カボチャがもたらす4つの意外な健康効果を栄養士が解説

食事

秋が旬のカボチャは、抗酸化物質に富んだ栄養素の宝庫であることが研究で明らかになっている。

最終更新日:2023年1月9日
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栄養士が解説する、パンプキンがもたらす健康上の4つのメリット

パイの材料になったり、ハロウィンの飾り物になったり。カボチャの実も種も、意外なほど豊富な栄養素を含んでいる。 カボチャの実と種は、実際に健康面で大きなメリットをもたらす可能性があるのだ。

「カボチャの実も種も、タンパク質、食物繊維、各種栄養素を含んでいます。ただし実と種では含有量が異なってきます」と説明するのはエイミー・ゴリン(理学修士、 管理栄養士)。 カボチャの種はヘルシーな不飽和脂肪を含む高カロリーを多く含む。一方のカボチャの実は、水分量が多いこともあって低脂肪かつ低カロリーな食品だ。 さらに豊富なのが炭水化物であるとリサ・ヤング博士 (管理栄養士、ニューヨーク大学栄養学非常勤教授)は指摘する。

栄養的側面から見ても、どんどん食べたほうがいい野菜なのである。 米国農務省(USDA)のデータベース「FoodData Central」によれば、缶詰の調理済みカボチャ1人分(1カップ)で、女性なら1日に必要な食物繊維の約25%を摂取できる(男性なら約17%)。 抗酸化物質のβ-カロテンも豊富だ。さまざまな果物や野菜に含まれる鮮やかな色素だが、体内でビタミンAに変換される。 免疫力と臓器の機能に及ぼす役割は極めて大きい。

カボチャの種も、きわめて重要な栄養素を多数含んでいる。 FoodData Centralによると、殻無しの種1オンス(30グラム)で、ヘルシーな脂質(脳の健康や筋力に不可欠なPUFAと呼ばれる多価不飽和脂肪酸)を約14グラム、タンパク質を約9グラム摂取できる。 ちなみに、デスクワーク中心で体重68キログラムの人は、現在の筋肉量を維持するために1日当たり55グラムのタンパク質が必要だ。 つまり、1日に必要な量の20%近くをカボチャの種で摂取できる。

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カボチャがもたらす4つの健康効果

  1. 1.カボチャの実と種は炎症を抑制する

    カボチャの実も種も、抗酸化物質の宝庫だ。細胞を傷つけ、さまざまな慢性疾患のリスクを高めるフリーラジカルから細胞を守る働きがある。 缶詰のカボチャに含まれるビタミンA(厳密に言えばβ-カロテン)などの抗酸化物質、カボチャの種に含まれるマグネシウムや葉酸は、いずれも関節炎、心臓病、がんなどの慢性疾患としばしば関連する慢性炎症の抑制に大きな役割を果たす。

    学術誌『Natural Medicine(自然医学)』に掲載されたメディカルレビュー(2015年)によると、ビタミンAが豊富な食物は免疫系を強化し、炎症性疾患(循環器や関節の疾患など)を防ぐ効果が認められる。 また2018年の『Indonesian Journal of Cancer Chemoprevention(インドネシアがん化学予防ジャーナル)』で発表された論文によると、カボチャの種に含まれるフィトエストロゲン(植物由来の化合物)が高コレステロールや閉経期の女性の骨粗しょう症を防ぐ可能性を示唆している。

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  2. 2.カボチャは目の健康を守る可能性がある

    カボチャの天然成分であるβ-カロテン(体内でビタミンAに変換)は、目の健康も促進することが判明している(ゴリン栄養士談)。

    学術誌『Nutrition Journal(栄養ジャーナル)』に掲載された2017年の横断分析では、65歳以上の男性1,400人強の食事と喫煙の習慣を調査した。 研究の結果、α-カロテンとβ-カロテン(果物や野菜の鮮やかな色素であるカロテノイド)が豊富に含まれる果物や野菜を積極的に摂取すると、AMD(加齢黄斑変性)を防ぐ効果があることも判明した。この効果はすべての被験者で見られたが、特に喫煙者で顕著だった。 AMDは視界の中心がぼやけて見える目の病気だ。高齢者が失明する主要な原因となっている。

    米国国立衛生研究所(NIH)も、ビタミンAは視力における重要な抗酸化物質であると指摘している。 ビタミンAは、結膜(眼球の表面を覆う粘膜)と角膜が機能するうえで、ロドプシン(目に入る光に反応する網膜の光受容タンパク質)同様、非常に重要な役割を果たすからだ。

  3. 3.カボチャの実と種は、心臓の健康を促進する可能性がある

    カロテノイドとビタミンが心拍数変動(HRV)の改善に関係するかどうかを調べるため、米国では1,000人を超える34~84歳の男女から2年間にわたって健康データと血液サンプルが集められた。 被験者の年齢や生活習慣が多岐にわたることから、研究者は性別、人種、ボディマス指数(BMI)、そして飲酒、喫煙、運動の習慣などの生理的因子も研究の要素に入れた。

    その研究の結果は2021年に学術誌『Nutrition Journal(栄養ジャーナル)』で発表され、血中カロテノイドの増加(α-カロテンとβ-カロテンを含む果物や野菜の摂取に起因)が、HRVの改善と関連していることを証明した。 今回の嬉しい結果をまとめた研究者たちは、カボチャが循環器疾患のリスク低減に繋がるという説を提示している。

    「それにカボチャの種は心臓に良い不飽和脂肪を含むので、循環器疾患の予防にも効果的です」とヤングは言う。 FoodData Centralによると、カボチャの種1オンス(30グラム)で約5グラムの一価不飽和脂肪酸を摂取できる。この脂肪は悪玉コレステロール値を低下させ、最終的には心臓発作や脳卒中のリスクを下げる効果があると米国心臓協会は指摘している。

  4. 4.カボチャはがんのリスクを下げる可能性がある

    ドイツでは閉経後の女性8,300人以上を対象に症例対照研究(2012年)を実施し、カボチャの種(およびヒマワリの種と大豆)を摂取することで乳がんのリスクを低下させられる可能性が示された。

    さらに、学術誌『Nutrition and Cancer(栄養とがん)』(2013年)で発表された研究によると、リグナン(エストロゲンと相互作用する植物由来の化合物)について、乳がん治療への有効性を詳しく調査すべきであると提案している。 オレゴン州立大学ライナスポーリング研究所は、リグナンが、男性ホルモン、女性ホルモンが関与するがんのリスクを低減する可能性について報告した。 たとえば、乳がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がんなども対象に含まれる。

ヘルシーなカボチャ製品を購入する方法

加工食品を選ぶときは、栄養成分表示ラベルをしっかり確認しよう。 缶詰のカボチャを購入するなら、「カボチャ100%」と表示されているかチェックしよう(ゴリン栄養士談)。また砂糖入りの製品は避けたほうがいい(ヤング博士談)。

食料品店では、塩分を加えていないカボチャの種を探そう(ゴリン栄養士、ヤング博士談)。 特に血圧が高い人(高血圧症)や、医療専門家からナトリウムの摂取量を減らすように注意されている人は、この点に十分注意したほうがいい(ゴリン栄養士談)。

カボチャを使ったヘルシーな食事や軽食のアイデア

カボチャを食事に取り入れる手軽に方法として、ゴリン栄養士が気に入っているのはスパイスラテだ。缶詰のカボチャのピューレを滑らかにして、エスプレッソ、ミルク、メープルシロップ、ナツメグ、クローブと混ぜ合わせ、低脂肪(または植物性)ホイップクリームをトッピングする。

ヤング博士も次のように語っている。「缶詰のカボチャも、カボチャの種も、オートミールやヨーグルトとの相性は抜群。どちらも少量で大きな効果が得られます。 カボチャの種は、軽食としてそのまま食べてもいいし、サラダに入れてもおいしいですよ」

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カボチャのスパイスラテ(ゴリン栄養士お気に入り)のレシピ

出来上がりの量:2杯分

作り方:

  1. 小さな片手鍋を中火にかけて、ミルク8オンス(植物性または牛乳)、カボチャのピューレ大さじ2、メープルシロップ大さじ1と小さじ1、ナツメグとクローブ少々を混ぜ合わせる。 かき混ぜながら温める。
  2. エスプレッソ4オンス(120ml)を用意して、2つのマグに半分ずつ入れておく。
  3. カボチャとミルクを混ぜてエスプレッソの上に注ぐ。 お好みで、仕上げにホイップクリームをトッピングして、ナツメグとクローブを少しふりかける。

文:エイミー・カペッタ

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公開日:2022年12月9日