ランニングシューズはどのくらいの頻度で買い替えるべきか?

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ランニングシューズの寿命について、また新しいシューズに履き替えるタイミングについて、エキスパートが解説。

最終更新日:2024年1月10日
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ランニングシューズはどのくらいの頻度で買い替えるべきか?

ランニングシューズは一般的に約500~800km走るごとに履き替えるのがよいとされていると語るのは、理学療法博士(D.P.T.)のキャロル・マック。 C.S.C.S.でもあるグレイソン・ウィッカム。

ただし、その端的な答えの中にすべての要素が考慮されているわけではない。 たとえば、ソールがすり減っていたり、つま先にまめができてしまったりしたら、そのランニングシューズはかなり使い古されている可能性がある。

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「ランニングシューズが磨耗してくると、シューズだけでなく体にも何らかの反応が現れます。交換時期を知らせるこうしたサインを理解しておくことが大事です」とマックは言う。

「自分の走行距離を記録していないランナーの場合は特に、以下に挙げる要素に留意するときっと役に立つはずです」と彼女は付け加える。

ランニングシューズを交換するタイミング:注意すべき5つのサイン

1. 摩耗パターンに片寄りがある

シューズの底と側面をちらっと見るだけで、ランニングシューズの交換時期を判断するのに十分な情報が得られることがある。 トレッドがある程度磨耗するのはよくあることだが、摩耗している部分が左右不統一である場合は、問題が起こりうるサインと捉えてよい。 たとえば、シューズの左右どちらかがもう一方よりも摩耗していることに気づいた場合、または、より一般的な例として、左右両方のシューズの特定の部分だけが激しく摩耗している場合(外側のエッジが摩滅しているが、内側のエッジは摩滅していないなど)が挙げられる。

「摩耗しているエリアにばらつきがある場合は、ランニングのストライド自体に調整を余儀なくされます」とマックは言う。 「たとえば、ランナーの走行において非対称性が強調されることで、不安定な走り方になる可能性があります」

その結果、体が不均一な圧力を補おうとするために痛みや違和感が生じ、効率の悪い走り方になってしまうという。 これが長く続くと、関節の安定性に影響を及ぼすおそれがあるとマックは注意を促す。

2. そのシューズを長い間所有している

臨床運動生理学者のジェイソン・マホフスキー(認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)によると、長距離を走るのではなくヒルリピートやトラックでのトレーニングなどに重点を置いているランナーの場合は、走行距離よりも時間を基準にして考えるほうが効果的な測り方になるという。特に、トレーニングサイクル用に別のシューズを用意し、交互に履き替えて取り組むような場合に当てはまる。

シューズの交換時期を使用期間(時間)で判断するなら、通常は、ランニングシューズの寿命は3~6か月。しかし、たまにしか走らない場合、寿命はもっと長くなるだろうし、逆にマラソンのためのトレーニングをしている場合はもっと短くなるだろうとマホフスキーは語る。 たとえば、一部のマラソンまたはウルトラマラソンのランナーは、週50マイル以上のランを記録するかもしれない。このような場合は、たまにスプリントワークアウトにチャレンジするのを楽しむランナーよりも頻繁にシューズを交換する必要がある。

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3. シューズの反発力が失われてきた

かつては楽に感じていたランニングが今では長くつらい修行のように思えるとしたら、それは睡眠不足や栄養不足、あるいはオーバートレーニング症候群といった要因が考えられる。 でも、ひょっとするとそれはシューズのせいかもかもしれない、とマックは示唆する。 履き古したシューズは、内側のフォームが崩れ始めることで、継続的な衝撃を緩和していた「爆発力を発揮」する品質が低下する。

「その感覚は、走っているときや、シューズに足を入れたときに感じるものです」とマックは言う。 フォームの状態を見分ける方法の1つは、シューズ内側のミッドソールを指で押すこと。 スポンジのように感じられる場合は適切なクッション性がある証拠だが、ぺたんこになっている、または圧縮されている場合は、シューズを新しくするサインかもしれない。

4. いつもより痛みを感じる

ランニングシューズの交換時期を判断するもう一つの主な方法は、シューズ自体ではなく、体への影響を考慮することだ。

ランニングのリカバリーにおいて以前は感じたことのなかった関節の痛みが生じている場合は、シューズの引退時期が到来した印かもしれないとマホフスキーは言う。 すり減ったシューズで走ると姿勢や走り方が変わってしまい、足首、膝、股関節、腰、さらには首を含むあらゆる関節に影響を与えるおそれがある。

5. 足にまめができる

マホフスキーによれば、まめは、多くの場合、ランニングシューズを買い替える時期であることを示す最も顕著なサインとなる。

まめは新しいシューズを履いたときにもできやすいが、今まで履いていたランニングシューズがすり減ってきて、ランニング中に足の位置や動きがわずかでも変化してくることでも発生する場合がある。 サポート性とクッション性が不足すると、シューズの中で足が動きやすくなり、皮膚が素材に擦れて足にホットスポットができてしまう。

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古いシューズを履くのを辞めることが重要な理由

たとえ関節の痛みや不安定さといったサインをまだ経験していなくても、使い古したシューズで走るとオーバーユース(使いすぎ)のリスクが高まると、マホフスキーは指摘する。 ランニングシューズは、足をサポートし、繰り返しの衝撃に伴う力の一部を吸収するように設計されている。 その機能が働かなくなると、衝撃の多くが体を通して何度も何度も反響することになるのだ。

「衝撃の力は、足、足首、脚部、さらには腰など、体の他の部位に伝わっていくのです」とマホフスキーは説明する。 「原因は、衝撃が増すため、あるいはシューズ内で足の動きが変化するためだと考えられます」

たとえば、クッション性が失われると、回内足またはプロネーションを引き起こしやすくなり、足、足首、すねにストレスがかかる。

さらに、ソールのトレッドが失われると、転倒のリスクが高まる。特に雨などで濡れた路面や未舗装のコース、凍結した歩道を走るときには注意が必要だ。

シューズを2足以上用意してトレーニングすることを検討しよう

1組のランニングシューズの寿命を延ばすための1つの良い方法は、ワークアウトでもカジュアルなシーンでも履く万能シューズとして使うのでなく、ランニング専用のシューズとして使うことだと、マックはアドバイスする。 たとえば、ランナーの中には、ランニングシューズを用事やその他の日常的なタスクで履かなくて済むように、履き潰した古いシューズを代替用として車に置いている人もいる。

もう一つの作戦:2足以上のシューズを交互に使用しているランナーもいるとマホフスキーはアドバイスする。 この作戦を使えば新しいシューズの購入を先延ばしにできるだけでなく、けがの予防にも貢献する可能性があると彼は付け加える。 2足とも同じタイプのシューズにしても、1足をスピードワーク用、もう一足を長距離用と違うタイプにしてもかまわない。大事なのは、2足のランニングシューズを交互に履き替えて使用することで両方のシューズの寿命を延ばすことができるという点だ。 これで、新しいシューズを頻繁に購入する必要がなくなる。

「複数のシューズを交互に履くことの意義は、必ずしも寿命を延ばすことだけに関係しているのではありません。体にかかる力や負荷を変化させることにも関係しているのです」とマホフスキーは語る。 「ランニングは反復的なスポーツであるため、オーバーユース(使いすぎ)によるけががよく見られます。 異なるランニングシューズを履くことで、足にかかる力が微妙に変化し、一部の筋肉群を休ませることができる。たったそれだけのことでも、けがのリスクを減らすことにつながるのです」

また、1足を交換するときが訪れても、もう一足の履きならしたペアが手元にあるので安心だ。 1足のランニングシューズだけでまた最初からやり直すよりもずっと気楽に切り替えられるはず。 さらに付け加えるなら、古くなったシューズを捨てる必要はないとマックは言う。ランニングで走行距離を記録するのにはもう役立たないかもしれないが、日常生活の中では、庭仕事をしたり、買い物に行ったり、自転車に乗ったり、のんびり散歩したりするときに引き続き重宝するからだ。

文:エリザベス・ミラード(ACE認定パーソナルトレーナー)

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公開日:2023年2月15日