栄養士がすすめる、屋外でのワークアウト後の水分補給に最適な食べ物

食事

電解質を補給できるのは、水とスポーツドリンクだけではない。

最終更新日:2022年8月8日
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アウトドアでのワークアウト後におすすめの水分を多く含む食べ物

運動後のリカバリーで特に注目されるのは、食事、睡眠、サプリメントだが、 水分補給を忘れていないだろうか? そして、水分補給に適した食べ物がたくさんあることをご存じだろうか?

2011年発行の『Journal of Athletic Training』に発表された研究によれば、ハーフマラソンとフルマラソンのランナーを対象に、水分補給の習慣と認識について調査を実施した結果、大半のランナーが(特に問題はないのに)パフォーマンスが低下したと感じ、脱水状態に陥ったことがその原因だと考えていることが明らかになった。 さらに、多くのランナーが水分補給を計画的に行っておらず、水分が足りているかどうか見極める方法を知らないこともわかった。 これは心配な結果だ。脱水状態になると運動能力が制限され、心肺系のシステムに非常に大きなストレスがかかり、けがのリスクが増える(脱水状態は筋肉の血流不足につながる)おそれがあるからだ。

(関連記事:専門家に聞いた、1日に飲むべき水の量

アスリートであろうとなかろうと、脱水状態に陥れば、認知機能障害、頭痛、胃腸障害を引き起こす可能性もある。 脱水状態が起きるのは、体から大量の水分が失われたとき。大量の汗をかきながら水分を適切に摂取しなかった場合などに起きる。 全米科学、技術、医学アカデミー(U.S. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、1日の適切な水分摂取量(飲み物と水分を含む食べ物を合わせた量)を、男性で約3.7リットル、女性で約2.7リットルと説明している。 ただし、人が1日に必要とする水分の量は、住む地域(気候や標高を考慮)、活動レベル、年齢、投薬状況によって異なる。

ワークアウト中の水分補給が重視される理由

2017年に『Journal of Athletic Training』に掲載された論文では、習慣的に運動する人は、適切に水分を補給して、運動時の体重減少を2~3%に抑えるよう推奨している。 たとえば運動前の体重が約70kgの人は、運動後の発汗による体重の減少を1~2kg以内に抑える必要がある。

ただし、ワークアウト時の脱水状態を防ぐのに必要な水分の量は、人によって驚くほど異なる。 ワークアウト中は喉の渇きを感じてからウォーターボトルを手に取ればいいと思うかもしれないが、通常、喉の渇きを感じるというのは、すでに軽度の脱水状態に陥っている兆候だ。 それに、運動している最中は、脱水状態のサインに気付きにくいことがある。一般的に言って、最善の策は、エクササイズやトレーニングセッション中に水分補給をする計画を組み込んでおくことだ。

水分補給には水を飲むのが一番手っ取り早いだろうが、夏の屋外でのワークアウトで汗をかいた後に水分を補給できる飲み物や食べ物は、ほかにもたくさんある。 実際、米国の平均的な成人は、1日の水分摂取量のうち約20%を食べ物から摂っている。 たとえば、信じがたいかもしれないが、ピクルスは水分補給に最適な食べ物の1つだ。 ピクルスは、1切れの約94%が水分で、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなど、発汗によって失われやすい必須電解質も含まれている。

(関連記事:ワークアウト時に電解質の摂取は必要か?

ピクルスは水分補給に役立つだけではない。ピクルスの漬け汁には筋肉のけいれんを抑える効果もある可能性があるのだ。 より詳細な調査の必要性が指摘されてはいるが、2010年に『Journal of Medicine and Science in Sports and Exercise』に掲載された論文によると、筋肉のけいれんに対するピクルス液の効果を調べた結果、少量のピクルス液を飲むことで筋肉のけいれんを抑えられる可能性があることがわかったという。 研究者は、ここで効果を発揮したのはピクルス液に含まれる電解質ではなく、ピクルス液の強烈な味が神経系を刺激し、筋肉のけいれんを抑制したという説を提示している。

水分補給に最適な食べ物とは?

一般的に、水分補給に最適な食べ物といえば、果物と野菜だろう。 果物では、スイカ、イチゴ、メロンは水分含有量が90~100%だ。 果物は、水分補給に役立つだけでなく、炭水化物と天然の糖類を含む優れた食べ物でもある。 ワークアウト後に新鮮なフルーツサラダを食べると、水分の摂取量が増え、エネルギー源になる炭水化物を筋肉に補充できる。 リカバリー効果を最大限に高めるには、少量のフルーツサラダと良質のたんぱく質が含まれた砂糖不使用のギリシャヨーグルトを一緒に食べるとよい。 果物でスムージーを作ったり、電解質を補給できるココナッツウォーターと合わせて食べたりするのもおすすめ。また、混ぜて型に入れて冷やせば、ワークアウト後に体を冷やすのにぴったりのアイスキャンディーが簡単に作れる。

成分のほとんどが水分という野菜も数多くある。 キュウリ、パプリカ、セロリ、レタス、トマト、ズッキーニも水分含有量は90~100%。 フムスにスライスしたキュウリ、パプリカ、セロリを添えれば、水分と腸に良い食物繊維を同時に補える、ワークアウト後にぴったりの軽食になる。 夏には、市販のプロテインシェイクに代えて、冷たい野菜のスープであるガスパチョを作り、ロティサリーチキンを添えると、栄養補助飲料であるプロテインシェイクより水分を多く摂取でき、栄養価の高い食事になる。 ガスパチョが好みでなければ、新鮮なサラダにタンパク源になる好みの食材をトッピングしてみよう。水分補給に適したおいしい一皿となり、軽食にも最適だ。

水分を補給できるその他の食べ物

果物や野菜のほかに、屋外でのワークアウト後の水分補給として効果的な、水以外の流体の食べ物も紹介しよう。 寒い日のワークアウトでも脱水状態を招く可能性はあるが、暑い日に屋外でワークアウトをするときと違って、喉の渇きを感じにくいかもしれない。 そんな日には、野菜をたっぷり使ったスープ(クリームより出し汁が主体のスープ)を飲むことでも、1日の水分摂取量を増やせる。 また、スープにクラッカーやトーストを添えれば、ワークアウト後の筋肉への栄養補給に欠かせない炭水化物を補給できる。

骨からとったスープ、ボーンブロスも水分補給に役立つ。塩分、、亜鉛、カルシウムといったミネラルに加えて、タンパク質や脂質も多少含まれた、栄養の宝庫だ。 保温性のある容器にこのスープを入れてワークアウトに持参すれば、終了後すぐに温かいスープを楽しめる。

気温が高い日に屋外でワークアウトをする場合は、冷たい無脂肪牛乳や、アーモンド、麻の実、大豆などが原料の植物性ミルクで水分を補給できる。こういった飲料は水分含有量が90~100%だ。 コップ1杯のミルクにピーナツバタートーストを1枚加えると、リカバリーを促すのに最適な軽食になる。ミルクでスムージーを作ってもいい。

ここで水分過剰について触れておこう。水分過剰は危険を伴い、低ナトリウム血症と呼ばれる症状に発展するおそれがある。 運動誘発性低ナトリウム血症(EAH)は、体内のナトリウム濃度が下がり過ぎると発症し、臓器や組織が腫れることがある。 稀ではあるが、一部の持久系スポーツで確認されている

一般的に、運動後、体重が増えていたら、それは発汗で失われた量以上の水分を摂っている印で、水分過剰に発展する可能性がある。 屋外でのワークアウトの後、水分を適切に補給できているかどうか確認する最善の方法は、発汗量を知ることだ。 水分は細胞に出入りする電解質に伴って移動するため、汗をかいた量と、摂取する飲み物や食べ物の種類を把握し、どの程度リカバリーできているかを意識することが重要となる。 ワークアウト中やその前後に補給する飲み物や食べ物をいろいろと試してみて、何がリカバリーに最も効果があるか確認しよう。

文:シドニー・グリーン(理学修士、 登録栄養士)

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公開日:2022年7月27日

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