エクササイズが血圧を下げる仕組みとは?

健康とウェルネス

調査によると、運動を定期的にすることで、血圧が正常レベルに保たれ、心臓の健康の向上に役立つという結果が示されている。

最終更新日:2022年5月20日
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運動が血圧を下げるメカニズム

運動が健康全般にとても良い効果をもたらし、心血管、代謝、メンタルヘルスの面でメリットがあることは間違いない。 エクササイズの最もよく知られたメリットの1つが、血圧を下げることであり、血圧を正常レベルに保つことは、長寿に欠かせない。

実際、血圧が高いほど、病気はもちろん、死に至るリスクも高まる。 その反面、体脂肪のようなわかりやすい指標とは異なり、高血圧が見過ごされやすいのも事実だ。 このため、米国心臓協会では高血圧を「サイレントキラー」と呼んでいる。

米国保健福祉省によると、米国では成人の3分の1が高血圧だと指摘されている。 ただ悲観材料ばかりではなく、血圧を下げるためにできることはある(投薬以外)。 エクササイズを定期的に行い、活発に動くライフスタイルに転換することが、高血圧の改善につながるのだ。 ここで知っておくべきことを紹介しよう。

血圧とは?

血圧とは、血液が動脈の中を流れる力を指す。 圧力は、心臓の収縮で生まれる。 心臓が鼓動するたびに、血液が動脈の中に送り込まれ、体中をめぐり、重要な臓器や筋肉へと到達する。

血圧の測り方

血圧計

医療従事者は血圧を測定する際、腕に巻くインフレータブルカフを使用する。 そのバンドが腕を締め付け、上腕動脈の血流を妨げる。 この締め付けからゆっくりと解放されることで、血流がその部分に戻ってくる。 このとき、血圧計が動脈壁の振動を感じ取り、動脈の血圧が測定され、高血圧なのか低血圧なのかがわかるのだ。

手動検査

健康診断を定期的に受けていない場合でも、自宅で自分のおおよその血圧レベルを判断することはできる。 この方法は精度に劣るものの、大まかな指標にはなる。

  1. まず2本の指を逆の手首の内側に当てる。
  2. 脈が感じられる場所を探す。親指側の手首のしわの下あたりにあるはずだ。
  3. タイマーを10秒にセットして、脈拍を数える。
  4. その数値の6倍が1分間の心拍数だ。


リラックスした状態でも、心拍数が多ければ高血圧が疑われる

血圧の正常値とは?

血圧値には最高血圧と最低血圧の2つの数値がある。 この2つは、心臓周期の2つのフェーズを意味する。 最高血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときの値。 最低血圧は、収縮後、次の鼓動までの値だ。 よって、最高血圧値の方が高くなる。

正常時の血圧値:

最高:120未満、最低:80未満

上昇傾向時の血圧値:

最高:120-129、最低:80超過

高血圧(過度の緊張):

最高:130-139、最低:90超過

血圧が重要な理由

血流が正常だと、身体に血液や酸素が必要なときに必要な分だけ提供される。 高血圧だと、鼓動が速くなる。 それが、時間とともに心臓や血管を弱め、ダメージになることがある。 理想としては、心臓が力強く効率的に動き、鼓動が速くならない方がいい。 血圧が正常値であることは、心臓全体が健康である印なのだ。

血圧の下げ方

エクササイズは、薬物を使わずに血圧を下げる方法である。 すでに高血圧になっている場合は、医師から薬を処方されているかもしれない。 それでも、エクササイズにより、薬の効果が高まる可能性がある。 まだ投薬治療を行っておらず、血圧を正常値で保ちたい、または血圧を自然に下げたいと思っている場合は、エクササイズがおすすめだ。 運動は、次のようにさまざまに作用して、血圧上昇の抑制に役立つのだ。

  1. 1.エクササイズで心臓を強化

    エクササイズ中は、心臓もワークアウトをしている。 動いている筋肉に送る酸素や栄養素の量を増やすには、心臓も懸命に働かなければならないのだ。 やがて心臓が強化され、より効率的に血液を送り出せるようになる。 これにより、動脈の負担が減り、血圧が下がるのだ。

    米国心臓協会の学術雑誌『Hypertension』に掲載された研究では、有酸素運動、心臓の健康、血圧の関係性を把握するため、無作為化比較試験が実施された。 その中で、高血圧の被験者が30-45分の有酸素運動を毎日続けたところ、血圧が下がり、最大酸素摂取量が増加した。つまり、心臓の健全性を示すポイントの2つをクリアしたことになる。

  2. 2.エクササイズで減量

    太りすぎ、つまり肥満体だと、高血圧になる危険性が高まる。 この2つは密接に関係しているのだ。 体重が増加すればするほど、血圧も上昇する。 なぜなら、体が重くなれば、心臓もより懸命に働く必要があるからだ。

    エクササイズでエネルギー消費量が増加すると、カロリー不足を生む。 摂取するカロリーよりも消費するカロリーが増えれば、体の中に貯め込んだエネルギー(脂肪)が消化されるようになる。 これが減量につながるのだ。

    2001年に学術雑誌『Medicine & Science and Sports & Exercise』に掲載された研究では、エクササイズと減量が血圧に与える影響を調査した。 それによると、高血圧の被験者112名の血圧値が、エクササイズと減量により大幅に下がったそうだ。 この結果は、血圧が正常値の被験者を対象にした最近の調査(2013年の試験など)でも裏付けられており、エクササイズはどのレベルの血圧にも効果的であることがわかっている。

血圧を下げるのに最適なエクササイズとは?

血圧を下げるなら、心臓の健康に効果的な有酸素運動を選んでほしい。 カーディオまたはエアロビクスなどのエクササイズは、心拍数を最大心拍数(HRM)の80%まで引き上げる。 この心拍数を超えるエクササイズは、筋力や持久力に重点を置いた無酸素運動に分類される。 無酸素運動は負荷が高いため、心臓も懸命に働く必要がある。 よって、高血圧前症や高血圧を患っている場合、無酸素運動は避けたほうがいいだろう。 その代わり、次のようなタイプの運動に挑戦してほしい。

血圧を下げるには、どのくらいエクササイズすべきか?

米国心臓病学会の最新のガイドラインには、成人の場合、中程度の負荷の有酸素運動を週に150-300分間、もしくは高負荷の運動を週に75-150分間すべきとある。もちろん、それ以上のエクササイズを行ってもよい。 理想としては、有酸素運動とウェイトトレーニングを組み合わせたい。そうすることで、筋肉量が増えて脂肪が減るため、血圧を下げるさらなる効果が期待される。

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公開日:2021年12月20日