帝王切開の後で安全にエクササイズを再開する方法
Nike (M) が登場
大きな手術を経験した後、以前ルーティンにしていた運動を再開するときは、慎重な判断が必要だ。不安を自信に変えるための方法について、専門家の意見を参考にしよう。
- 帝王切開の後、体を回復させるのは大変なことだ。だが、マインドフルに体を動かすことなら不可能ではない。方法さえ間違えなければ、適度な運動は回復を促してくれる。
- 呼吸法や骨盤底筋のエクササイズ、そして初心者レベルのワークアウトを足がかりに、ゆっくりと運動を始めていくことで、安全に筋力を鍛え、気分を改善することが期待できる。
- 体の声に耳を傾け、医師からも許可が出たら、NTCアプリの「Nike (M)ove Like a Mother」プログラムをチェックしてみよう。今の自分にぴったりのワークアウトが、きっと見つかるはずだ。
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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。
どんな出産方法でも、出産後にエクササイズを再開するのは容易なことではない。だが特に帝王切開の場合は、運動すること自体が大いなる挑戦になる。「腹部の大手術をしたばかりだというのに、今度は赤ちゃんのお世話をしなくてはなりません」こう語るのは、Body Connect Physical Therapyの創設者であり、フィラデルフィアで骨盤の健康を専門とする理学療法士を務めるアン・ヌワブエボ博士だ。
帝王切開の後、体を動かせそうな感じがしたのなら、それは良い兆候だ。研究では、帝王切開後のエクササイズが、回復中の痛みの軽減に役立つことが分かっている(まだ体を動かせそうになくても大丈夫。焦ることはない。休むこと、体を回復させること、そして新しい親としての暮らしに慣れることが最優先だ)。
クラスに参加したり、ランニングに出かけたりといった本格的な運動を始める前に、医師に相談しておくことが大切だ。運動の許可が出るのは大抵、出産の6~8週間後だが、この間に何もできないというわけではない。ここからは、運動の許可が出る前も、その後でも、気持ちよく体を動かす習慣を再開するために役立つヒントを紹介しよう。
1. 呼吸法から始める。
帝王切開が終わってから日が浅い頃は、まだプランクやパロフプレスを行うときではない。代わりに、深呼吸を取り入れよう。これはヌワブエボの言う、体幹の「再教育」を行うためだ。
認定パーソナルトレーナー兼運動生理学者であり、オンタリオ州キングストンで妊娠前後の運動を専門としているジェシー・マンデルは、自身も二度の帝王切開の経験者だ。彼女がすすめる呼吸法は、胸の前から、肋骨の後ろへ、そこから下腹部まで届くよう深く息を吸って吐くという方法だ。「帝王切開の傷があるあたり」まで、しっかりと深呼吸することがポイント。吸いながら、これらの部位の繋がりを感じてみよう。吐くときは、腹部が「ゆるやかに緊張」し、骨盤底が少しだけ上がるような感覚を意識するといい。この呼吸法はいつでも(ありがたいことに寝ているときにも)実践できる。だが特に有効なのが、力を入れなければならないときだ。呼吸は体幹に働きかける最高の合図になる。おすすめなのが、赤ちゃんをベッドやベビーカー、チャイルドシートなどから抱き上げるときだ。息の吐き始めで赤ちゃんを持ち、抱き上げながら息を吐き切るよう、マンデルはアドバイスしている。
2. 積極的に骨盤底筋に働きかける。
普通分娩ではなかったからといって、骨盤底筋のケアが不要になるわけではない、とヌワブエボは言う。出産方法に関わらず、何か月もの間、胎児と胎盤、そして羊水という負荷がかかっていた事実に変わりはない。骨盤底筋の強張りや緊張に悩むクライアントが多いため、マンデルは、柔軟性を取り戻して可動域を広げるトレーニングを積極的に行っているという。筋力と柔軟性の両方を鍛え直すことが重要だとマンデルは説明している。本格的なエクササイズを始めるときに備えて、体重と衝撃による負荷に体が耐えられるようにするためだ。
産後健診で、医師に骨盤底の状態を確認してもらおう。可能であれば骨盤の健康を専門とする理学療法士に診てもらうのも良いアイデアだ。だが、毎日数分間、骨盤底筋を引き締め、リラックスさせて緩める動作を取り入れることで、自分で骨盤底筋を鍛えることができる。息を吐きながら骨盤底を引き上げ、吸いながら排尿時と同じ感覚で骨盤を緩めてみよう(詳しいやり方はこちら)。
3. 普段通りの生活をする。ただし慎重に。
周囲からの充分なサポートがあり、あなた自身が上手に休めるタイプであれば、手術後そう時間を置かずに日常生活をスタートさせたいと思うこともあるだろう。充分な休息が取れたなら、産後から約4週間経過した頃は、日常の動作をマインドフルに行う習慣を作るのに適したタイミングだ。そう語るのは、カリフォルニア州オークランドの認定産婦人科医であり、「Nike (M)ove Like a Mother」諮問委員会のメンバーでもあるアマンダ・ウィリアムズ医学博士だ。食料品を運んだり、階段を上ったり、チャイルドシートを持ち上げたりといった日常の動作を、回復過程にある体幹と骨盤底に慎重に働きかけながら行ってみよう(動作の前に、体幹の「ジッパーを上げる」ような感覚で息を吐くことを意識するよう、マンデルは提案している)。日常動作を意識的に行うことで、腰と骨盤底を安定させ、この先のエクササイズを始めるための準備を整えることができる。
4. サポートベルトを使用する。
立って動くことが増えてきたら、帝王切開後の回復のためにプロが推奨している、腹部のサポートベルトの使用を検討してみよう。「体幹をなかなかうまく使えるようにならないという人にはおすすめです。腹部にベルトを巻くことで負荷がフィードバックされ、体幹に働きかけやすくなります」とヌワブエボは言う。ウィリアムズ博士もこの意見に同意し、次のように述べている。「ベルトは2つめの体幹のようなもの。体幹を鍛え直す間、体を安定させてくれます」
ただし、あまりきつくしすぎないこと(ウエストを細くすることが目的ではない)。過度な負荷がかかると、骨盤底が抱える問題を悪化させかねない。「体感としては、圧迫感や締め付けられているような感覚ではなく、優しく支えるようにハグされているような感覚が目安です」とマンデルは言う。ベルトは自分の体調と相談して、特にエクササイズや少し難易度の高いアクティビティを行う際に着用しよう。着けっぱなしは避け、寝ている時は外すようヌワブエボはアドバイスしている。またほとんどの場合、出産後12週間が経つ頃には、ベルトが不要になるそうだ。
5. 焦らないこと。
エクササイズをする許可が出たら、まずは初心に戻ることから始めよう。扱う重量や動き、強度は、ここから上げていくことができるのだと自覚しておくことが大切だ。
マンデルが勧める有酸素運動のスケジュールを紹介しよう。まずは5~10分の有酸素運動から始めること(ウォーキングから始めて、あとで徐々にジョギングに切り替えていくなど)。調子が良ければ、2~4週間ごとに5~10分追加していき、自分が目標とする運動時間を目指していこう。筋力トレーニングのスケジュールは次の通り。まずは8回2セットくらいのトレーニングから始める。これを数週間続けられたら、重量を上げるか、8回3セットに増やしてみよう。これをさらに数週間続けられたら、再び重量を上げるか、10回3セット(または8回4セット)に増やす。充分に自信がついてから「レベルアップ」することが大切だ。
6. 体幹は最大限いたわる。
妊娠と帝王切開を通してストレスを抱え、弱ってしまった体幹の力を、すぐにでも取り戻したいと焦ることもあるだろう。だが焦りは禁物だ。完全に回復する前に体幹を酷使すると、ヘルニアなどの問題や、体幹の筋力低下といった、より永続的な問題が生じる恐れがあるとウィリアムズ博士は言う。
ヌワブエボの体幹強化プランを試してみよう。まず腹式呼吸で息を吸って止め、体幹の筋肉を収縮させる。骨盤底筋を引き上げたところで3~5秒キープ。8~12秒間楽にキープできるようになったら、難易度を上げていく。四つん這いになって同じ動作を行い、それもできるようになったら、その状態から片手と反対側の片足を伸ばしてみよう(反対側も同じ動作を繰り返す)。これもできたら、今度は伸ばす方の手に軽いウェイトを持ってみる。鍵を握るのは、すべての動作を理想的なフォームで行えるようになってから、次の動作に進むこと。背中が反っていたりした場合は、まだ次の動作に進む準備ができていない証拠だ。ひとつひとつに時間をかけて取り組もう。
7. 無理をしない。
このような運動を進めていくと、休息が必要なときや、エクササイズの強度を下げる必要がある場合に体に現れるサインがある。腹部や手術痕周辺の痛み、腰痛、失禁、便秘、腹部中央の膨らみ(運動中に腹部が円錐形になる)、運動後の産後出血の悪化などが例に挙げられる。このような症状が疑われる場合は、必ず医師に相談しよう。
回復の過程では、いつでも強度を下げて良いということ、そして、帝王切開後でも体は鍛えられるということを忘れてはならない。自分の体を信じれば、いつか目標を達成できる日が必ず来る。
文:サラ・ゲインズ・レヴィ
写真:ビビアン・キム
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