オートミールがもたらす健康上の4つのメリットを管理栄養士が解説

食事

栄養豊富な朝食の定番、オートミールには、抗炎症作用など数多くのメリットがある。

最終更新日:2023年3月21日
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オートミールが持つ4つの健康効果を管理栄養士が解説

シンプルな朝食のイメージがあるオートミール。その一方で、この複合糖質は食物繊維が豊富で、ボウル1杯分の中に目を見張るような栄養素を含み、体に多くの健康上のメリットをもたらす。

米国農務省によると、グルテンフリーのオートミールには、タンパク質だけでなく、多数の必須ビタミン(ビタミンB群や葉酸など)のほか、鉄、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも含まれている。

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ボウル1杯分のオーツ麦を定期的に摂取している成人は、栄養価の高い食生活を送り、より健康的に生きられる可能性が高い。 『Nutrition Research』誌が2015年に発表した研究によると、オーツ麦をよく食べる人たちは、オートミールを食べない人たちと比較して、食事の質が高く(栄養素摂取量が多い)、体重は軽く、胴回りも細い。また、喫煙率は低く、アルコール消費量は少ない傾向があるという。

以下では、調理済みスチールカットオーツ(好みによってはロールドオーツ)をボウル1杯分食べることで得られる健康上の4つのメリットを専門家が解説。

オートミールがもたらす健康上の4つのメリット

  1. 1.有害なコレステロール値を下げる可能性がある

    コレステロールには、高密度リポタンパク質(HDL)として知られる善玉コレステロールと、低密度リポタンパク質(LDL)として知られる悪玉コレステロールがある。

    「オートミールが血中コレステロールの低下に役立つことを示す証拠は豊富にあります。それは、ベータグルカンのおかげです。主にオーツ麦に特有のこの水溶性繊維により、肝臓がLDLコレステロールを血中から排出しやすくなるのです」と、キャサリン・ブルッキング(理学修士、 登録栄養士)は述べている。

    さらに、繊維が腸内のLDLコレステロールの一部と結合し、血流に入るのを防ぐという。 その効果を裏付ける研究は数多く存在する。

    例として、コレステロール値の高い30歳から60歳までの成人を対象とした2013年のあるランダム化比較試験の結果を見てみよう。 1食分のオートミールを4週間毎日食べた人たちは、お粥を毎日食べた人たちと比較して、LDLが10%、総コレステロールが5%減少したという結果が出た。

    さらに、2016年の系統的レビューとメタ分析の結果は、オーツ麦を食べることで、LDL値だけでなく、コレステロール値を高める可能性のある他のタイプの有害なリポタンパク質も低下する可能性を示唆している。

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  2. 2.血圧レベルを下げる可能性がある

    この栄養価の高い朝食用食品を他のシリアルよりも優先して選ぶ理由は、もう1つある。 それは、心臓の健康に大きな恩恵をもたらす可能性があるからだ。

    「ベータグルカンは、LDLコレステロールを減らすうえに、血圧を下げる効果もあることで知られています。これは、心血管系を健康に保ち、心臓病の発症予防に役立ちます」と、エリン・パリンスキー・ウェイド(登録栄養士、 糖尿病療養指導士、 認定管理栄養士、 認定パーソナルトレーナー)は言う。

    その主張を裏付けるのは、2022年に『Food Chemistry』誌に掲載された研究論文だ。 それによると、ある前臨床試験(およびいくつかの臨床研究)において、オートミールは、ベータグルカン、タンパク質、機能性脂質(多価不飽和脂肪酸などの食品中の健康成分)の独自の組み合わせのおかげで、高血圧の管理と予防に役立つ可能性があることが示されている。

    ただし、『Nutrients』誌に掲載された18のランダム化比較試験と3本のメタ分析のレビュー論文では、オーツ麦には、植物性タンパク質とプレバイオティクス繊維の含有物に加え、血圧に直接影響を与える可能性のある抗炎症特性も含まれていることが示唆されている。 より具体的に言うと、アベナンスラマイドとして知られる抗酸化物質は、こうした抗炎症特性の原動力となっているということだ。

    この論文の著者は、オーツ麦は神経伝達物質γ-アミノ酪酸の食事供給源でもあり、そのことが血圧の低下を導き、結果的に、高血圧治療薬の使用を減らすことになるかもしれないと付け加えている。 もちろん、投薬治療を変更する際は、医師との相談が必要である。

  3. 3.循環器疾患のリスクを低減する可能性がある

    オートミールを食べると、循環器疾患に関する多くの危険因子を改善できる可能性がある。

    たとえば、米国心臓協会が発行している『Stroke』誌には、50歳から64歳のデンマークの男女の食生活を13年間追跡した研究が掲載されている。 研究者が発見したのは、朝食時の卵と白パンを週に一度オートミールに替えた人たちは、替えなかった人たちよりも、脳卒中の発生率が低いという事実だ。 全出血性脳卒中(脳に血液を供給する血管が破裂して出血することが原因)の発生率も、卵とトーストを食べていた人たちよりも、週に一度オートミールを食べていた人たちの方が低いことがわかった。

    同じくデンマークで実施され、2018年に『The Journal of Nutrition』誌に掲載された研究では、全粒穀物の摂取と糖尿病のリスク低下との関連性が明らかになった。 この研究では、15年間にわたって55,400人の食生活と健康記録を分析した結果、毎日50g以上の全粒穀物製品(オーツ麦を含む)を摂取した人たちは、1日の全粒穀物の摂取量が極めて少なかった人たちよりも、2型糖尿病を発症する可能性が低いことがわかった。 具体的には、毎日50g以上の全粒穀物を食べた男性と女性は、リスクがそれぞれ34%と22%減少する結果となった。

    「さらに、オートミールの繊維は、食後の血糖値とインスリン値の両方を下げる可能性があります」とパリンスキー・ウェイドは言う。 これは重要な事実である。なぜなら、血糖値やインスリン値が長期間高いままだと、前糖尿病や2型糖尿病の前段階であるインスリン抵抗性(細胞がインスリンに反応しなくなる状態)を招く恐れがあるからだ。

    結局のところ、アメリカ食品医薬品局は、25年以上前に、「全粒オーツ麦から得られる水溶性繊維と冠動脈心疾患のリスク低下との関連性」を食品ラベルに記載することを正式に許可している。

  4. 4.腸の健康をサポートする

    オートミールのような繊維質食品の主な利点は、健康的な消化を促進し、体を正常に保つことだとブルッキングは述べる。

    特にオーツ麦のふすまは、食物繊維が豊富な穀物の外層で、ベータグルカンを含んでおり、潰瘍性大腸炎と診断された人たちの胃腸にも負担が少なそうだ。

    研究者は、潰瘍性大腸炎の寛解期にある94人の患者を集め、24週間の研究を行った。 ボランティアは2つのグループに分けられ、1つのグループはオーツ麦のふすまを、もう1つのグループは低繊維の小麦食品を食べるよう指示された。 2020年、『Crohn’s & Colitis』誌に発表されたこの研究の結果によると、オーツ麦のふすまを食べたグループは、低繊維の小麦食品を食べたグループよりも、消化不良、下痢、便秘、腹痛などの胃腸症状が少なかったという。

最も健康的なオートミールの種類とは?

オートミールが持つ4つの健康効果を管理栄養士が解説

栄養豊富なカロリーを食事に加えたいときも、減量を成功させたいときも、朝食を一新したいときも、専門家が試しに食べてほしいとすすめるオートミールとはどんなものだろうか。

「最高のオートミールは、オーツ麦だけを原料とするものです」とパリンスキー・ウェイドは言う。

ブルッキングも、プレーンオートミールをすすめている。ロールドオーツであろうと、スチールカットオーツであろうと、種類は問わない。 「インスタントオーツ、じっくり調理したオーツ、スチールカットオーツ。どれも良い選択です」と彼女は言う。

2人の登録栄養士は、オートミールの恩恵を受けるために、糖類が添加されたオーツ麦を避けるよう助言している。

「甘みをつけたいときは、果物や小さじ1杯の砂糖をトッピングしましょう」とブルッキングはすすめている。

文:エイミー・カペッタ

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公開日:2023年3月21日