腰の可動性を大きく向上させるエクササイズとストレッチを理学療法士が解説

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3人の専門家が、腰の可動性を高めるおすすめのエクササイズとストレッチを伝授。

最終更新日:2022年10月3日
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腰の可動性を大きく向上させるエクササイズとストレッチを理学療法士が解説

歩く、走る、座るといった、日々に欠かせない数々の動作をこなせるのは腰のおかげだ。 それに、腰の可動性は動きやすさを左右する。

腰の筋肉が硬いと、腰の可動域をフルに使いこなせなくなるおそれがある。すると、パフォーマンスが十分に発揮できなくなり、けがのリスクが高まることもあると、理学療法士のアンドレ・ウィリアムズは指摘。 硬い腰の筋肉を改善しようと励んでいるなら、腰の可動性を向上させるエクササイズは間違いなく試してみる価値がある。

ここでは腰の可動性について知っておくべきことを解説。腰の可動域をフルに使えるようにするための適切なエクササイズを紹介しよう。

腰の可動性を高める効果が特に高いエクササイズ

専門家によると、腰の可動性を高め、可動域を全開にする効果があるエクササイズは数多くある。 次に、パフォーマンスの目標達成に特に役立つエクササイズをいくつか紹介しよう。

  1. 1.Kettlebell weight shift:

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    ケトルベルウェイトシフト:

    硬い床の上に片膝をつき、もう片方の脚を腰から外側に開いて立てる(時計の針で言うと大体2時か3時の位置がいいとアイザックはアドバイスする)。 このとき、膝を足の小指の方向に広げて保つこと。 適度な重さのケトルベルを持ち、立てた方の脚に体重を移す。 5~10秒キープし、元の位置に戻る。これを5~10回繰り返す。 左右の脚を切り替えて最初から繰り返す。

  2. 2.Hip airplane:

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    ヒップエアプレーン:

    片足で立ち、体幹でバランスを取る。 上半身を腰の位置まで曲げ、上体が床の上に浮かんだ姿勢になるようにし、反対の足を後ろに伸ばす。 バランスを保ったまま、できるだけ軸足の方向にへそを向けて、5秒キープする。 次に、そのまま上半身をねじり、5秒キープする。 これを5〜10回繰り返す。

  3. 3.90/90:

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    90/90:

    膝を曲げ、ふくらはぎをつけた状態で片脚を体の前に、もう片脚を後ろに伸ばして硬い床の上に座る。 どちらの膝も約90度に曲げるよう、アイザックはアドバイスする (脚を床につけたまま、その場で走っているような姿勢になる)。 手は前の脚と同じ側の体の脇に手のひらを下にして置く。

    「手のひらの下に本やヨガブロックを置いたほうがいいかもしれません」とアイザック。 腰を床につけたまま、上体を腰からできるだけ倒す。 5~10秒キープし、自然な姿勢に戻る。これを5~10回繰り返す。 左右の脚を切り替えて繰り返す。

  4. 4.Spiderman lunges:

    腰の可動性を大きく向上させるエクササイズとストレッチを理学療法士が解説

    スパイダーマンランジ:

    まず、プランクの姿勢になる。 右足を床から上げ、膝を曲げて右手の外側に置く。 ここで3~5秒キープするのが、マックおすすめの方法。 最初の姿勢に戻り、左足でこれを繰り返す。 左右でそれぞれ5~10回ずつ繰り返すよう、マックはアドバイスする。

  5. 5.Child’s pose:

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    チャイルドポーズ:

    よく知られたこのヨガポーズには、股関節を開く効果があるとマックは話す。 このポーズを行うには、まず正座の姿勢で床に座る。 次に、お尻をかかとに乗せたまま上体を前に倒して、額を床の上で休ませ、腕を前方に伸ばす。 両膝を外側に開いて、ストレッチをさらに深めてもよい。 この姿勢を10秒以上キープする。

  6. 6.Lateral lunge:

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    ラテラルランジ:

    サイドランジとも呼ばれるこの動きは、腰回りのさまざまな筋肉に働きかけるエクササイズだ。 まず、足を腰幅に広げて立つ。 次に、つま先を前方に向けたまま右に大きく踏み出し、左脚がまっすぐ伸びるように右膝を曲げる。 5秒キープしたら立った姿勢に戻り、左脚で繰り返す。 これを10回繰り返す。

    腰の可動性を高めるエクササイズを試しても、まだ股関節が硬い場合や、期待どおりの効果が現れない場合は、理学療法士に相談することをおすすめする。訓練を受けた専門家なら、求める可動性を実現するための、個人に合わせたエクササイズを提案してくれるはずだ。

腰の可動性が重要である理由

体は「動きをもたらす関節と安定させる関節が交互に存在するつくりになっています」とウィリアムズは説明する。 たとえば、足は可動性が高く、膝は安定性が高い。 「動きを作る関節の可動性が衰えると、安定させる関節の1つを順応させ、可動性を確保しようとします」とウィリアムズは語る。 「股関節の可動性が低い場合、その動きを腰で補おうとする可能性が高くなります」そして、これが腰の痛みを引き起こす原因になりうると言う。

腰の可動性の衰えにより、肉離れや捻挫を引き起こしたり、筋肉をうまく使えなくなったりするおそれもある。すると筋力が低下して、歩いたり、買い物袋を運んだりするといった日常生活の動作にも悪影響が及ぶという連鎖反応が起きるかもしれない。

腰の可動性が特に重要なスポーツといえば、「ウェイトトレーニングやゴルフなどのアクティビティや、サッカー、バスケットボール、アメリカンフットボールなど、動く方向を瞬時に変えなければならないスポーツ」だと、理学療法士のキャロル・マックは説明し、こう付け加える。 「腰の可動性が不十分だと、背中や膝など、近くにある別の関節に過剰な負荷がかかるおそれがあります」

腰の可動性が不足していると、「けがのリスクが高まり、ランニングエコノミーが低下します。ランニングエコノミーはゴルフやボウリングなどを除き、ほぼすべてのスポーツにとって重要な要素。ただゴルフやボウリングにも、走ることとは別の、腰の可動性が欠かせない理由があります」と、理学療法士のエレン・アイザックは語る。

腰の可動性を高めるストレッチが効果的である理由

腰の筋肉をストレッチすることで、「緊張を緩め、腰の可動性を妨げる要因になりかねない、軟組織の障害を和らげることができる」とウィリアムズは説明する。

また、腰の筋力強化を意識し、可動域を全開にすることも大切だと言う。

マック曰く、腰回りの筋肉のストレッチを行うと、とりわけ関節にかかる負担を取り除く効果があるため、関節を自由に動かせるようになるとのこと。

専門的に考えると、腰の可動性の向上は、誰にとってもプラスになると言えると、アイザックは補足する。 「可動性を高める運動は、動的なウォームアップの1つとして、あらゆるアスリートに効果が期待できます」

(関連記事:エキスパートが教える、日常的にストレッチを行う5つのメリット

腰の可動性を大きく向上させるエクササイズとストレッチを理学療法士が解説

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公開日:2022年8月11日