睡眠中にコンプレッションソックスを着用することにメリットはあるのか?
健康とウェルネス
コンプレッションソックスにはスポーツのパフォーマンスを高める効果があることが研究で分かっているが、睡眠中に着用する必要はあるのだろうか?
1950年に登場して以来、大きな進歩を遂げてきたコンプレッションソックス。 コンプレッションウェアは、ニッチなアスリート向けツールから、パフォーマンスの向上を目指すアスリートやジムに通う人々の定番へと進化したのだ。 なかにはコンプレッションソックスを履いて眠る人もいるが、
睡眠時にコンプレッションソックスを着用するべきなのだろうか? 調査結果やエキスパートの意見をチェックしてみよう。
コンプレッションソックスの仕組み
コンプレッションソックスとストッキングは、普通のソックスと比べて、よりタイトに足、足首、ふくらはぎにフィットするように設計されている。 このタイトな締め付け感がふくらはぎの筋肉を圧迫し、血液およびそれによって運ばれる酸素や栄養素を筋肉に届ける、と説明するのは有資格の理学療法士(P.T)、デヴィン・トラックマン。 理学療法の専門職博士、 徒手療法士(M.T.C.)、 そして整形外科専門の理学療法士(O.C.S.)だ。彼はオクラホマ州エドモンドのPhysical Therapy Central診療所の所長を務める。
コンプレッションソックスなしの状態では、私たちの体内の循環器系は、重力に逆らって足から心臓に血液を送り返すときに、より一層働かなければならない。 一方、運動時にコンプレッションソックスを履くと、循環器系の活性化につながる。ソックスが肺での迅速な再酸素化を促すよう血液を心臓に向かって押し上げるので、酸素を必要な筋肉に送り出せるというわけだ。
これがパフォーマンス上のメリットにつながるという可能性を示唆する研究もある。 たとえば、学術誌『Journal of Strength and Conditioning Research』で発表された研究によると、サッカーの試合中にコンプレッションソックスを履いた選手は、激しいスピードでより長い距離を走れることが明らかになった。
コンプレッションソックスには、筋肉を優しく圧迫することで筋肉の振動(運動中の振動の度合い)を抑え、エネルギーの浪費を減らす効果がある。 「車輪がぐらつく一輪のショッピングカートを想像してみてください」そう語るのは、理学療法の有資格者(P.T.)である、R.J. ウィリアムズ。 理学療法の博士号(D.P.T.)を取得した、Fyzical Therapy and Balance Centersの理学療法士だ。 「そのガタガタはエネルギーの無駄遣い。カートを思い通りに動かすにはもっと強い力が必要になりますからね」
睡眠中にコンプレッションソックスを着用するべきか?
睡眠時にコンプレッションソックスを着用することにメリットはあるのだろうか?
端的に言ってしまえば、おそらくないだろう。
「重力との関係性の理由から、コンプレッションソックスを履いて寝ることには日中やアクティビティ時に着用するほどのメリットはありません」と語るのは、ビル・ケリーだ。理学療法博士(D.P.T.)、 認定アスレチックトレーナー(A.T.C.)、 認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(C.S.C.S.)の有資格者で、フロリダ州フォートローダーデールにあるAries Physical Therapyのオーナーを務める。
私たちの静脈は、ベッドに横たわっているときも、直立しているときも同じ働きをしている。 しかし、ベッドで睡眠中の脚は水平なので、心臓に血液を送り込むときに重力に逆らう必要がない。 そのため、コンプレッションソックスを追加しても血流の改善につながるわけではないとケリーは言う。
つまり、睡眠中にコンプレッションソックスを着用しても良いが 筋肉の回復や運動能力の向上に効果があることを裏付けるエビデンスは現在のところ存在しないことを覚えておこう。
コンプレッションソックスを履いて寝る前に知っておくべきこと
それでもコンプレッションストッキングを着用して寝ることに興味がある場合は、まずはかかりつけの医師に相談しよう。静脈専門医、診療所長(サンディエゴ、La Jolla Vein and Vascular)、『The Vein Book第2版』の共同編集者でもあるニーシャ・バンケ医学博士は、次の疾患を患っている人はコンプレッションソックスを履いて寝るのは避けるよう注意を促している:末梢動脈疾患(動脈が狭くなったり閉塞したりする状態)、糖尿病、ニューロパチー(脳と脊髄以外の神経が損傷している場合) そうしないと、高血圧や足の合併症を発症するリスクがあるからだ。
医師からコンプレッションソックスを履いて寝ることが認められた場合は、まずは圧迫圧が軽度のコンプレッションソックスから始めるとよい、とトラックマンは言う。
圧迫圧は、mmHGまたは水銀柱ミリメートルという単位で区分される。 mmHGは圧力の単位であり、カフ式血圧計で測定した 血管内の圧力の値を表すのに用いられる。 コンプレッションソックスは、足首の位置にかかる圧力の値によって分類される。
トラックマンによると、軽度のコンプレッションソックスの圧迫圧は15~20mmHg。そして20~30mmHgが中程度、30mmHg以上が高度と分類される。 まずは15~20mmHgのコンプレッションソックスから始めて、着用感を確認しよう。
「何よりも自分の体の声に耳を澄ませてください」とトラックマン。 つまり不快感を覚えるようなら、コンプレッションソックスの着用をやめよう。
また、足に痛みやしびれを感じるようなら、コンプレッションソックスを脱ぐようバンケは注意を促す。
文:ローレン・ベドスキー