正しいプルアップで最高の効果を

コーチング
最終更新日:2021年1月19日

フロル・ベックマン

プルアップの効能と、成果を極大化させる正しいフォームについて

Nikeマスタートレーナーのフロル・ベックマンが、完璧なプルアップの方法を指南。ワークアウトのルーチンに取り入れるべき理由についても解説する。アドバイスを参考にして、着実に成果を積み上げよう。

プルアップはいかにも筋肉を誇示したい人のエクササイズにも見えるが(実際に最高のアピール方法である)、その人気にはちゃんとした理由がある。プルアップは驚くほど挑戦しがいのあるエクササイズで、実際どんな自重エクササイズよりも効果的に上半身全体を鍛えられるのだ。

ここではNikeマスタートレーナーのフロル・ベックマンが、プルアップの効果と実践をステップごとに紹介。初めての挑戦でも、100回目の熟達者でも、筋力アップにつながる確かな学びがあるだろう。

鍛えられる筋肉

プルアップで鍛えられるのは主に広背筋。背中を上下に走る羽形の筋肉だ。エクササイズの過程で体の側面と腰がストレッチできる。同時に腕(二頭筋、前腕、三頭筋)、肩、胸、背筋、背骨周辺の小さな筋肉(脊柱起立筋)も鍛えられる。腕の引き上げをコアの力で安定させるため、腹筋にも効果がある。

プルアップの正しいやり方

プルアップに取り組むべき理由

  1. 自分の全体重を引き上げる動きは、他のエクササイズで得られないプルアップだけの特性だ。その効果は引き締まった背中の筋肉に現れるが、さらに多くの恩恵も自覚できる。上半身の筋力が強化されると、ロッククライミングや水泳などのスポーツが得意になったり、ジムで効率的に動けるようになったりといった副次効果も実感できるだろう。
  2. バーを握りっぱなしのため、握力も徐々に強化されていく。グリップが強くなると、リフティングでも重いウェイトを持ち上げる回数が増えてきて、長期的な健康効果にもつながってくる。
  3. 肩関節と背骨周辺の筋肉組織を強化するプルアップには、姿勢を美しく矯正する効果がある。フォームが自然に改善するだけでなく、姿勢が良くなることで腰痛も緩和されてくるだろう。一日中コンピューターに向かって、前かがみになっている人なら特に効果的だ。
  4. プルアップは、体全体を上手に動かすトレーニングにもなる。流動的な体の使い方が各種スポーツに役立つのはもちろん、自転車を一息で車の屋根に乗せるような、日常のシーンでも効果が実感できる。
  5. プルアップはかなりの筋力が必要なので、1回でも完了できれば最初のマイルストーン達成。そこから1回でも数を増やすごとに、自分のレベルアップを祝えるのが嬉しい。

「プルアップは、体全体を上手に動かすトレーニングにもなる。流動的な体の使い方が各種スポーツに役立つのはもちろん、自転車を一息で車の屋根に乗せるような日常のシーンでも効果が実感できる」

フロル・ベックマン

プルアップの正しいやり方

行うタイミング

必要な器具は、プルアップバー(鉄棒)やジャングルジム。頭より高い位置に、水平なバーが固定されていれば何でもいい。筋肉が適度にウォームアップされ、しかもまだ疲労していないタイミングで取り組むのが理想的。プッシュアップなどのパワーエクササイズと組み合わせるのがおすすめだ。筋力を強化したい場合は、2-4回のプルアップを2-5セット。セット間には十分なリカバリー時間を取ること。筋肥大が目的なら、8-12回のプルアップを2-5セットこなそう。

正しいプルアップを実践

  1. プルアップバーの下に立つ。両手を肩幅よりも少し広く開き、ジャンプしてオーバーハンドグリップ(順手)でバーを握る。腕と脚を伸ばした状態でぶら下がる。この姿勢からスタート。
  2. 背中、コア、大臀筋を引き締めながら肩甲骨を下に向けて引っ張る。あごがバーの上に出るまで、体を引き上げていく。胸にバーを近づけるイメージで体を引き上げよう。肘は胴体の近くにキープし、腰は反らせすぎず自然な姿勢を保つこと。
  3. ゆっくりと体を下ろし、最初の姿勢に戻る。これで1回。1回ごとに肩をしっかり下げてリセットする。
プルアップの正しいやり方

負荷を減らす

アシスト付きのプルアップマシンがあれば、体重の負荷を減らした状態でエクササイズできる。そんなマシンがない場合は、レジスタンスバンドをプルアップバーの中央に結び付け、ループが低く垂れ下がった状態にする。ベンチを踏み台にして、片足をループに乗せ、その上に反対側の足を乗せる。脚をまっすぐ伸ばし、バーを握ってプルアップを開始。負荷が少なすぎるなら、強度の低いレジスタンスバンドを使うか、片膝をループに乗せてサポートを減らしてみよう。

バーの上に顎を出した体勢から、逆向きの動きで始めてもいい。メカニズムは同じだが、バーをアンダーハンドグリップ(逆手)で握ること。こうすることで、二頭筋をさらに鍛えることができる。

負荷を上げる

標準のプルアップをマスターしたら、ウエイトベストを着て重量をアップ。ポジションを変えて、別のバリエーションも試してみよう。たとえばバーを握る両手の間隔を極限まで狭めれば、広背筋の代わりに中央の背筋が鍛えられる。プルアップしながらレッグリフトも加えれば、さらにコアを強化できるだろう。ペースを落として1回ごとにゆっくり動けば、体に負荷をかける時間が延びるので、筋力と筋持久力を同時にアップできる。

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公開日:2020年7月5日