トレーナーが勧める背筋の自重トレーニング
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公認パーソナルトレーナーの2人が、背筋に効く自重トレーニングを伝授。背筋は全身のパワー、姿勢、バランスを向上させる重要な部位です。
背中の筋肉を鍛えたい人は要チェック。 ジム通いや器具の購入なしでも、背筋に効くさまざまな自重トレーニングが実践できる。
ダニー・ソルトス(NASM公認パーソナルトレーナー)の説明によれば、「背筋に効く自重トレーニングは、自分の体重を使って重力に対抗する筋力トレーニングの一種」と定義される。
ヴァネッサ・リウ(NASM公認パーソナルトレーナー、プレジション・ニュートリション認定栄養士)も次のように説明する。「背筋を鍛えれば、全身のパワー、姿勢、バランスの強化といったさなざまなメリットが得られます。強い背筋は背骨を安定させ、けがのリスクを減らしてくれます」
つまり背筋を鍛えることは、現代人にありがちな上位交差症候群の治療にもきわめて有効なのだとソルトスは言う。上位交差症候群は、コンピューターの前で座りっぱなしになったり、スマートフォンを四六時中のぞき込んでいる生活習慣によって引き起こされる。
「悪い姿勢が習慣化すると、胸と肩の筋肉が硬化して短くなり、背中上部、首、肩の筋肉が伸びて弱くなります。これが上位交差症候群です。 体の前面と背面との間で綱引きが生まれ、さまざまな不具合をもたらします」
以下で紹介するのは、2人のトレーナーがお気に入りの自重トレーニングだ。どれも背筋に効果があり、常態化してしまった体のアンバランスを正すのに役立つだろう。
背筋に効くおすすめの自重トレーニング
1.プルアップ
首の付け根から背中の中央、肩にかけて広がる僧帽筋下部、肩の動きを制御する大きな扇状筋である広背筋、そして体幹の筋肉を鍛えたい。そのためには、背筋を鍛える自重トレーニングのルーティンに、お馴染みのプルアップを必ず追加すべきだ。リウとソルトスの両人が強くおすすめするメニューである。
「プルアップは、最も過小評価されているトレーニングの1つ。強い背筋と体幹を作ってくれます」とソルトスは言う。
リウによると、正しいプルアップの手順は次の通り。「まずは、バーを順手で握ってぶら下がります。 息を吸って体幹の準備を整え、肩甲骨を後ろに引いて下げます。 次に息を吐きながらバーを顎の下に引き寄せます。肘は腰の方に向かって動きます。 体を引き上げたり、下ろしたりするたびに、背筋が動いているのを感じてください」
上下動の4~10回を1セットとして、3セット繰り返そう。
標準的なプルアップができない場合は、ソルトスは補助用のバンドを使うように勧めている。 その際はバンドが輪になるようにバーの中央にかけ、結び目を作って固定する。 次に、バンドに膝や足を入れる(やりやすい方で構わない)。 バンドが太ければ太いほど、補助効果がアップするとソルトスは言う。 筋力が強化されてきたら、細いバンドに代えて難易度を高めてもいいだろう。
2.サスペンショントレーナーロウ
サスペンショントレーナーロウは、プルアップの優れた補完になる。ソルトスいわく、プルアップの従兄弟のような存在だ。
「サスペンショントレーナーに向かって立ち、ニュートラルグリップでハンドルをつかみ、肘を曲げ、ハンドルを胸の方に引き寄せます。 ニュートラルグリップとは、両方の手のひらを向かい合わせにして、肘の通り道を狭くすることです。 このグリップで動くと、広背筋がしっかり使えます」
そこから足を床に平らにつけたまま、腕が完全に伸びるまで上体を後ろに傾けよう。 「アタッチメントの位置に体を引き上げる時は、息を吐きながら肩甲骨を内側に寄せて、体幹を固く保ちます」とソルトスは言う。
12回を1セットとして、この動きを3セット繰り返そう。 背中の上部の筋肉(広背筋、菱形筋、僧帽筋)、上腕二頭筋、体幹、肩、背中の中央部に火照りを感じるはずだ。
3.スーパーヒーロー
ソルトスがこの自重トレーニングを勧める理由は、背中の上部、中央部、下部だけでなく、臀部や体幹にも素晴らしい効果があるからだ。 まずは床にうつ伏せになる。 そして両腕をまっすぐ前に伸ばそう(スーパーヒーローという名前の由縁だ)。
「両腕、両脚、胸を床から浮かせながら、背面全体を内側にしぼり寄せます」とソルトスは説明する。 「2~3秒そのままの姿勢を維持したら、ゆっくり元の姿勢に戻りましょう」
10回を1セットとして3セット行えばOKだ。
4.プルアップスーパーマン
器具がなくても、 問題はない。 次にソルトスが提案するのは、プルアップスーパーマンという名の背筋を鍛える自重トレーニングだ。背中の上部、中央部、菱形筋に効果がある。 「床の上でスーパーマンの姿勢を取ったら、背筋と大臀筋に力を入れて、胸を床から浮かせます。 両腕を前にまっすぐ伸ばしたら、プルアップのイメージで肘を引きつけるようにして体を戻します」
ヨガではおなじみ「コブラのポーズ」と混同しないように注意が必要だ(コブラのポーズでは、背中を反らせて上半身を完全に床から浮かせる)。 スーパーマンプルアップは、ジムで行う広背筋のプルアップを、単純に床の上で真似た運動だ。
こちらは12回を1セットとして、3セット繰り返そう。
5.ベアクロール
ベアクロールという自重トレーニングは、僧帽筋の上部と下部、腰の伸筋、そして体幹に抜群の効果がある。 まず両手両足を地面につけて四つんばいになる。手を肩の真下に置き、膝は地面から少し浮かせよう。
「息を吸って体幹の準備を整えます。 次に息を吐きながら、右腕を前に出しながら左足を前に出して、這うように動きます」とリウは説明する。 「背中の上部の筋肉を意識しながら、前に進みましょう」
この動きを、左右交互に片側10回ずつ3セット。体を制御しながら、ゆっくりとした動きを心がけよう。
文:ジェシカ・エストラーダ