エキスパートが教える、けがをせずにランニングの距離を伸ばす方法

スポーツ&アクティビティ

安全かつ効果的な方法でスマートに進歩を続け、よく起きる障害を回避しよう。

最終更新日:2022年7月27日
この記事は8分で読めます
ケガを防止しながらランニングの距離を伸ばす方法をエキスパートが解説

ランニングでよく起きるけがは、たいていオーバートレーニングが原因だ。 対処せずに長い間放置すると、慢性化することがある。

Yale Medicineによると、特に多い障害は、シンスプリント、疲労骨折、ランナー膝、腸脛靭帯症候群。短期間に負荷をかけ過ぎると発症することがある。 使い過ぎによるけがの原因はさまざまだが、最もよく見られるのは、短期間で距離を伸ばすことによるけがだと、スポーツ医学を専門とする整形外科医のティモシー・ミラー博士(オハイオ州立大学ウェクスナー医療センター所属)は話す。

長距離に挑みつつ強い体をキープするための、 エキスパートによるヒントをチェックしよう。

まずフォームを身につける

理学療法博士でありファンクショナルムーブメントコーチも務めるチャド・ウォルディング氏によると、「短期間に負荷をかけ過ぎる」アプローチにより、けがのリスクが上昇するのはランニングに限ったことではない。

「どんな場合でも負荷や抵抗を増やし過ぎると、筋肉や関節に負担をかけることになります」とウォルディング氏は言う。 そしてこの問題は、あらゆるスポーツで起きる可能性があり、筋力トレーニングも例外ではない。 ウォルディング氏はさらに、こういったけがのリスクが高いのは、基本をおろそかにして、すぐにトレーニングをレベルアップしようとする初心者だ、と話す。

関連記事:ランニング後に最適な6つのリカバリー方法

ウォルディング氏はこう続ける。「基礎固めをして、正しい動作パターンを身につける必要があります。 始めからフォームが間違っていると、そのフォームのまま走行距離を重ねていくことになります。これは良くありません。」

ウォルディング氏が説明する正しいフォームとは、上体が前や後ろに傾かずにまっすぐで、目線が下ではなく前を向く姿勢だ。 肩は前に出ずに後ろに下がった状態で、手の力を抜く。こうすると腕がさらにリラックスする。

パーソナルトレーナーやランニングコーチに確認してもらうのがおすすめだ。また、次にランニングシューズを買うときに、ランニングストアでフォームをチェックしてもらうのもいいだろう。

ケガを防止しながらランニングの距離を伸ばす方法をエキスパートが解説

ゆっくり始めて徐々に距離を伸ばしていく

けがを防ぐために特に重要な方法の一つは、自分の計画に沿って進めること。 1日に7マイル走ると決めたら、それを上限にしよう(体が休息を求めているようなら距離を短くする)。

ミラー氏はこう説明する。「どんなトレーニング計画でも、ゆっくり始めて徐々にレベルアップしていくことが重要です。 ゆっくり進めないと、腱炎、疲労骨折、筋挫傷、さらに腱断裂といった使い過ぎによるけがを引き起こし、休みを余儀なくされる可能性が高まります。」

距離は通常、割合または時間を基準に増やしていく。 たとえば、まず週に2~3日、15分のランニングを数週間続けた後、次の数週間は、1回のランニングの時間を20分に増やす。

割合に基づいて距離を増やす方法に興味があれば、「10%ルール」を取り入れてみよう。 このルールでは、走行距離の増加を前の週との比較で10%以内にとどめるようにする。 たとえば、今週の走行距離が10マイルだとしたら、次の週は1マイル増やす。

しかしミラー氏によると、よく見聞きするルールだからといって、実践的であるとは限らないという。 初心者ランナーが重点を置くべきなのは一貫性。最初の1か月(あるいはそれ以上)は距離を増やすべきではないかもしれない。ランニングを習慣にして、ランニングの動作パターンに必要な筋肉を鍛えるためだ。

決めた方法のランニングに余裕を持って取り組めるようになったら、週に10%距離を増やすのが妥当だとわかるだろう。 ただし、バーンアウトの兆候が現れたら(疲労、ふらつき、足首の痛みのような使い過ぎが原因の軽い障害など)、また距離を減らすことを考えよう。 生活全般のストレスもトレーニングのリカバリーを妨げる可能性があり、疲れを感じる原因になることもある。 過剰なストレスを感じているときは、トレーニングを一休みし、ヨガなどで自分の内に意識を向ける呼吸法を実践してみよう。

「ランニングで脚の筋力を鍛えられるか?」の記事もチェックしよう。

ケガを防止しながらランニングの距離を伸ばす方法をエキスパートが解説

トレーニングに変化を付ける

トレーニングを楽しんでいるベテランランナーをお手本にして、トレーニングに変化を付けてみよう。坂道でのラン、スプリント、トレイルランなど、さまざまなワークアウトを加えるほか、時には5Kの楽しいレースイベントに参加するのもいいだろう。

また、水泳や自転車などを取り入れるクロストレーニングは、けがの予防に大変効果的だとミラー氏は補足する。 特に筋力トレーニングは、筋肉への酸素運搬機能(距離とスピードの両方の向上に必要)とランニングエコノミー(心肺機能、代謝、力学的機能、神経筋機能から測定される)を高めるため、ランニングのパフォーマンス向上につながることが、多数の研究で証明されている。

さらに柔軟性、バランス、可動域を向上させるのも有益だ。ヨガなどもランナーの役に立つことが証明されている

身体の声を聞く

一昨日取り組んだ5マイルランで痛みが起きている。 トレーニング計画では、今日は6マイル走ることになっている。 こんなときどうすればいいだろうか。 どの程度の痛みであれば走っても問題ないか、どんな場合に休むべきかを判断することは、ランニングを長く続ける上で欠かせないと、理学療法博士でワシントン D.C.にあるOwn Your Movementのヘルスコーチを務めるケイト・アユーブ氏は話す。

「進歩は直線的なものではなく、パフォーマンスやリカバリーは必ずしもトレーニング計画通りに進むわけではありません」とのことだ。 1回ごと、週ごとの距離をカレンダーに記しておくなど、トレーニングの枠組みを決めておくと便利だが、ある程度臨機応変に変えることも重要だ。

「体の声を聞き、体が何を求めているのかがわかれば、優れたアスリートになれます。パフォーマンスを高めるための方法を調整でき、けがのリスクを減らせるからです」とアユーブ氏。

アユーブ氏が推奨するのは、たとえば、体を動かせばすぐに痛みが軽くなるようなら、負担にならない距離をジョグペースで走ってみて、気持ちよく走れるなら続けるという方法だ。 ただし、日常生活での動作が損なわれるほどの筋肉の痛みがあったり、最初の1マイルを走り通すのも難しいと感じたりするときは、ストレッチや水泳、ヨガなどクロストレーニングの運動に切り替えた方がよい。

関連記事:自宅に心安らぐヨガスペースが簡単につくれる5つのヒント

休養日と上質な睡眠を重視する

アクティブリカバリーと質の高い睡眠を取る習慣は、けがを防いで距離を伸ばすうえで、ランニングそのものと同じぐらい重要だとアユーブ氏は話す。

「休養日」も、ハイキングに出かける、ガーデニングや家事をする、ダンスのクラスに参加する、あるいは水泳などの活動をして過ごすことを、アユーブ氏はは推奨している。 フレッシュな気分になれる運動といつものランニングとのバランスが取れていると、楽しめるはずだ。

アユーブ氏はこう話す。「レースなど特定のイベントに向けてトレーニングしているとき、それを楽しめているかどうか、自分自身の気持ちを意識しましょう。 たとえ熱心に取り組んでいても、苦になるようではいけません。」

文:エリザベス・ミラード

さらにエキスパートからのヒントをチェックするには、Nike Run Clubアプリをダウンロードしよう。

ケガを防止しながらランニングの距離を伸ばす方法をエキスパートが解説

Nike Run Club

Nike Run Clubアプリの音声ガイドランを使用すれば、大迫傑、重本紗絵、酒井俊幸、ゆりやんレトリィバァらのアスリートやコーチとランニングが楽しめる。 音声ガイドランは、体の声を聞き、トレーニングプランを組み立て、自分自身の最高のコーチになるために欠かせない情報の宝庫だ。

公開日:2022年4月21日