子どもたちに休息は必要か?
コーチング
By Nike Training
子どもであることは、良い意味でエネルギーが要求される。必ず必要な休息を取らせるようにしよう。
子どもたちは無限のエネルギーの塊だ。飛び跳ねたり、走り回ったりする中、回復のための休息は必要なのだろうか?この点について、業界の専門家やNike Master Trainerたちに話を聞いてみた。
人間の体はそもそも驚異的といえるが、子どもたちの体はさらにずば抜けている。
子どもたちがいつまでも走り回っていられることを思い出してみよう。子どもたちは、全力でサッカーをしても、トランポリンで1時間ジャンプしても、何事もなかったかのようにすぐに回復する。『Frontiers in Psychology』ジャーナルに掲載された最近の研究によれば、「子どもたちの筋肉は疲労に強いだけでなく、トレーニングを積んだ持久力の高いアスリートより短時間で回復する能力が生まれつき備わっている」とのこと。考えられる理由として、子どもたちの未発達な体は、通常私たちの体ほど効率的に機能しないため、激しい運動をする際は有酸素性エネルギーを使っていることが挙げられる。高い負荷や筋力が必要な運動をする際、私たち大人は無酸素性エネルギーを使うため、疲労の原因になる乳酸が生成されるが、有酸素性エネルギーではその乳酸が生成されないのだ。
子どもたちの筋肉は疲労に強いだけでなく、トレーニングを積んだ持久力の高いアスリートより短時間で回復する能力が生まれつき備わっている。
だからといって、子どもが疲れている日に激しい運動をするようにせきたてるべきではない。一般的に子どもたちは自分自身の気分に敏感かつ正直だ。そのため、常に子どもたちの言い分に耳を傾け、本人の状態に合わせた負荷の少ない運動などを提案すべき、と言うのは、スポーツ理学療法の臨床専門家で、Nike Performance Councilのメンバーとして回復を専門に研究しているスー・ファルソン氏だ。たとえば、子どもが遊びたくないほど疲れているときは、一緒に自転車に乗って近所を一周すれば気分転換になるかも、と提案してみてはどうだろう。または、犬やネコなどのポーズで体をストレッチするのもおすすめだ。目的は、たとえ運動したくないときでも、体を動かすことで疲労感が和らぐのを体験させることだとファルソン氏は説明する。
これを念頭に置いて、子どもたちの疲労の原因は体のどこかにあるわけではないことを覚えておくべきだと、Nike Master Trainerのブライアン・ヌニェス氏は言う。「子どもたちがトレーニングをし過ぎるということはあまりありませんが、定期的に新しいエクササイズやアクティビティを学ばせたりやらせたりすると、メンタル面での負担が大きくなることがあります。高い集中力が要求されるので、消耗してしまう可能性があるのです」
このような状態を避けるために、ヌニェス氏は毎週新しいスキルを1つだけ教えることを提案している。たとえば、スクワットを教えたら、その週はずっとスクワットを練習するといったように。ブライアン&ベラ・ヌニェスのフィットネスアドベンチャーのプログラムに子どもたちが参加する場合でも、その週の目標は1つの動きを習得することだけにしよう。そして次の週にはランジやプランクの練習。もちろん、これまで習得したエクササイズを復習するのもよいだろう。練習は練習、そして運動は一生続く旅のようなものだとヌニェス氏は言う。
「休み時間に教室から飛び出して何をして遊ぶかを決めるときのように、子どもたちにアクティビティを選択させましょう」
ブライアン・ヌニェス、Nike Master Trainer
子どもたちの心が疲れているときに役立つヒントをプロからもう1つ。より集中力が要求される、しっかり構成されたアクティビティ(つまりワークアウト)と、純粋な遊びのように感じられるアクティビティを、1日交代でやることをヌニェス氏はすすめている。「休み時間に教室から飛び出して何をして遊ぶかを決めるときのように、子どもたちにアクティビティを選択させましょう」と彼は付け加える。きっちり構成されたものではなく、鬼ごっこのようにルールが少ないものがおすすめだ。少しでも自主性を持たせることで、日課の堅苦しさが軽減され、自然な動きが促される。あまりの楽しさに、休憩を取る気にもならないかもしれない。