膝の痛みを和らげる医師おすすめのエクササイズ4種

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膝が痛くなる主な原因と、その痛みを和らげるエクササイズを専門家が解説。

最終更新日:2023年1月10日
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医師が推奨する、膝の痛みに効果のあるエクササイズ4種

足を使った移動で、膝はとても重要な役割を担う。すぐに座ったり立ったりできるのも膝のおかげだ。 この複雑な関節に痛みを感じてしまう人のため、膝の痛みを和らげてくれるエクササイズをいくつかご紹介しよう。

「膝の痛みは、最もありがちな関節痛のひとつ」と話すのは、スポーツ医学専門家のマイケル・ガーハート(シダーズ・シナイ・ケルラン・ジョーブ・インスティテュート整形外科医)だ。 けがの後や運動の後に、膝の痛みが突然始まることもある。 かと思えば、ゆっくりと痛みに発展し、徐々に悪化する場合もある。

膝の痛みに対処している人が、できるだけ早くその痛みを消し去りたいと思うのは当然のこと。 適切な診断を受け、早期回復を目指して治療計画を立てるように医師は勧める。膝の痛みに効く運動を指示する場合もある。 つまり診断に基づいた運動が、調子を取り戻す助けになることもあるのだ。 膝の痛みに関する基礎知識と、痛みの緩和に効果のあるエクササイズをチェックしよう。

膝の痛みの主な原因

膝に痛みを引き起こす原因は数多くある。 アメリカ国立医学図書館は、潜在的な原因について詳細なリストを公開している。最も一般的な原因として挙げられるのは、次のようなものだ。

  • 関節炎
  • 滑液包炎(膝に繰り返し力が加わることで生じる炎症)
  • 靭帯損傷
  • 軟骨損傷
  • 挫傷や捻挫

ガーハート博士は付け加えて言う。「膝の痛みは、階段を上ったり、仕事やエクササイズのために長い距離を歩いたりといった普段の生活が原因となる場合もあります」

膝の痛みについて医師に相談するタイミング

よくある問題とはいえ、膝の痛みは健康上の異変に違いない。 ミシガン州グランドラピッズのマシュー・アクストマン(Corewell Health West所属スポーツ医学専門医)は次のように語る。「休息、アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬の服用、冷却や温熱を1~2週間続けても膝の痛みが改善しない場合は、医師の診断を仰いで原因を特定したほうがいいでしょう。 早めに診断を受ければ早く治療でき、すぐに活動を再開できる可能性も高まります」

明らかな腫れ、膝が機能しないほどの不安定感、膝が動かなくなるロッキングが生じた場合は、早めに医師に診てもらおう。アクストマン氏はアドバイスする。「こういった症状は、深刻な問題が生じているサインかもしれません」

膝の痛みに効果のあるエクササイズ:痛みを和らげるメカニズム

特定の運動によって膝の痛みを緩和し、痛みがぶり返すのを予防できる。そう語るのは、医学博士のニコラス・アナスタシオ。メリーランド州ボルチモアのマーシー・メディカルセンターで、認定医として整形外科分野と関節置換術を担当している。

「膝関節周辺の筋肉を強化する運動は、膝関節にかかるストレスを取り除けます。さらには膝の痛みを引き起こしている状況を改善させる効果も期待できます。 一般的には、膝関節を横切る筋肉の維持を目指し、大腿四頭筋、ハムストリング、ふくらはぎの筋肉などをターゲットにします」

膝の痛みを和らげる運動は、年齢を重ねるにつれて生じるけがの予防や痛みの緩和に効果がある(アクストマン医師談)。

「膝関節は一方向にのみ動く関節で、可動範囲はあまり大きくありません。 周辺の筋肉の構造を良好に保ち、痛みやけがの元になる異常な力がかかるのを防ぐことが重要です」

アクストマン医師は、患者にその効果をさらに伝えている。「運動することによって、まるでローションを塗ったように関節が動かしやすくなるのはこのためです。 「膝関節の可動性、安定性、筋力を維持することが大事です」

(関連記事:腰の可動性を大きく向上させるエクササイズとストレッチを理学療法士が解説

膝の痛みに効果のあるエクササイズ

これまでに登場した専門家たちは、膝の痛みに効くエクササイズやストレッチが複数あるという。 どんな運動を始めるにしても、事前に専門家に相談するのがベストだということは覚えておきたい。

  1. 1.レッグエクステンション

    医師が推奨する、膝の痛みに効果のあるエクササイズ4種

    レッグエクステンション用のウェイトマシンを使用してもいいし、椅子やウェイトベンチに座って足首に装着するアンクルウェイトやダンベルを使って行ってもいい (器具がなければウェイトなしで始めてもOK)。 アンクルウェイトを使用して行う場合、まず足首にウェイトを装着し、膝は90度に曲げ、足裏を床につけて座る。 片方の膝をゆっくりと伸ばし、可能であれば脚がまっすぐになるまで上げていく。 次に、上げた足をゆっくりと床に下ろす。 脚を入れ替えて、同じ動作を繰り返す。 左右の脚でそれぞれ15回程度繰り返して1セット。2~3セットを目標にする。

    アナスタシオ博士のアドバイスは、膝が伸びる直前の10~20度に意識を集中すること。これが内側広筋(大腿四頭筋の内側の筋肉で膝を伸ばす役目を果たす)の強化と、膝頭(膝蓋骨とも呼ばれる)の安定化につながり、全体の筋力と安定性が向上する。

  2. 2.レッグカール

    医師が推奨する、膝の痛みに効果のあるエクササイズ4種

    レッグエクステンションの反対の動きもおすすめだ。 通常はレッグカール用のウェイトマシンを使うが、アンクルウェイトやレジスタンスバンドで試してみてもいいだろう。 アンクルウェイトを使う場合は、両足首にウェイトを装着し、足を腰幅に開いて立つ。 次に、片方の膝を曲げてかかとをゆっくりとお尻の方向に持ち上げ、最も高い位置で少し静止してから、元の位置に下ろす。 アナスタシオ博士いわく、この運動でハムストリングを強化でき、膝の後ろ側が安定する。 これも左右の脚で、それぞれ15回程度繰り返して1セット。2~3セット繰り返すことを目標にする。

  3. 3.カーフレイズ

    医師が推奨する、膝の痛みに効果のあるエクササイズ4種

    カーフレイズは、「膝の後ろ側の安定性向上」や筋力の強化に役立つとアナスタシオ博士は説明する。 カーフレイズは、まず両足をそろえて立つ。 次に、母指球に体重を乗せてかかとを上げる。 片脚ずつかかとを上げれば、負荷を高められる。

    左右の脚で15回ずつ繰り返すことを目標にしよう。

  4. 4.大腿四頭筋のストレッチ

    医師が推奨する、膝の痛みに効果のあるエクササイズ4種

    大腿四頭筋は、太もも前側に位置する筋群で、とりわけ膝を支える働きがある。 大腿四頭筋をストレッチするには、足を腰幅に開き、壁の横に立つ。 かかとをおしりに近づけるように膝を曲げ、太ももの前側の伸びを感じるまでかかとをゆっくりと後方に引き上げていく。 支えが必要な場合やストレッチを深めたいときは、反対側の手で壁を押してバランスを取るといい。 この姿勢を約10秒保ってから、左右の脚を入れ替える。

    このストレッチは、膝周辺の筋肉を柔軟に保つのに役立つ。そのため、将来にわたってけがのリスクを下げる効果が期待できる(アナスタシオ博士談)。

文:コリン・ミラー

医師が推奨する、膝の痛みに効果のあるエクササイズ4種

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公開日:2023年1月4日