妊活中のエクササイズ方法の誤解を解く

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妊活中のワークアウトについて、試行錯誤しているあなたへ、最先端の研究や不妊治療の専門医からのアドバイス紹介しよう。

最終更新日:2022年7月1日
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  • 妊活中のエクササイズは、安全であるだけでなく、心身の健康を保つためにもおすすめだ。
  • ただし、身体に不要なストレスをかけるとホルモンや排卵に影響を及ぼす可能性があるため、過度なトレーニングは禁物。
  • NTCのトレーナーによるワークアウトなら、自分にとってバランスの良いフィットネスプランを作成できる。


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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。

妊活中の人は、生活習慣が妊娠の可能性に与える影響について考えたことがあるだろう。一晩中飲み明かすなんてことは、おそらく身体に良いことではない。睡眠時間を削ってTo-Doリストを消していく(実際のところはNetflix)のも同様だ。じゃあ、ジムで自分を追い込むのは?この場合、話は少し複雑になってくる。

はっきりしているのは、通常のエクササイズを定期的に行うことは、妊娠し出産するという生理的一大事業に向けた身体づくりに効果的だということ。そう語るのは、オースティンで産婦人科医と内分泌科医の資格を持つナタリー・クローフォード博士。Fora Fertilityの共同創設者でもある。

一方、はっきりしていないのは、エクササイズで妊娠率を上げることができるのかということだ。しかし、適量の有酸素運動と筋トレを毎週することで、妊活全般にわたってホルモンの作用を高め、ストレスを軽減できるというのが科学者の認識だ、とクローフォード博士。さらに、エクササイズで培われる精神的な強さと回復力は、妊娠や出産に伴う感情の起伏に対処するうえで助けになり得るという。

ただし、そうしたメリットにも限界はある。激しいエクササイズをやり過ぎると、コルチゾール(闘争・逃走反応を引き起こすストレスホルモン)の値が上昇し、身体が「いまは安心して赤ちゃんを作るのにベストなときではないかもしれない」と感じるようになる、とクローフォード博士。そうなると、排卵が止まってしまう可能性がある。

では妊活中、どのような量と種類のエクササイズが適切なのだろうか。以下でチェックしてみよう。

妊活中の運動について知っておくべきことを産婦人科医が解説

1. 早めに強度を上げておき、気楽に続ける。

既に熱心にエクササイズしている人は、このセクションの第2段落は読み飛ばしてよいが、しばらく運動をやっていなかった人やまったく初めてという人は、ぜひしっかりと読んで欲しい。妊活をする準備はまだできていないけれど、将来子どもを持ちたいと思っているならば、今こそ体調に応じてフィットネスレベルを上げ、強度を高める絶好の機会。そう語るのは、ロンドンで出産前後のエクササイズの専門家として活動するジェーン・ウェイク。妊娠するうえでの健康基盤となる、よりよい心肺機能、筋力、身体意識などを手に入れよう。

妊活モードにシフトするときは、がんばりすぎず、気持ちいいと感じる程度で、ストレスへの対処に役立つ適度なエクササイズを重点的にやっていこう。では、どれくらいやればいいのだろうか。万能な公式はないが、米国保健福祉省はほとんどの人に当てはまる提案として毎週150分以上のエクササイズを推奨しており、その中には妊娠を目指す人も含まれている。そう説明するのは、アラン・B・コッパーマン博士。マウント・サイナイ・アイカーン医科大学の産科、婦人科、生殖科の事業本部長であり臨床教授でもある。

2. 過度なトレーニングの兆候に注意する。

ワークアウトが大好きで、ワークアウトの強度を維持したい場合、医師が許可するならばやってもいい、とコッパーマン博士は言う。医師が禁止しない限り、妊活中にやってはいけないワークアウトはない。

とは言え、好きなエクササイズを少しがんばるぐらいならよいが、「新しいトレーニングに挑戦したり、身体の限界に挑み続けたりするべきときではありません」とクローフォード博士は注意を促す(上述のコルチゾール問題)。

やり過ぎのサインは以下のとおり。

  • 生理が止まる
  • いつもより疲労感がある
  • 頻繁に体調を崩す
  • 頻繁にケガをする
  • 髪の毛が抜けたり、食欲が落ちたりする
  • 1週間に900g以上体重が減る

こうした兆候に気付いたら、トレーニングを軽くすることをクローフォード博士は提案する。ちなみに、生理が止まり、体調が悪くなり、疲れやすくなるのは妊娠の兆候でもあるため、どちらかわからない場合は検査しよう。

3. 骨盤底筋を鍛え、ストレッチする。

妊娠期を快適に過ごすために、妊娠前に体幹を鍛えておくことをウェイクはすすめている。特に骨盤底筋は重要。体幹の下部ですべての腹部臓器を支え、骨盤と背骨を安定させるトランポリンのような筋肉群だ。骨盤底筋を常にリラックスさせることができれば、出産が楽になると同時に、この筋肉群を鍛えることで、股関節の痛みや、赤ちゃんが激しく動くときの尿漏れを防止できるとのこと(今のうちにぜひ知っておくべき情報だ)。

このエリアの心身の意識を高めるためには、骨盤底筋を上下させる練習をするべき、とウェイク。息を吐きながら、恥骨と尾骨の間にあるこの筋肉に力を入れて引き上げる(5~10秒間、引き上げていられるか試してみよう)。そして深く息を吸いながら、この筋肉が下に伸びるのを感じ、イメージする。これを10回3セット、毎日3回繰り返すことを目指そう。思い出したときにもっと頻繁にやってもいいとのこと。

4. 体外受精をしているならば、(本当に)軽く動く。

不妊治療を受けている場合は、エクササイズをする前に必ず担当医に相談してほしい、と言うのはクローフォード博士。卵子の成長を促進する治療では、液体で満たされた卵巣が大きくなり、非常に動きやすくなる。注意していないと、回転して血流が滞り、緊急手術が必要になる可能性がある(これだけは避けたい)。ランニングや高強度のサイクリング、プライオメトリック(ジャンピング)エクササイズなど、卵巣が跳ね回るようなことは絶対に避ける必要があると博士は注意を促す。クロスフィットやヨガのクラスでは、逆さまになる動きは避けよう。医師が許可しない限り、逆さまにならない、低負荷のワークアウトや軽いウェイトリフティングに留めて、安全を確保するべきだ。

胚移植の直後は、着床の可能性を高めるために、ワークアウトの強度にも注意したい。博士は通常、心拍数を1分間150回以下に保ち、子宮に十分な血流量を確保することを自身の患者にすすめている。


受胎のどの過程においても、定期的なエクササイズは母体、ひいては待望の赤ちゃんの健康維持に役立つことが研究で明らかになっている。コッパーマン博士は、あまり運動したことがなくても心配はいらないと言う。運動を始めるのに遅すぎるということはない。下の短いセクションを読みながら骨盤底筋のリフトを数回するのだって、立派な運動だ。

文:アデル・ジャクソン=ギブソン
写真:ビビアン・キム

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妊娠期の運動についての詳しいガイダンスは、著名な専門家の知見や最新の研究結果に基づいた、Nikeの一連の記事を参考にしてほしい。妊娠したら、Nike (M) ページのホリスティックフィットネスにアクセス。必要性を認識していなかった妊娠サポートに出会える。

公開日:2022年5月19日

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