睡眠中にコンプレッションソックスを着用することにメリットはあるのか?

健康とウェルネス

コンプレッションソックスにはスポーツのパフォーマンスを高める効果があることが研究で分かっているが、睡眠中に着用する必要はあるのだろうか?

最終更新日:2022年7月26日
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睡眠時に圧着ソックスを履くメリットはあるのか?

コンプレッションソックスは1950年に誕生して以来、大きな進歩を遂げてきた。 現在では医療用または日常用にグレードが分けられており、カラーもさまざまだ。 医師が推奨するものでもスポーツ用のものでも、コンプレッションソックスにはいつ着用するか次第で確かなメリットがある。

コンプレッションソックスの仕組み

スポーツの視点で見ると、このような特別なスリーブやソックスを着用することで、ランニング中に腕、脚、膝の血流を増やすことができる。 しかし、コンプレッションソックスの生理学的なメリットを得るためには、母指球から足、足首、ふくらはぎの中ほどまでをソックスで覆う必要がある、とエレン・デリックは述べている。医学博士、 公衆衛生学修士、 米国外科学会員、 血管外科学会員であり、BoxBar Vascularの創設者でもある血管外科医だ。

デリックによると、運動時にコンプレッションソックスを着用すると全身で酸素を豊富に含んだ血液の流れが改善され、筋肉のエネルギーとスタミナが高まる。 『Journal of Sport and Health Science』の2020年号に掲載された男子バスケットボール選手に関する小規模な研究でも、このようなプラスの効果があることが示されており、「スポーツ用のコンプレッションウェアを着用することで筋血流量と筋肉への酸素供給が増加する」と結論づけられている。

デリックによると、このようなメリットを理解するためには、動脈と静脈の違いを知ることが重要だ。 動脈は酸素を豊富に含む血液を筋肉に運ぶのに対し、静脈はその血液を心臓へ送り返して全身を循環させる役割を担っている。 デリックは、懸命に重力に逆らって足から心臓へ血液を送り返す循環系をエレベーターに例えている。

「運動時にコンプレッションソックスを着用すると、この負担を減らすことができます」とデリックは説明する。 「心臓への血流が促進されるため、より速やかに肺で血液に酸素を取り込み、再び筋肉に送り出すことができます」

ワークアウト後のリカバリー時にコンプレッションソックスを着用すると、足への血流が速くなるため、脚の疲労回復が促される。 医学博士、 米国外科学会員であり、Northwest Vein & Aesthetic Centerの血管外科医であるYS・ロバート・キムによると、コンプレッションソックスには血管の健康をサポートし、むくみを防ぎ、血液循環を改善する効果がある。 コンプレッションソックスと運動パフォーマンスに関する2020年のシステマティックレビューでは、コンプレッションソックスを運動後に着用すると筋肉の疲労が軽減されることが研究で示されていると指摘されている。

コンプレッションソックスを買う前に知っておくべきこと

コンプレッションソックスには医療用(多くの場合医師が推奨)と日常用があり、 mmHG(水銀柱ミリメートル)という単位で区分されている。 mmHGは圧力の単位であり、カフ式血圧計で測定した 血管内の圧力の値を表すのに用いられる。 コンプレッションソックスは、足首の位置にかかる圧力の値によって分類される

デリックによると、医療用コンプレッションソックスは20~40 mmHg、日常用(またはスポーツ用)は15~20 mmHgだ。 市販のコンプレッションソックスを購入する前に、必ず医師に相談しよう。 血管疾患やいずれかのタイプの糖尿病を抱えている場合は、血圧の上昇や足の合併症につながる恐れがあるため、医師に相談することが特に重要だ。

キムによると、動脈不全など、動脈の血流が遅くなるまたは完全に停止する病気を抱えている人は、コンプレッションソックスを着用することで健康に悪影響が生じる可能性がある。

「不安な場合は、かかりつけ医に確認してください。 圧迫することによって足への血流が減少することが実際にあり得ます」とキムは述べている。

睡眠中にコンプレッションソックスを着用するべきか?

睡眠自体にすでに健康増進やパフォーマンス向上の効果があるにもかかわらず、コンプレッションソックスがリカバリーに役立つことが証明されているからといって、睡眠中にコンプレッションソックスを着用することにメリットはあるのだろうか? 専門家の答えは、一言で言うと「ノー」だ。 なぜなら睡眠中は横になっているため静脈圧がゼロになるからだ、とデリックは説明する。

「横になって眠っているとき、血管は直立しているときと同じ働きをしますが、重力がありません。 そのため、ソックスをプラスしてもメリットは生まれません。運動中や運動後のリカバリー中にコンプレッションソックスを着用することで得られるような、意味のある生理学的効果は得られないのです」

睡眠中にコンプレッションソックスを着用しても構わないが、現在のところ何らかのメリットがあることを示す医学的証拠や生理学的証拠はないことを覚えておこう。 コンプレッションソックスがもたらす睡眠に関するメリットとして分かっていることが、現時点で1つだけある。『Sleep Medicine』に掲載された2015年の小規模な研究によると、日中にコンプレッションソックスを着用することで、睡眠時無呼吸の症状が減少するのだ。

キムは次のように述べている。「睡眠中は足がベッドの上で水平になり、血流が重力の影響を受けないため、コンプレッションソックスを着用してもメリットはありません。 しかし、睡眠中に着用したいなら、そうしても構いません。 睡眠中に着用すれば日中に着用する必要がなくなるわけではないということを覚えておきましょう。 コンプレッションソックスのメリットは、1日に何時間着用するかに関わらず、着用すれば得られます」

文:アシュリー・ローレッタ

睡眠時に圧着ソックスを履くメリットはあるのか?

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公開日:2022年7月26日