ニンジンが持つ3つの健康効果を管理栄養士が解説
食事
ニンジンは、抗炎症作用と免疫力を高める働きを持つ、人気の野菜だ。
ニンジンは、目の健康をサポートする野菜として知られるが、それだけにとどまらない。 健康上の多くのメリットをもたらす栄養素がたっぷり含まれたニンジンは、定期的に食べることで免疫システムをサポートし、慢性炎症を食い止めてくれる。
さまざまな色の種類があるニンジンは、色によって健康上のメリットもそれぞれ異なる。 たとえば、オレンジ色のニンジンには豊富なビタミンAだけでなく、β-カロテン(ビタミンAの前駆体)や強力な抗酸化物質、繊維も含まれている。 これらの栄養素は、炎症を抑え、免疫システムをサポートし、腸の健康を最適化する上で重要な役割を果たす。
さらに、ニンジンの楽しみ方は無数にある。 生で食べるもよし、ローストしてもよし、スープやスムージーに混ぜてもよし。または乾燥させてヘルシーなチップスとして楽しむのも。ニンジンの健康上のメリットを享受する方法は実にたくさんあるのだ。
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ニンジンが持つ3つの健康効果
1.体内の炎症抑制をサポート
ニンジンが慢性炎症を防ぐ役割を果たしていることを学ぶ前に、大事な基礎知識として、炎症は決して1つの食品のみで抑えられるものではないということを知っておこう。 食事全般に加え、運動パターン、その他の生活習慣要因(タバコを吸わないなど)もすべて、慢性炎症の抑制を助ける。
しかし、ニンジンに含まれる、ある栄養素の1つは、オレンジ色を生み出している理由であると同時に、非常に強力な抗酸化物質でもある。 β-カロテンとして知られるその強力な植物色素は、オレンジ色のニンジンに豊富に含まれる。 β-カロテンが炎症を防ぐのを助けるしくみについて、もう少し詳しく見てみよう。 フリーラジカルを中和することによって、抗酸化物質は炎症を抑える。
フリーラジカルとは、細胞内に蓄積し、体内のDNAや重要なタンパク質に損傷を与える可能性のある有害な分子のこと。 この損傷が軽減されないまま時間が経過していくと、がんや心臓病などの慢性疾患リスクが高まる可能性がある。
β-カロテンはビタミンAの前駆体である。つまり、β-カロテンを摂取すると、食品から直接ビタミンAを消費するのではなく、体がビタミンAを生成できるということを意味する。 ビタミンAは一部の食品(主に動物性食品)から直接摂取することもできるし、ビタミンAの生成に必要な成分(β-カロテンなど)を摂取して体内で生成することもできる。
ビタミンAのもう1つの効果は? ビタミンAの重要な役割は免疫システムをサポートすることだが、免疫システムが良好な状態で機能していると、体は炎症に迅速に対処できるようになり、慢性炎症リスクの低減につながる。
2.免疫システムをサポート
ニンジンをはじめとする、ビタミンAが豊富な食品を摂取すべきもう1つの大切な理由は、免疫システムがこの栄養素から大きな恩恵を受けるからだ。 事実、今から100年ほど前、免疫における重要な役割から、ビタミンAは「抗感染ビタミン」と呼ばれていた。 参考までに、半カップ分(64g)の生のニンジンは、男性が必要とする1日のビタミンAの50%の量、女性が必要とする1日のビタミンAの60%強の量を占める。
2018年に『Journal of Clinical Medicine』に掲載されたレビューによると、ビタミンAは気道と腸の両方の粘液層にとって不可欠な要素だという。 粘液は、想像するとあまり気持ちの良いものではないかもしれないが、有害な細菌やウイルスから体を守ってくれる重要な機能だ。
ビタミンAは粘膜をサポートすることに加え、自然免疫系と呼ばれる機能を助けるためにも重要な役割を果たす。 自然免疫系とは、有害物質に対する体の最初の反応を指す。 防犯のためにクラブの入り口に立つ用心棒のようなものだと考えればわかりやすいだろう。
3.優れた食物繊維源
大切な栄養素の1つである食物繊維は、主にフルーツ、野菜、ナッツ、種子、全粒穀物に含まれる。 バランスの良い食事を摂らないと、食物繊維の必要摂取量を満たすのは難しい。
2022年に『the BMJ』に掲載された論文によると、世界人口の多くは食物繊維の必要摂取量を満たしていないという。 ただし、正確な食物繊維の推奨摂取量は世界各地で微妙に異なる。
Academy of Nutrition and Dietetics(栄養と食事のアカデミー)によると、米国人の場合、健康を維持して慢性疾患を予防するために、成人女性は1日あたり25gの食物繊維を、成人男性は1日あたり約38gの食物繊維を摂取することが推奨されている。
2017年に『American Journal of Lifestyle Medicine』に掲載された記事によると、米国の成人と子どものうち、その食物繊維の推奨量を満たせているのは、わずか5%ほどだけだという。 便秘を防ぎ、血糖値を調節し、LDLコレステロール値を下げる効果があるため、最適な消化に食物繊維は欠かせない。 ニンジンには、その食物繊維が豊富に含まれているのだ。
具体的に言うと、刻んだニンジン1カップ(128g)には約4gの食物繊維が含まれており、炭水化物のグラム数がほぼ50%少ないことを除けば、調理済みのオートミール1カップ(234g)に含まれる食物繊維量に相当する。
たとえば、すりおろした生のニンジンをスムージーやオーブン料理に加えたり、スティック状に切ったニンジンをお気に入りのディップにつけて食べたりするのも、簡単に食物繊維を摂る良い方法だ。
結論
ニンジンを毎日食べる食生活をスタートする前に、知っておくべきことが1つある。 それは、β-カロテンは脂溶性化合物なので、十分に吸収されるためには脂質と一緒に摂取する必要があるということ。ビタミンAについても同じことが言える。そのため、脂質と組み合わせた調理例としては、ニンジンをオリーブオイルでローストしたり、生のニンジンとワカモレを組み合わせたり、全脂肪のココナッツミルクを使ったニンジンスープを作ったりといった食べ方がおすすめだ。
文:シドニー・グリーン(理学修士、 管理栄養士)