休養日は週に何日取るべきか? エキスパートの解説
スポーツ&アクティビティ
目標達成のためにできる最も意外なことの1つとは? それは運動を控えること。
フィットネスの目標を追いかけているさなかに、文字どおり座ってリラックスするのは抵抗感があるかもしれない。 休養すること(または運動中に休憩を取ること)は、時に常識に反するように思えることがある。
このリフティングセッションを何とかもう1回こなせば、あるいはフィットネスバイクをさらに頑張ってこなせば、フィットネスの効果を最大限に高めることができるのに、と思う人もいるだろう。 しかし、専門家によると、休養のための時間は、健康、けがの予防、そして、運動目標を達成するための能力に欠かせないものだという。
休養日は何日必要なのか?
ワークアウトは人によって受け止め方が異なる。 それは、個人の能力、目標、そしてそれに費やすべき時間によって異なる。 休むべき時間は、セッションの強度と頻度によっても異なってくる。
たとえば、特定のトレーニング目標があり、長めのワークアウトや難易度の高いワークアウトに定期的に取り組む場合は、週に1~2日休む計画を立てる必要があると、運動生理学者のアリッサ・オレニック博士は言う。
休養が体にとって重要な理由
休養が、スピードアップ、筋力の強化、フィットネス目標を達成するための近道であるという考えは、意外に聞こえるかもしれない。 しかし、それは事実なのだ。
「1日か2日体を休ませることで、回復力は高まり、さらなる進歩を遂げることができます」とオレニックは言う。 「私たちはトレーニングから多くのメリットを得ますが、トレーニングによる疲れを癒し、身体を適応させるためには、休養と回復が必要なのです」
筋肉を鍛えるためには週に何日休むべきかがわからないという人は、そうした回復期間に体に何が起きているかを考えてみてほしい。
「私たちの筋肉は急性炎症反応を起こしている最中であり、それは筋肉の修復プロセスを促進する効果があります」と彼女は言う。 レジスタンストレーニングが中心のトレーニングの場合、免疫細胞、血流、栄養素が筋肉細胞に運ばれる。これは筋肉の成長と強化に役立つ。
そして回復期間には、心血管適応が発生する。 オレニックによると、有酸素運動は、新しいミトコンドリア、または、さらに多くのミトコンドリア(エネルギーを生成する細胞)と微小血管を刺激するという。 また、こうしたタイプのトレーニングは、酸素が豊富な血液を筋肉に届け、蓄えられた脂肪からワークアウトの燃料となるエネルギーを引き出すための能力を向上させる。 こうした生理学的変化が、時間をかけてパフォーマンスを改善していくのである。
休養とはどのようなものか
毎週こなすワークアウトの量と強度によっては、アクティビティを完全に避けなくてもいい。
たとえば、15~20分の軽い散歩や、子どもと一緒に自転車で近所を軽く周ることを休養と捉えてもいい。 また、フォームローラーやダイナミックストレッチのような可動性を高める運動や、ヨガクラスなども休養になり得る。 ヨガを選ぶ場合は、よりリラックスしたセッションを行うのが好ましい。そう提唱するのは、グレイソン・ウィッカム。 認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)の資格を有する理学療法博士だ。
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「特にデスクワークに就いている人の場合は、ソファに座って1日を過ごしたくないと思う一方で、無理に運動したり心拍数を上げすぎるようなこともしたくないと思うものです」と彼は言う。
ウィッカムの説明によると、軽いアクティビティを行うことをアクティブレスト(積極的休養)と呼ぶ。こうした軽い運動は血流を増加させ、筋肉への栄養素の供給を促し、リンパ液の流れを促進して体から老廃物を運び出すからだ。
「散歩、軽い有酸素運動、楽しいハイキング、あるいは、それほどストレスを感じずに続けられる健康的なアクティビティを選ぶようにしましょう」とアドバイスするのはオレニック。
彼女はまた、各ワークアウトを「全力で」行わないことがいかに重要であるかを強調している。 たとえば、ランナーの場合、ランニングの度に、可能な限り全力で遠くまで走るよう自分を追い込む必要はない。 ランニングには、短距離で軽いものもあれば、スピードトレーニングや長距離に焦点を当てたものもある。
大切なのは、週を通して、走る量と強度をどのように分散させるかを意識すること。なぜならそれが、回復にとって重要な要素だからだ。 高強度の運動をすると、24~48時間以内に筋肉痛が起きる可能性のあることが、研究により示されている。 そのため、そうした激しい運動を毎日続けるのではなく、軽めのワークアウトやアクティブリカバリーの日を合間に挟むことが不可欠となる。 認定パーソナルトレーナーや筋力トレーニングコーチに相談すれば、安全かつ効果的な方法でこれを達成できるだろう。
回復を促すには、良い睡眠と栄養を取ることも必要だとオレニックは言う。 アメリカ疫病予防管理センターは、1日7時間以上の睡眠を推奨している。 十分なカロリー、タンパク質、炭水化物を摂取すると、筋肉の成長が促され、グリコーゲン(体内に蓄えられた糖質)の蓄えを補給しやすくなる。
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休養日をスキップすることで起こり得る結果
回復を促す休養をスキップすると、重要な回復プロセスに支障が出る。
「常に酷使されている状態の体では、トレーニングで受けたダメージを十分に修復するツールを与えないと、成果を得られないでしょう」とウィッカムは言う。
運動は筋肉や心肺系を鍛えるだけでなく、中枢神経系のストレス要因にもなると彼は続ける。 「最終的には、中枢神経系を酷使し、オーバートレーニングの道を辿ることになってしまいます」
科学者の説によれば、中枢神経系(CNS)は、疲労を感じているという信号を筋肉に送り、運動中に体が酷使されないよう保護することで、恒常性を維持しようとするのだという。 この保護メカニズムにより、休養日を十分に得ないと、CNSがこのバランスを維持しようとして過度に機能する可能性がある。 それが、モチベーションの欠如や燃え尽き症候群、けがのリスクにつながるというわけだ。
休養日をバッテリーの充電と考えてみよう。 「休養日を取らなくても、最終的には取らざるを得なくなります。 数週間はパワーで乗り切れても、その状態が長期的に持続することはありません」とウィッカムは言う。
さて、答えは? 週に1日または2日休む
最高のパフォーマンスを実現し、可能な限り安全かつ効果的な方法で目標を達成できるように、休養日を週に1日か2日取ることを計画しよう。 オレニックは、休養日を週の半ばに1日取り、週末にもう1日取るか、強度の高いワークアウトの合間に休養日を挟むことを推奨している。 必要としている休養を体に与えてからトレーニングに戻ろう。
文:ジェシカ・ミガラ