1日に必要なナトリウム摂取量
食事
ナトリウムは必須栄養素だが、取りすぎないことが大事。食品に隠された塩分を把握し、ナトリウムの摂取量を減らす方法を解説する。
プレッツェル、ジャーキー、ポテトチップスなど、塩気のある加工食品が好物であれば、多数の米国人と同様、ナトリウムを摂取しすぎているかもしれない。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、米国人の90%がナトリウムを取りすぎている。
ナトリウムは必須栄養素だが、過剰な摂取は高血圧、心臓病、脳卒中のリスクを高める。だから、食品に隠された塩分を把握し、ナトリウムの摂取量を減らす方法を知ることが重要になる。
1日当たりの適正なナトリウム摂取量とは?
体が機能するためには少量のナトリウムが必要だ。正常な血圧を維持し、神経や筋肉の働きを支えるために必要な量は、1日におよそ500ミリグラム。ナトリウムには、電解質として、細胞の周囲にある体液の量を調整する働きもある。
ナトリウムの血中濃度が低下すると、低ナトリウム血症を引き起こす可能性がある。この疾患は、ランナーなど、持久力を必要とするアスリートや水分の摂取量が多い人に見られることがある。特徴的な症状は、吐き気、意識障害、極度の倦怠感だ。ただ、ナトリウムが不足するリスクのある人はほとんどいない。
『アメリカ人のための食生活指針 2020–2025』では、健康的な食事パターンの一環として、1日のナトリウム摂取量を2,300ミリグラム未満に抑えるよう推奨している。アメリカ心臓協会は、さらに一歩踏み込んだ指針を策定し、ほとんどの成人は1日の摂取量を1,500ミリグラム未満にした方がよいという究極の目標を提示している。腎臓病や高血圧症などの疾患がある場合は、ナトリウムの摂取量に特に注意する必要がある。
指針を正しく捉えるには、ナトリウムの推奨摂取量を身近な道具で量るとわかりやすい。ティースプーン1杯の食塩には、ナトリウムが約2,325ミリグラム含まれる。しかし、毎日食卓塩をティースプーン1杯摂取してよいことにはならない。私たちが摂取するナトリウムのほとんどは、食べ物にすでに含まれているからだ。
食べ物に含まれるナトリウム
平均的な米国人は、毎日およそ3,400ミリグラムのナトリウムを摂取している。米国食品医薬品局によると、そのナトリウムの70%以上は、調理や食事の際に食べ物に加える食塩ではなく、加工食品を食べることで摂取されている。
つまり、食卓に塩の容器を置かないようにしても、毎日のナトリウム摂取量を推奨レベルまで減らすには不十分かもしれない。それよりも、パッケージのラベルを読み、食品に隠れて存在するナトリウムの量を把握する方法を学ぶ必要があるだろう。
食品ラベルのナトリウム
ナトリウムの不本意な摂取を避けたいときは、まず栄養成分表示ラベルが武器になる。このラベルを見れば、1食分に含まれるナトリウムの量と、1日の推奨摂取量に対する割合(%)がわかる。
1日の摂取量(Daily value、DV)は、米国農務省(USDA)が定めた栄養素の推奨摂取量。ナトリウムの場合は2,300ミリグラムだ。ナトリウムの含有量が575ミリグラムの食品では、1食分でナトリウムの1日の摂取量の25%を摂取することになる。
ただし、覚えておきたいのは、栄養表示ラベルに表示されるナトリウムの量には、塩分だけでなく、すべてのナトリウムが加算されるということ。食卓塩は、ナトリウムと塩化物が結合した化合物だ。グルタミン酸ナトリウム(MSG)、重炭酸ナトリウム(重曹)、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムといった食品添加物にもナトリウムは含まれている。食品にこれらの成分が含まれていれば、栄養成分表示ラベルのナトリウムの量に加算される。
ナトリウム含有量が多い食べ物
調理済みですぐに食べられる便利な食品は、たいていナトリウムを多く含む。それは、しょっぱいと感じる食品に限らない。確かにナトリウムは食品の味付けに使われるが、保水剤や保存料としても使われる。だから、焼き菓子や朝食用シリアルのような甘い食品にもナトリウムが含まれていることがある。
一般的にナトリウムを多く含む食べ物には以下のようなものがある。
- ハンバーガー
- ブリトー
- 卵料理
- 加工肉
- ピザ
- 調理済みのパスタ料理
- チップス、クラッカー、ポップコーンなどのスナック
- 鶏肉
- スープ
- タコス
ナトリウム含有量が少ない食べ物
加工されていない自然のままの食品(加工されていない果物や野菜、穀物など)は、加工食品よりもナトリウム含有量が少ない可能性が高い。たとえば、軸の付いたトウモロコシにも自然由来のナトリウムが多少含まれているとはいえ、缶詰のコーンよりは相当少ないと考えられる。できるだけ自然のままの食品を食べるようにすれば、塩分を減らせるはずだ。
加工食品では、パッケージのラベルを見れば、ナトリウムの量が少ない食品を選べる。ただ、食品ラベルに使われる用語には注意が必要だ。言葉の理解を助けるため、米国食品医薬品局は、政府による規定を公開している。
- 塩分フリー、ナトリウムフリー(Salt-free、sodium-free):1食当たりのナトリウム含有量が5ミリグラム未満
- きわめて低ナトリウム(Very low-sodium):1食当たりのナトリウム含有量が35ミリグラム以下
- 低ナトリウム(Low-sodium):1食当たりのナトリウム含有量が140ミリグラム以下
- 減ナトリウム(Reduced sodium):ナトリウム含有量が一般的な食品と比べて25%以上少ない
- ナトリウム控えめ、塩分控えめ(Light in sodium、lightly salted):ナトリウム含有量が一般的な食品と比べて50%以上少ない
- 食塩無添加、食塩不使用(No-salt-added、unsalted):加工段階で食塩を加えていないが、明記されていない限り、食塩/ナトリウムフリーではない可能性がある
食事で摂取するナトリウムを減らすには
1日に摂取するナトリウムの全体量を減らすことが、健康の改善につながる。アメリカ心臓協会は、1日の摂取量を1,000ミリグラム減らせば、血圧が改善し、心臓の健康状態を大幅に向上できると指摘している。
食品ラベルを読み、スーパーマーケットで慎重に食品を選択することは、目標達成のための手段の1つ。ナトリウムの量を減らして、健康を増進させるためのその他のヒントを紹介しよう。
- 自然の食材を使い、自分で調理しよう。レストランで提供される食べ物や便利な加工食品には、ナトリウムが多く含まれる。加工された材料をあまり使わずに、自分で調理するようにしよう。
- 買い物するときは、加工食品よりも生鮮食品の棚から選ぼう。塩分が添加された缶詰や冷凍食品ではなく、新鮮な野菜を購入すること。パッケージされた食品を買うなら、塩分が加えられていないものを選ぼう。
- 缶詰の食品は、調理前に水洗いしよう。缶詰の豆やオリーブといった食品は、たいていナトリウム含有量が多い。水洗いするだけでもナトリウムの摂取量を減らせる。
- 塩を使わずに味付けしよう。ハーブや柑橘類を使って食べ物に風味をプラスするとよい。マスタードやケチャップなど、ナトリウムを多く含む調味料はなるべく避けよう。塩の代替品を試すという手もあるが、ナトリウムを含むものが多いため、ラベルを注意深くチェックすること。
最後に、カリウムを多く含む食品を食事に取り入れることをおすすめする。この重要なミネラルを摂取できるのは、バナナ、サツマイモ、ブロッコリー、ホウレンソウなど。CDCによると、食事でカリウムの量を増やし、ナトリウムの摂取量を減らせば、血圧を下げ、脳卒中のリスクを減らせるということだ。