トレーナーに聞く、効果的な自重胸筋ワークアウト
スポーツ&アクティビティ
ワークアウトに詳しい人も、効果的なやり方を改めてチェックしよう。
胸筋を鍛えるには時間と労力がかかる。定期的にワークアウトをしない場合は尚更だ。 力強い胸筋を手に入れるためにバーベルやダンベルなどの道具にお金をかけるのも1つの方法だが、トレーナーによると、その目標を達成するには自重エクササイズでも十分に効果的であり、一銭も払う必要はない。
「自重胸筋ワークアウトは、誰でも必要な道具をすでに持っているという点で優れています」と語るのは、NSCA認定パーソナルトレーナーのダグ・スカラー氏。ニューヨーク市を拠点とするフィットネストレーニングスタジオ、PhilanthroFITの創設者だ。「お金が一切かからず、どこでもできる、定評のある効果的なエクササイズです」とのこと。
また、自重胸筋エクササイズでは「常に腹筋と臀筋も使う」ことになる、とアルバート・マセニー氏は言う。彼は、管理栄養士と C.S.C.S(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)の資格を持つ、SoHo Strength Labの共同創設者だ。 その結果、「筋肉を個別に鍛えるエクササイズよりも全身の筋肉が活性化されます」と同氏は述べている。
これから自重胸筋エクササイズに取り組むなら、最も効果的な正しいやり方を知りたいと思うのが当然だ。 以下では、トレーナーが推奨する自重胸筋ワークアウトについて、知っておくべきことを紹介する。
最も効果的な自重胸筋ワークアウトとは?
最も効果的な胸筋ワークアウトは腕立て伏せだということでトレーナーの意見は一致している。
「昔からの常識を覆すのは難しいでしょう。 このワークアウトが何十年も行われてきたのには理由があります」とスカラー氏。正しい方法で行う腕立て伏せは、胸筋以外の筋肉も使う「完璧なエクササイズ」なのだ。「標準的な腕立て伏せのアレンジバージョンは数え切れないほどあるため、トレーニングに変化をつけやすいワークアウトです」と言う。
マセニー氏によると、腕立て伏せは負荷を調整できるというのもメリットの1つだ。 つまり、昔ながらの腕立て伏せを正しい方法で行うための筋力が不足している初心者であれば、やり方を変えて腕立て伏せに取り組み、必要な筋力を鍛えることができる。 また、自重を使った標準的な腕立て伏せを難なくこなせるようになったら、やり方を変えて負荷を高めるとよい。
この自重胸筋ワークアウトではどの筋肉を使うのか?
腕立て伏せでは、さまざまな筋肉群を使う。 「腕立て伏せは、肩、腹筋、さらには大腿四頭筋にまで効果があります」とスカラー氏は言う。
そしてもちろん、胸筋にも効く。 「腕立て伏せでは、大胸筋や小胸筋などの胸の筋肉を幅広く使います。 また、三角筋や三頭筋などの補助的な筋肉も必要とします」と、マセニー氏は説明している。
腕立て伏せの正しいやり方
スカラー氏によると、筋力を鍛えるには繰り返すことが重要だが、正しい方法で腕立て伏せを行って適切に筋力を高めつつ、けがのリスクを抑える必要がある。
スカラー氏が教える腕立て伏せの正しいやり方は次のとおりだ。
- まず、心地良いヨガマットやカーペットなどの上にうつ伏せになる。
- 肩幅よりやや広く、胸の正中線と平行する位置に手を置く。
- 肘は斜め下45度に向ける。
- 耳から肩、ヒップ、膝、足首までを一直線に保ちながら、腕で体を押し上げる。
- 腕が伸びきるまで、体を押し上げる。
- 肘の角度が90度になるまで、体を下ろす。
- この動作を繰り返す。
スカラー氏によると、フォームが重要だという。 「肘を胴体から下方向へ約45度に向けて、肩への負担を減らし、胸筋と三頭筋に負荷がかかるようにする必要があります。 ヒップの位置にも注意しなければなりません。ヒップが下がると、背中が過度に反り返り、腰痛につながる恐れがあります」とのことだ。
完全な腕立て伏せができるようになるためのワークアウト
これまでに腕立て伏せをしたことがない場合や、腕立て伏せがつらすぎるという場合は、やり方を変えてみるようマセニー氏は勧めている。 「膝をつけて腕立て伏せをしても構いません」とのことだ。 他の点は変えずに、つま先ではなく膝をつけて下半身のバランスをとろう。
また、正しい方法で腕立て伏せをするために必要な体幹の筋力を鍛えるには、プランクが効果的だ。
「プランクを正しいフォーム(臀部を引き締めて、手を床に押しつけた状態)で30秒維持できれば、腕立て伏せに進んでよいでしょう」とマセニー氏は言う。 まだつらすぎると感じる場合は、箱や壁に手をつけて腕立て伏せをするのがおすすめだ。 「こうすれば、体にそれほど重力による負荷がかかりません」とマセニー氏。
また、スカラー氏もこのやり方を勧めている。 「これはフォームとテクニックを練習する良い方法です。 筋力がついてきたら、床でできるようになるまで徐々に手をつける位置を下げていきましょう」とのことだ。
筋力を鍛えるには回数を増やすことをスカラー氏は勧めているが、特に初心者の場合は、頑張りすぎてはならないという。
「まだ体を押し上げる力がない場合は、体を押し上げた体勢から始めて、床に向かってゆっくりと体を下ろしていくとよいでしょう」と述べている。 「このやり方でも同じ筋肉を鍛えることができ、完全な腕立て伏せができるようになります。」
腕立て伏せをもっと厳しいワークアウトにする方法
腕立て伏せをもっと厳しいワークアウトにするには、回数を増やすだけでよいとマセニー氏は言う。 しかし、手元にウェイトやイクイップメントがあるなら、負荷を上げる方法は他にもいくつかある。 ただし、以下の新しい方法を初めて試すときは、補助者やトレーナーに付き添ってもらうとよいだろう。 マセニー氏が推奨する方法は以下のとおりだ。
- 背中にウェイトを乗せる。 平らなウェイトを背中に乗せるだけで、腕立て伏せで持ち上げる重量を増やすことができる。
- エクササイズボールを使う。 エクササイズボールの上に手を置いて腕立て伏せを行うと、安定感が鍛えられる。
- レジスタンスバンドを使う。 マセニー氏は、レジスタンスバンドを肩にまわし、それぞれの端を両手で抑えて負荷を加えた状態で腕立て伏せする方法を勧めている。
筋力を鍛えるのに効果的なその他の自重胸筋ワークアウト
総合的に見れば、最も効果的な自重胸筋ワークアウトは、「継続的に行えるワークアウト」だとスカラー氏は述べている。 しかし、「とても簡単で効果的」な筋トレとして、スカラーはアイソメトリックスクイーズプレスを勧めている。
手順は次のとおり。
- 胸の中央で手を合わせて、指先を前方に向ける。
- 両手の間にあるものを押しつぶすイメージで手に力を入れる。
- 手に力を入れたまま、腕が伸びきるまで手をまっすぐ前方に動かす。 落ち着いて呼吸することを意識する。
- その後、初めの姿勢に戻る。
「軽い本を両手の間に挟むといいです。100ページの本を1ページにするくらいの気持ちで力を入れましょう」とスカラー氏は言う。
その他にマセニー氏は進めるのは、ベアクロールというエクササイズだ。 手順は次のとおり。
- 腕立て伏せの姿勢になる。
- 両膝を床から離し、右手と左脚を動かして前進する。
- 左手と右脚を前に動かす。
- この四足歩行を30秒以上続ける。
文:コリン・ミラー