クロスカントリーについて知っておくべきこと
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クロスカントリーに挑戦しようと考えているのなら、最初にこのガイドをチェックしよう。

爽やかな秋の日、広々とした草原を眺めながら「反対側までどれくらい速く横断できるかな」と考えたことがあるだろうか。そんな人は、クロスカントリーランナーの素質があるかもしれない。
トレイルランと同様に、クロスカントリーでは舗装された道路をめったに走らない。しかしキャロライン・グレインジャー(ISSA認定パーソナルトレーナー)の説明によると、トレイルランでは樹木が生い茂る道や勾配のある岩場といった起伏の多い地形を走ることが多いのに対し、クロスカントリーは大きく広がる自然の中で競技を行うのが特徴だ。
クロスカントリーのコースには野原、公園、未舗装の道路、牧草地などが含まれる。 特に理想的なのはゴルフコースだとグレインジャーは言う。程よいアップダウンがあり、芝生の手入れも行き届いているからだ。 そのような地面を走るアスリートは、持久力を気にせず、スピードという一番の目標に集中できる。
クロスカントリーの歴史
クロスカントリーレースの始まりは、19世紀半ばにさかのぼる。その起源はイングランドの「野ウサギと犬」や「ペーパーチェイス」と呼ばれるゲームで、主にイングランドの学生が競い合っていた。 こうしたゲームでは、「野ウサギ」役となった1人の参加者を、残りのメンバーが追いかける。または、リーダーが走りながら紙片を落とし、他のランナーはその紙を拾いながら追跡する。
1837年に学校対抗の公式レースが開催され、30年後、最初のイギリス選手権大会がロンドンで行われた。 コースは6キロ程度だったが、途中には沼地や丘が待ち受けていた。しかもスタートは夕方だったので、参加者は暗闇の中を走らなければならなかった。
その後、もっと安定したコースが採用され、照明も導入されて、世界に広まっていく。 1869年にはアメリカでも始まり、わずか20年のうちに全米クロスカントリー協会が発足して競技人口の拡大に取り組んだ。 1912年からオリンピック競技として採用され、団体戦と個人戦が行われたが、その後1924年に廃止されている。
クロスカントリーの競技方法
クロスカントリーの走者は「ハリアー」と呼ばれる。参加者の大半は高校生か大学生で、小学校高学年以降にこのスポーツを始める者も多い。そう説明するのは、認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)のトム・ホランド。トレーナーであり、運動生理学者でもある。クロスカントリーは、ほとんどの学校で秋(8月から11月)を中心に行われる。
一部の選手は、大学卒業後も競技を続ける。国内統括団体である全米陸上競技連盟(USATF)は選手権大会を年に数回開催しており、マスターズを含め年齢別のカテゴリーで競技が行われる。
多くの大会、特に学生の場合は5キロまたは10キロコースが用意されているが、大会によって異なることもある。 たとえば、USATFのある選手権では、マスターズ女子は6キロ、マスターズ男子は8キロ、その他は10キロと、個別にコースを設定している。 同団体は、マスターズ限定のレースも開催している。
こうしたレースでは優勝すると5,000ドルほどの賞金を獲得できるが、毎年のレース数は限られているため、クロスカントリーのプロ選手になるのは困難になっている(ホランド談)。特に、クロスカントリー部門のレースにのみ参加し、トレイル部門には出場しない選手の状況はいっそう厳しくなる。
クロスカントリーのトレーニング
ある研究によると、どんな形式のランニングも大幅な健康リスク低減と心血管系の健康増進につながることが示唆されている。 マラソンのトレーニングとは異なり、クロスカントリーで焦点となるのは比較的短い距離のランニングだ。そのため、毎週長い距離を走ることで起こるオーバーワークが原因の怪我を避けられることもメリットの1つであろう(グレインジャー談)。
(関連記事:エキスパートが教える、けがをせずにランニングの距離を伸ばす方法)
どんなランニングについても言えることだが、適切なトレーニングはけがの防止に大いに役立つ(グレインジャー談)。 「ほとんどのレースは10キロ以下なので、過剰に長い距離を走ってトレーニングする必要はありません。8~13キロ程度で十分です」 さらにグレインジャーはこう付け加える。「週に1〜2回、ペースを抑えた長距離のワークアウトと、レースの速度でのインターバルトレーニングを組み合わせた練習も行いましょう。 レースと同じ速度で1キロ走ったら、ゆっくり2キロ走るのです」
坂道でのトレーニングも有効だ。ただしクロスカントリーで走る路面はなだらかな斜面が多いので、筋力や瞬発力についてはそれほど心配しなくてもいい(グレインジャー談)。
おすすめのクロスカントリー用シューズ
クロスカントリーは、持久力よりもスピードを重視するスポーツなので、シューズ選びでは優れたトラクションが重要になる。そのようなシューズは、ストライドのたびに後ろの足で力強く蹴りだすことが可能だ(グレインジャー談)。 このタイプのシューズは、クッショニングを最小限にして軽量化を実現し、スピードを追求しているものが多い。
クロスカントリーランナーの多くは、練習ではトレーニングシューズ(ペガサスなど)でロングランやワークアウトに取り組み、レース当日はスパイクに履き替える。 つまりシューズは好みに合わせて選べばよい(グレインジャー談)。
どちらのタイプの場合も、足に馴染む前はストライドに若干の違和感があるかもしれない。本番前に短い距離を走って、慣らしておけばいいだろう(グレインジャー談)。レース前に履き込んでおけば、気持ちよくスタートラインに立てるはずだ。
文:エリザベス・ミラード