デッドバグをワークアウトに取り入れるべき理由
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床に背中を密着させたまま体幹の筋肉と股関節屈筋を鍛えよう。
デッドバグは体幹を鍛えるエクササイズに分類されるがそれ以上の効果がある、と指摘するのは理学療法博士のビル・ケリーだ。彼は 認定カイロプラクティックスポーツプラクティショナー(C.S.C.S.)の有資格者でもある。
デッドバグは効率的な動作に欠かせない5つの筋肉で構成された股関節屈筋群を鍛えるだけでなく、脳に働きかける効果もある。
「腕と脚を反対方向に往復させていくうちに、体幹を固定したまま正しく動かそうという強い意識が生まれます」と彼は言う。
認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S)の資格を持ち、筋力トレーニングガイド『Return to Center』の著者でもあるロッキー・スナイダーは、「デッドバグの目的は胸郭と骨盤をつなぐ筋肉を一定の硬さに維持しながら手足を動かすことです」と説明する。
腰や胴体と別々に手足を動かすことはそれほど簡単ではない、とスナイダーは指摘する。 「別々に動かすには、深層筋のコントロールと背骨周辺の筋力が必要です」
これらが積み重なると、スポーツをするとき、洗濯カゴを持ち上げるとき、バスに乗るときなど、すべての動作が改善する。
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ワークアウトにデッドバグを加える理由
体幹の筋力を鍛える方法がたくさんある中、デッドバグは必ずしも第一候補に挙がらないかもしれない。 だが、その考えを改めたくなる理由を説明しよう。
1. 昔ながらのバードドッグに比べて膝と手首への負担が少ない
特に、膝関節の問題を抱えていて膝を曲げるのが難しい人や手首に圧痛がある人は、デッドバグなら負担が少ない、とフェダーは説明する。 手と膝に体重がかかるバードドッグとは対照的だ。
2. 股関節屈筋を強化する
股関節屈筋は、その名のとおり、股関節を屈曲して両膝を胸に近づけるときに役立つ。骨盤の安定性を保つうえでも不可欠な筋肉で、歩行においても重要な役割を担っている。 座っている時間が長すぎると、股関節屈筋が縮こまり、緊張してしまう。 長いデスクワークの負担を解消したり、腰のバランスを整えたりするには、デッドバグが効果的だ。
3. 腰痛リスクを軽減する
学術誌『Strength and Conditioning Journal』に掲載された2019年のコラムでは、体幹の安定性を鍛えることが特に腰のケガ予防に有効であることが多くの研究結果によって示されており、デッドバグを強く推奨している。 腰痛を抱える人には、リハビリの一環として適切な進行(理想的には認定理学療法士の指導)の下でデッドバグを行うと有効であることも示されている。
一般的に、デッドバグは体幹の安定性、筋肉のコントロール、精神集中が必要とされるため、どのようなワークアウトにも加えたいエクササイズだといえる。
始める前に正しいフォームであることを確認する
デッドバグでの動作はわずかだが、正しい筋肉に集中して働きかけるにはフォームの面でいくつか重要な点がある。
「一番やってはいけない間違いは、手足を伸ばすときに背中を反らせてしまうことです」とケリーは指摘する。 「背中は床に密着させます。 背骨が浮くと、せっかくのエクササイズのメリットを効率的に得られなくなります」
また、手足の動きが速くなりすぎないように注意しよう。動きを意識的にコントロールして体の安定を保つ深層筋を鍛える効果が薄れるからだ。
デッドバグのやり方
デッドバグを一度もやったことがない人のために、ケリーの手順を紹介しよう。
- 仰向けに寝て、両腕を天井に向けて伸ばす。
- 両膝を曲げながら持ち上げ、90度で止める(テーブルをひっくり返したような姿勢)。
- 右腕を上に倒して床と平行にする。
- 同時に左脚を伸ばし、床から数センチの高さで保つ。
- 腰は反らせずに床に密着させる。骨盤をやや後傾させてもよい。
- 伸ばした腕と脚をゆっくりとはじめのポジションに戻す。
- 今度は左腕と右脚を使って同じ動作を行う。
バリエーションに挑戦
デッドバグをすでにやっていて変化を付けたい人には、難易度が高く有力なバリエーションがある、とトレーナーのジェス・フェダー(C.S.C.S.)は言う。
「私のお気に入りは、腕と脚の間にヨガボールやメディシンボールを挟むバリエーションです」 手順は次のとおりだ。
- デッドバグの標準的なポジションを取る。
- ヨガボールまたはメディシンボールを手に取り、両脚でホールドする。
- ボールが転がらないようにデッドバグを行う。片脚と反対側の腕を伸ばすとき、ボールを片側にややずらし、曲げた脚のところでホールドする。
こうすることでボールを固定しようとする意識が働き、体幹の筋肉が引き締まる。
別の方法として、両手に小さなダンベルなどの軽いウェイトを持ったり、足首にウェイトを付けたりするのも良い。 ウェイトは手か脚のどちらかでも、両方でも構わない。体を安定させようとすることで、体幹の筋肉が鍛えられる。 ただし、こうしたバリエーションを加える前に、医師やパーソナルトレーナーに相談し、安全に行うようにしよう。
文:エリザベス・ミラード、A.C.E.認定 パーソナルトレーナー