを終えた後には、激しい運動をしたつもりでなくても、息切れを感じてしまう。

これはどちらかと言うと、初心者のランナーにとっての懸念事項だ。筋肉がまだ酸素を効率的に利用するのに慣れていないことが、その理由の一つである。 定期的に運動を行えば、筋肉機能が高まり、筋肉が収縮するたびに必要となる酸素の量が減り、二酸化炭素の生成も減少する。 これにより、吸って吐く必要のある空気の量が減る。

運動すればするほど、心臓と肺の機能は向上する。 これは、最大酸素消費量としても知られるVO2 maxの試験を受けることで測定できる。 経験豊富なランナーはVO2 maxの値が高いが、これは、体が酸素をより効率的に使用しており、肺活量が多いことを示すものだ。 さらに、彼らはリズミカルな呼吸の技術を習得している可能性が高い。

最終的には、息をコントロールしてリズミカルな呼吸を行うことが、ランニング中の最善の呼吸法になる。 ここからは、次回のランニングから実践できる呼吸のタイプをいくつか紹介する。

ランニング中の最善の呼吸法

  1. 1.鼻呼吸

    鼻は息を吸い込むように作られている。 鼻腔が異物をろ過し、肺へ送られる空気を温める。 これは喘息持ちのランナーに推奨される。喘息は、乾燥した空気と冷たい空気が肺に入ることによって引き起こされる場合があるからだ。 ランニング中は鼻呼吸することで、口呼吸よりも多くの酸素を筋細胞に送り込むことができる。 これは、一酸化窒素の放出によるものである。 これにより、肺の血管が拡張し、ガス交換の効率が高まるのだ。

    International Journal of Kinesiology and Sports Scienceに掲載された研究では、鼻呼吸するランナーと、口呼吸するランナーをグループ分けして比較を行った。 鼻呼吸を実践したランナーは、より多くの二酸化炭素を排出し、排出される酸素の量は少なかった。これは、より多くの酸素が血流に吸収されていることを示している。 また、呼吸速度も遅かった。鼻呼吸グループは1分あたりの呼吸回数が39.2回であったのに対し、口呼吸グループは1分あたり49.4回だった。

    ランニング中の鼻呼吸の方法

    1. まず、自分に合ったランニングペースを整える。
    2. 次に、2つ数えながら鼻から息を吸う。
    3. その後、2つ数えながら鼻から息を吐く。
    4. ペースによっては、息を吸って吐く時間を長くしてもよい。 目標は、歩幅を呼吸に合わせることだ。 たとえば、右足が着地したときに息を吸い、左足が着地したときに息を吐く。

    どんな時に鼻呼吸を行うか

    鼻呼吸は、ランナーが長距離で安定したペースを維持する場合に最適だ。 心拍数が低めのペースを維持することに慣れている長距離ランナーやマラソンランナーには、鼻呼吸の方が適している。

  2. 2.口呼吸

    ランニング中に口呼吸の方が快適となる場面は確かにある。 口呼吸のメリットは、鼻呼吸よりも大きく呼吸できることだ。 これにより、激しい運動中も安心感を得ることができる。

    ただし、ランニング中に口呼吸をする場合は、浅い呼吸を避けた方がよい。 横隔膜に達するような深い呼吸を目指そう。

    どんな時に口呼吸を行うか

    鼻づまりがある場合は、口呼吸が適している。 また、スプリントや高強度インターバルトレーニングなど、ランニングの種類によっては口呼吸に移行するのが自然な場合がある。 より多くの空気を取り入れたくなるのは自然なことであり、口呼吸ではそれが可能だ。

    ある研究で、高強度の無酸素運動中における口呼吸と鼻呼吸の影響が調査された。 研究者たちは、酸素取り込み能力の尺度である呼吸交換率が、口呼吸を実践したグループの方が高かったことを発見した。 これは、より強度の高いランニングにおいて口呼吸を行うことを支持するものだ。

  3. 3.横隔膜を使用した口呼吸と鼻呼吸

    ランニング中の呼吸で最も一般的なものは、鼻から横隔膜まで息を吸い込み、口から吐き出す方法である。 これは、パフォーマンスに直結するさまざまなメリットがあるため、ヨガで推奨されることの多い呼吸法だ。 横隔膜呼吸(または腹式呼吸)は完全な酸素交換を促進し、以下のような効果をもたらす。

    • コルチゾール(ストレスホルモン)レベルの低下
    • 血圧の低下
    • 体幹の活性化
    • 肺活量の増加

    ランニング中の横隔膜呼吸の方法

    この呼吸法によるランニングパフォーマンスの向上には、さまざまな方法がある。

    ランニング前のウォーミングアップ

    1. 走る前に、鼻から息を吸い始め、7つ数えながら、腹の深いところまで息を吸い込む。
    2. 口から力強く息を吐いて、体内の空気をすべて吐き出す。

    この呼吸でウォーミングアップを行い、体幹を活性化してランニングに備えよう。

    ランニングからの回復には、「4-7-8」の呼吸法を

    1. 仰向けになるか、楽な姿勢で座る。
    2. 4つ数えながら鼻からゆっくりと吸い込み、風船を膨らますように、腹を十分に膨らませる。
    3. 7つ数えながら肺に空気を溜める。
    4. 8まで数えながら口から息を吐き出す。

    この呼吸運動により神経系が落ち着き、運動からの回復が促進される。

    ランニング中

    1. 3つ数えながら鼻から息を吸う。
    2. 5つ数えながら口から息を吐き出す。
    3. これはストライドに合わせて調整してよい。 目標は、コントロールされたリズミカルな呼吸を行えるようにすることである。

公開日:2021年11月17日

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