管理栄養士が提案する秋のディナー4選
食事
寒くなってきたら、おいしい料理でくつろごう。
寒くなってきても、旬の食材があれば気分が満たされる。 簡単に作れるおいしくてヘルシーな秋のレシピがあれば、あなたも家族も満足できるはず。
さらに付け加えると、夏が旬の食材は体温調節を助け、暑さをしのげるよう水分を多く含んでいることが多い。 秋から冬にかけて登場する根菜類や葉物野菜は、寒さが徐々に厳しくなる中でも体を温め、栄養を蓄えることができる。
旬を食すということは、自分の健康から地球の環境までサポートできる最良の方法のひとつとも言えるのだ。 なるべく地元産の食材を販売するスーパーマーケットや直売所で買い物をするようにしよう。そうすれば、季節の旬に基づいたさまざまな食材に挑戦しやすくなる。 また地元で買い物をすれば、輸送時間も短くなる。二酸化炭素排出量を減らしながら、より栄養価の高い食材を手に入れられるということだ。 トラックで全国に運ばれる食品は、食べ頃よりも早期に収穫されることが多い。その一方で、地産地消の食品は、食べごろで収穫されるのでより多くの栄養素を含んでいる。
以下で紹介する秋の旬の料理は、どれも栄養豊富で味わい深い。シーズン中ずっと健やかに過ごせるだろう。
栄養価の高い秋のディナー4選
1.ターメリックチキンシチュー
肌寒い夜、体を温めるならターメリックシチューがおすすめ。 調理時間は、電気圧力鍋なら短時間で済む。スロークッカーなら約1日で、コンロなら60分ほど。 冷凍保存や温め直しもしやすいので、日曜日の夜に作り置きしたい一品だ。 まとめて作っておけば、1週間を通して楽しめる。
材料に関するお役立ち情報:ターメリックは、抗炎症作用で知られる鮮やかな黄色のスパイス。 ウコンに含まれる有効成分クルクミンには、さまざまな健康効果がある。 抗酸化作用や抗炎症作用のほか、うつ病治療への応用も研究されている。
栄養価の高い炭水化物源(ワイルドライスなど)を入れたサラダを添えれば、バランスのとれた食事になる。
材料:
- 鶏むね肉(またはもも肉)454g
- ターメリックパウダー小さじ2
- ブラックペッパー小さじ1/2
- 塩小さじ1
- だし汁1カップ
- ココナッツミルク1/2カップ
- お好みで:ショウガ、ニンニク、玉ネギ(生でも乾燥ものでもOK)
- おすすめのサイドメニュー:ご飯または付け合わせのサラダ
作り方(3~4人分):
- 鍋(スロークッカーや圧力鍋でもOK)に、鶏むね肉またはもも肉、ターメリックパウダー、ブラックペッパー、塩、だし汁、ココナッツミルクを加える。 ショウガ、ニンニク、玉ネギはお好みでどうぞ。
- 鶏肉が74℃になるまで加熱する。ご飯にかけ、付け合わせのサラダを添える。
2.サーモンのオーブン焼き ドングリカボチャと芽キャベツ添え
オーブン料理は、ヘルシーな秋以降のレシピとして取り入れたい一品。 栄養いっぱいの食事を作りつつ、後片付けを最小限に抑えることができれば、これほど素晴らしいことはない。 サーモン(タンパク質と健康的な脂質が含まれている)、ドングリカボチャ、芽キャベツ(どちらも炭水化物)を使ったオーブン料理は、すべての食品群と主要栄養素から構成された、満足感たっぷりのレシピだ。
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オメガ3系脂肪酸であるEPAとDHAは、全身の健康維持に必要な栄養素。摂取するのに最適な食材がサーモンだ。 米国心臓協会は、脂質の多い魚を1週間に少なくとも2回摂取することを推奨している。 ドングリカボチャと芽キャベツは、オーブンで焼くとおいしい旬の野菜。
おいしくて調理が簡単な上、ドングリカボチャはカリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富。芽キャベツはアブラナ科の野菜で、酸化ストレスや慢性疾患から体を守ってくれる。 サーモンのオメガ3脂肪酸、体を保護する芽キャベツの植物性化合物、ドングリカボチャの栄養素。簡単に作れて、栄養も満点だ。
材料:
- サーモンの切り身2枚
- ドングリカボチャ1個(皮をむいてスライス)
- 芽キャベツ
- オリーブオイル
- ガーリックパウダー
- 乾燥オレガノ
- 塩・コショウ 適宜
作り方(2人分):
- オーブンを約200℃に予熱しておく。皮をむいてスライスしたドングリカボチャ1個と、半分に切った芽キャベツ1/2カップを天板に並べ、オリーブオイル大さじ1、塩・コショウで味付けする。 天板をオーブンに入れ、12分間加熱する。
- 12分経過したところで野菜を裏返し、サーモンの切り身2枚を天板に加える。
- サーモンを塩、コショウ、ガーリックパウダー小さじ1、乾燥オレガノ小さじ1/2(またはお好みのスパイス)で味付けする。
- 天板をオーブンに戻し、さらに12~13分、またはサーモンが好みの焼き具合になるまで焼く。
3.キンシウリの炒め物
キンシウリ(そうめんかぼちゃ)は一見扱いにくそうだが、切って果肉をすくい取れば、調理しやすくなる。
グルテンフリーの食生活を送っている場合や、少し軽めの炭水化物を探している場合、キンシウリはパスタの代用品として最適だ。 オレンジがかった黄色の野菜であるキンシウリには、環境ストレスのダメージから細胞を守る強力な植物性化合物であるベータカロテンが豊富に含まれている。
キンシウリの魅力は、ペースト、トマトソース、バター、セージなど、数え切れないほどの方法で調理できることだ。 その中でも、麺として炒め物に使えば、夕食に採れる野菜がさらに増える。
キンシウリの炒め物には、刻んだケール、ニンジン、玉ネギを加え、タンパク質として角切りの豆腐を合わせるのがおすすめ。 フライパンで炒めるときは、お気に入りの瓶詰めソースを使ったり、醤油(グルテンフリーの場合はたまり醤油)、ごま油、ショウガパウダー、ニンニクをボウルで混ぜて自作したりしよう。 豆腐を使っているので完全なヴィーガン料理だが、タンパク源をエビや鶏肉などに替えてもいい。
材料:
- キンシウリ1個
- オリーブオイル
- ミックスベジタブル
- 豆腐(角切り)1丁
- ごま油
作り方(3人分):
- オーブンを約200℃に予熱しておく。 キンシウリに穴を開け、高出力の電子レンジで3~5分ほど加熱する(こうするとキンシウリが切りやすくなる)。 キンシウリを縦半分に切り、両方にオイルを擦り込む。 切った面を下にして天板に並べ、30分間焼く。 キンシウリが柔らかくなったら、果肉をフォークでこすり落とし、「スパゲッティ状」にする。これを炒める。
- 大きめのフライパンを中火で熱し、ごま油を垂らす。
- フライパンにミックスベジタブル3カップと豆腐1丁(角切り)を加え、野菜がしんなりするまで炒める。 キンシウリの果肉をフライパンに加える。
- 用意しておいた炒め物用ソースを入れ、1~2分炒める。
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4.白インゲン豆のハンバーグ キャロットフライ添え
秋の料理の中でお財布とお腹に一番優しいのは、この料理かもしれない。 豆は食物繊維、ビタミンB群、マグネシウム、鉄、リンが豊富で、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が含まれている。 レジスタントスターチは、腸内フローラを最適な状態に保つために重要であり、一度腸内で分解されると、全身で幅広く効果を発揮する。
(関連記事:鉄欠乏症とその見極め方)
学術誌『Nutrients(栄養素)』に2021年に掲載されたレビュー論文によると、食事に豆を加えることで、心臓病や2型糖尿病、結腸の健康状態、慢性的な軽度の炎症など、一部の慢性疾患の症状を改善できるという。 豆の栄養価の高さに魅力を感じなくても、このハンバーグは味とコストも魅力的なのでぜひ挑戦してほしい。
このハンバーグは、野菜ベースのタネに生のローズマリーとセージを加えていて、秋らしい味わいだ。 キャロットフライは、栄養豊富でグリセミック指数(さまざまな炭水化物について、血糖値の上昇に与える影響をランク付けする評価システム)の低い料理だ。 地域にもよるが、この料理にかかるコストは全部で1,000円弱。しかも3人分作ることができる。
作り方:
- 白インゲン豆1缶
- 卵1個
- 生のローズマリーとセージ
- ブレッドクラム
- ニンジン
- オリーブオイル
- 塩・コショウ
作り方(3人分):
- 白インゲン豆の缶を開け、中くらいの大きさのボウルに移してフォークでつぶす。 卵1個、塩、コショウ、刻んだ生のローズマリーとセージ各小さじ1、パン粉1/2カップを加える。
- タネを3等分して成形し、大さじ1の油を引いたフライパンで焼く。 中火で両面に焼き色が付くまで焼く(片面6~7分程度)。
- ニンジンを細切りにし(フライドポテトのように)、油、塩、コショウで味付けして、218℃のオーブンで柔らかく、カリッとするまで焼く。
文:シドニー・グリーン(理学修士、 管理栄養士)。