有酸素運動での持久力を高める7つのワークアウト
アクティビティ
効果的な有酸素運動を活用して、運動能力と心臓の健康状態を向上させよう。
有酸素運動での持久力を高めたいなら、カーディオワークアウトの量と種類を増やそう。目標達成を後押しし、より強いアスリートになれるはずだ。
「心血管持久力とは、持続的な身体活動中に心臓、肺、血管が筋肉に酸素を供給する能力のことであり、心肺持久力、有酸素フィットネス、心肺フィットネスとも呼ばれています」そう説明するのは健康科学博士のマロリー・フォックス。彼女はNASM認定パーソナルトレーナー、およびパフォーマンス向上の専門家としても活躍している。
心血管持久力が高まると、運動能力が強化され、健康状態の全体的な改善にもつながる。 研究によると、有酸素運動での持久力(つまり、身体活動をどれだけ長く続けられるか)の強化に挑戦すると、血圧、安静時の心拍数、LDL(悪玉)コレステロール値を下げる効果も見込めるのだ。
持久力を鍛える方法とは?
マサチューセッツ州ボストンにあるHuman Powered Healthのパフォーマンス生理学者であるレオ・ヒップは、心血管持久力を高める最善の方法は、一貫した有酸素運動のルーティンを確立すること、そしてその際は自分にとって難易度の高い運動を選ぶことだと言う。
もちろん、フィットネスレベルは人によって異なる。つまり、体が慣れていないのに最初から有酸素運動をやり過ぎるのは賢明ではない。 ワークアウト初心者なら、最初の1週間は10~15分程度の短い運動から始めるのがベスト。そうアドバイスするのは、NASM認定パーソナルトレーナーであり、CycleBarのマスターインストラクターであるケビン・サリナスだ。
サリナスは、初心者向けのアクティビティとしてジョギングやウォーキングをすすめている。 「運動時間を伸ばしていけば、徐々に強度を上げられます」と彼は言う。
プロからのアドバイス:トレッドミルでのウォーキングワークアウトの難易度を上げるには、傾斜を増やす、ダンベルを取り入れるなどの方法がある。
上級者の場合、「週に3〜5日、合計150分以上の有酸素運動から始めるのが理想的です」とヒップは言う。 「酸素には、脂肪代謝を刺激してエネルギーに変えるという付加的なメリットもあります。酸素を有効活用するためには、最大心拍数の65〜75%の範囲内で運動する必要があります」これがいわゆるゾーン2トレーニングだ。
早歩き、ランニング、サイクリング、水泳、そしてグループエクササイズのクラスへの参加は、有酸素運動での持久力を向上させるのに最適な方法だ、とフォックスは説明する。 こうした運動や他のカーディオワークアウトに慣れてきたら、難易度を上げてもいい。 「大切なのは、中程度から高強度のアクティビティを長時間行い、少しずつ時間をかけて頻度、強度、時間、種類を増やしていくこと。それによって心血管系を強化できます」と彼女は言う。
この目標に挑戦して持久力向上を目指すうえで覚えておくべき肝心なことは、 自分が一番楽しめる有酸素運動を選ぶことだ。「好きなエクササイズに熱中すれば、その運動を長期間続ける可能性が高まり、運動がもたらす数多くの健康上のメリットも享受できます」とフォックスは言う。
また、特に持病がある場合は、新しい運動ルーティンを始める前に、医療機関に相談することをおすすめする。
持久力を高める7つのカーディオエクササイズ
持久力の強化に役立つ、心拍数を上げる7つのワークアウトを3人のエキスパートが解説。フィットネス目標の達成に向けて自信が高まるはずだ。
1. ウォーキング
「ウォーキングはどんなフィットネスレベルにも対応する、効果的で取り組みやすいエクササイズです」とフォックス。 「関節に不調がある人はプールで歩くこともできますし、初心者の場合は毎日の歩数を増やすことを目標に始めるのがおすすめです」
ヒップはこう指摘する。「さらに、ウォーキングはケガのリスクがとても低い運動なので、心血管系を安全に強化できます」
経験豊富なアスリートであれば、ウォーキングは休養日に行うアクティブリカバリーのメニューとして最適だ、とサリナスは言う。
難易度を上げる:フォックスがすすめるのはインターバルを取り入れたウォーキング。例えば、早足で2分歩き、次に楽なペースで5分歩くといった具合だ。
2. ランニング
フォックスは「ランニングは強力なカーディオワークアウトで、カロリー燃焼を最適化するだけでなく、心臓を強化して健康寿命を延ばすという効果もあります」と話す。
初心者にサリナスがすすめるのは、ウォーキングとジョギングを組み合わせたワークアウトだ。 「ランニングとウォーキングのインターバルを交互に行って基礎を固めましょう」と彼は言う。 「忘れないでほしいのは、ランナーになるのに特定のペースやタイムは必要ないということ。 スピードや距離に関係なく、走りさえすれば誰もがランナーです」
プロからのアドバイス:フォックスは、自分の生体力学(着地位置や歩幅など)に合った高品質なシューズへの投資は必須だと指摘する。そうすれば、安全かつ快適に走るために必要なサポートをシューズから得られる。
3. サイクリング
3人の専門家はいずれも、サイクリングなら爽快な気分を味わいながら関節に大きな負担をかけずに心血管持久力を強化できる、と言う。 「屋外でトレイルを探検するときも、フィットネスバイクでペダルをこぐときも、充実したひとり時間でもグループでのフィットネスクラスでも、サイクリングは心臓の健康を増進する効果があり、心臓に負担をかけないエクササイズとしておすすめです」とフォックスは話す。
ストレッチを忘れずに:長時間サドルに座ったままでいると腰やヒップが凝り固まってしまうので、快適な状態と良い姿勢を維持するために、サイクリングの前後にウォームアップエクササイズやストレッチを行うようヒップは提案する。
4. 水泳
フォックスによると、水泳は負荷が低い運動だが、筋力や心血管持久力を強化する効果があるため難易度の高いワークアウトとして活用できる。 また、ストロークの種類も多いので、さまざまな筋肉群を鍛え、心拍数を上げることができる、とヒップは説明する。
さらなるメリット:「このアクティビティにはリラックス効果もあります。リズミカルで瞑想的という特徴はストレスの緩和やメンタル面の健康改善にもつながります」とフォックスは付け加える。 「私は元競泳選手ですが、水泳のおかげで、ストレスや不快感があるときに呼吸を整えられるようになりました」
5. グループエクササイズのクラス
一緒にワークアウトをしている仲間を見てやる気が出るなら、グループで行うエアロビクス中心のクラスが目標達成の大きな助けになるかもしれない。
「集団でのワークアウトには、ワークアウトの計画を立てる必要がない、モチベーションが生まれる、楽しく交流できるなど、いくつかのメリットがあります」とサリナスは指摘する。 「グループエクササイズにはさまざまな形式があり、筋力トレーニングが含まれているものもあります」
燃え尽きないように注意:グループで取り組むフィットネスクラスの中には、比較するとかなり難しいものもあり、セッションで疲れ果ててしまうかもしれない、とヒップは話す。 「それも良い経験ですが、くたくたになるまで運動するのは週に1、2回にとどめるべきです」と彼は言う。
6. ブートキャンプまたはHIIT
「高負荷インターバルトレーニングとブートキャンプワークアウトは、時間効率に優れた激しいエクササイズであり、心血管フィットネスの急速な改善を期待できます」とフォックスは述べている。 「このワークアウトは、自分自身に挑戦し、すぐに結果を出したい方に最適です」
しかし、ヒップが指摘するように、ブートキャンプとHIITワークアウトは適度な回数に抑えるのが最良の方法かもしれない。 彼は「毎週の運動は、低負荷のエクササイズ中心で取り組むべきです」と言う。 「心血管持久力を高めるためには、週に1〜2回のHIITワークアウトと複数の低負荷ワークアウトの組み合わせが最適です。レースや競技会に参加したいと思っている人には特に考慮してほしいですね」
プロのアドバイス:「ブートキャンプやHIITワークアウトは、基本的なフィットネスレベルに達している人に最適ですが、初心者も安心して参加してください」とサリナスは述べている。 「ほとんどの動きで、初心者のニーズに合わせてインストラクターがいつでも別の方法を提案してくれます」
7. クロスカントリースキー
このウィンタースポーツでは、見事な雪景色を楽しめるだけでなく、心血管系も鍛えられる。 「クロスカントリースキーは、持久力エクササイズの中で最も肉体的な負荷が高いスポーツです」とヒップは言い、非常に多くの筋肉が使われる、と付け加える。
フォックスによると、クロスカントリースキーは心血管持久力を高めるうえで特に有効な手段であるだけでなく、レジスタンストレーニングとしての側面も備えている。
プロからのアドバイス:ワークアウトを安全かつ効果的に楽しむために、必ず適切なサイズのスキー板を装着するように、とヒップはすすめている。
文:シャイアン・バッキンガム