ニンニクが持つ5つの健康効果を管理栄養士が解説
食事
風味豊かなニンニクは、さまざまな健康効果も期待できる。
がんのリスク軽減から心臓の健康や長寿の促進まで、ニンニクにはさまざまな健康効果がある。定期的に摂取すべき重要な食品であることが科学的にも証明されている。 ニンニクは何世紀にもわたって世界中の食文化で薬用に使用されてきた。米国国立衛生研究所(NIH)によれば、そのような風習にも正当な理由があるという。
「ニンニクは魔法の弾丸ではありません。それでもバランスの取れた食事計画の一部として、いくつもの健康上のメリットを提供することが研究によって示されています」と語るのは、理学修士のエリザベス・ウォード (栄養士)だ。
ニンニクのサプリメントや抽出物については、これまでも数多くの研究が実施されてきた。「昔からあるごく普通のニンニクを食べることにも強力な効能があります」と語るのは、ドーン・ジャクソン・ブラットナー(栄養士)だ。
毎日の食事に少量のニンニクを加えることで、健康上のメリットが得られる。その詳細をぜひチェックしておこう。
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ニンニクがもたらす5つの健康上のメリット
1.免疫機能をサポート
日々の食事に少量のニンニクを含めると、免疫システムに有益であることが研究によって示されている。
「ある研究によると、生ニンニク約1〜2片を含む食事を1日1回食べるだけで、免疫細胞が活性化されることがわかりました」とブラットナー栄養士は語る「。
2015年に発行された学術誌『The Journal of Nutrition(栄養学ジャーナル)』に、あるランダム化比較試験による研究が掲載された。これはバターと砕いた生ニンニク5グラムをトッピングしたパン1食分を摂取した人々の血球を調べるという内容である。 このガーリックパンを食べる前、被験者は10日間ニンニクの摂取を止めるよう指示されている。
被験者がガーリックパンを食べ終えてから測定すると、免疫、アポトーシス(体が異常細胞を取り除く方法)と生体異物代謝(体が異物を処理する方法)に関連する遺伝子が活性化されていた。 ガーリックパンを摂取しなかった対照グループでは、同じ遺伝子が活性化されなかったことも判明した。
2.心臓の健康を増進
専門家たちの研究によると、ニンニクの摂取は心血管に多くの利点をもたらす可能性もある。
「ニンニクを安定的に摂取することで、心臓への血液の流れを阻止し動脈血栓を引き起こす可能性のある総コレステロールとLDL(低密度リポタンパク質)コレステロールの両方の値を減らせます。つまり心臓病のリスクを下げることができるのです」とウォード栄養士は述べている。
2018年に行われたメタ分析では、ニンニクに「抗高脂血症能力」がある、つまり血中の脂質や脂肪粒子を減らすのに役立つということが明らかになった。
「ニンニクには、心臓病から体を守るコレステロールのタイプであるHDL(高密度リポタンパク質)コレステロールを減らすことなく、血中の脂質や脂肪粒子を減らす力があるのです」とウォードは説明する。
2018年発行の『The Journal of Dietary Supplements』に掲載された別の研究では、体重1kgあたり100mg相当のニンニクを1日2回食べるよう被験者に指示した。 その結果、「砕いた生のニンニクを4週間にわたって定期的に摂取することで、腹囲の数値減少、血圧改善、トリグリセリド低下、空腹時血糖の改善、善玉コレステロールの増加といった効果が見られることがわかりました」とブラットナーは説明する。
3.炎症の軽減
ニンニクはまた、体内の炎症を減少させ、慢性的な痛みを軽減する効果とも結びつけられる。
たとえば、2020年に『Phytotherapy Research』に掲載された研究では、関節リウマチと診断された70人の女性を対象に調査が行われた。
1つのグループは、8週間毎日1,000ミリグラムのニンニクサプリメントを摂取するように指示され、もう一方のグループはプラセボを摂取するよう指示された。 これらの対照グループと比較して、被験者たちは痛みの強さ、関節の圧痛や腫れ、そして疲労が大幅に減少したと報告した。
「関節における炎症の減少は慢性的な痛みを軽減するのに役立ち、予備研究ではニンニクが関節リウマチ患者にとっても有益である可能性が示されています」とウォードは言う。
また、ニンニクには抗炎症作用があるため、特定の心血管疾患のリスクを軽減するのにさらに貢献する可能性もあると彼女は指摘している。
4.特定のがんのリスクを軽減
心臓の健康に有益であり、体内の炎症を軽減するだけではなく、ニンニクの摂取ががんのリスク低減と関連しているとする研究報告もある。
2019年に『Asia-Pacific Journal of Clinical Oncology』に発表された研究では、ニンニクを含むアリウム野菜の摂取が結腸直腸がんのリスク低下と関連していることが報告された。
結腸直腸がんだけにとどまらず、ほかのがんを抑止する効果もあると提唱する研究もある。 たとえば、2020年に『Antioxidants』に掲載されたレビューでは、ニンニクの摂取と前立腺がん、食道がん、喉頭がん、口腔がん、卵巣がん、および腎細胞がんの減少との関連が特定された。 健康上の恩恵を最も受けやすい食べ方としては、刻んだり潰したりした生のニンニクを食べるのがよいという。
さらに、ニンニクは、胃がん患者の体調に及ぼす影響を軽減することが示されている。 実際のところ、2019年に『The BMJ』に発表された研究では、ニンニクのサプリメントを7年間摂取し続け、それに加え2週間の治療を受けた患者を対象に調べたところ、22年以上続く胃がんによる死亡リスクが「統計的に有意に」低下したことが明らかになった。
5.寿命の伸長
寿命をもう数年でも伸ばしたいときに鍵を握るのは、食事の皿に振りかけられたニンニクかもしれない。
2019年に『Nutrients』に発表された研究には平均年齢92歳のシニアボランティアが27,400人以上含まれていたが、ここでもまた、生のニンニクの日常的な摂取が長寿と関連していることがわかった。
ニンニクを週に5回以上摂取した成人は、週に1回未満しか食べなかった人々と比較して、あらゆる原因による死亡のリスクが11%減少したというのだ。
ニンニクの恩恵を享受するのに最も適した食べ方は?
ウォード栄養士とブラットナー栄養士は、加熱していない生ニンニクが栄養成分を最もよく保持していると強調する。
「粉いたりみじん切りにして数分間放置した生のニンニクこそ、最も抗酸化物質が多い状態です。 生のニンニクを粉砕するとアリシンなどの健康な植物化合物の多くが活性化されます。でも加熱すると、それらの化合物は減少してしまいます」とブラットナー栄養士は言う。
ウォード栄養士は、ニンニクを炒めないで食べることもすすめている。 「それよりも、料理の最後の段階でニンニクを追加れば、最大限の効果を得られます」
ニンニクをほんの少し加えるだけで、毎日のおやつや食事の風味も大きく変えられる。 パスタ、スープ、シチュー、サラダドレッシング、炒め物レシピなどにニンニクを加えたり、ペスト、サルサ、フムスなどのディップにニンニクを加えてもいい(ウォード栄養士、ブラットナー栄養士)。
「もちろん、生のニンニクをスムージーに入れてもいいでしょう。 この場合は、ニンニクの強い風味を相殺してくれる成分を加えることのがおすすめです」とブラットナー栄養士は言う。
たとえばレモンのように酸味の強い食品や、ジンジャーやミントのように独特な風味を持つ食品、あるいはパイナップルのように甘いフルーツを加えて風味を覆うのがブラットナー栄養士のおすすめだ。
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おすすめのニンニクの保存方法は?
まず知っておきたいのは、ニンニクを冷蔵庫で保存しないこと。
「湿気のある場所に保存すると、ニンニクの発芽が早まってしまいます」とウォード栄養士は注意を促す。
ニンニクの鱗茎(ヘッド)または小鱗茎(クローブ)ごと、湿気のない冷暗所に保管しておくと賞味期限を引き伸ばせる。
ブラットナー栄養士が推奨するのは、セラミック製のガーリックキーパー。容器の側面に穴が開いているため、光を遮断しながらもニンニクの呼吸を妨げない。
文:エイミー・カペッタ