プロテインシェイクを飲む最適なタイミングとは?

栄養

答えは人それぞれ。目標を明確にすることが、プロテインを飲むタイミングの見極めにつながる。ここでは管理栄養士による解説をご紹介。

最終更新日:2023年8月21日
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プロテイン入りシェークを飲むベストタイミング

プロテインシェイクは、ワークアウト後の栄養補給を助けてくれるもので、多くのアスリートにとって欠かせない食生活の一部になっている。 しかし、アスリートの中には、運動の前または一日の始めにプロテインシェイクを好んで飲む人もいる。

プロテインシェイクを飲むタイミングは、自分の目標や生活習慣によって異なる。つまり、決まった最適なタイミングはないということだ。 さらに、タイミング以外にもホエイプロテインや大豆プロテインといった、シェイクに混ぜるプロテインの種類を考慮することが重要となる。

まずは、さまざまな目標や食事の好みに応じた、プロテインシェイクを飲む最適なタイミングについて概要を確認していこう。 だがその前に、タンパク質が健康的な食事に欠かせない要素である理由を確認しておく必要がある。

(関連記事:プロテインパウダーとは? 摂取のポイント

タンパク質が重要な理由

タンパク質は、筋肉の増強と筋肉量の維持に不可欠。筋肉があることで骨や関節の健康を維持でき、代謝を最適な状態に保つことができる。 現在、タンパク質の推奨食事許容量(RDA)は、1日に体重1kgあたり0.8gだ。 しかし、国際スポーツ栄養学会は、定期的にウエイトリフティングや持久力が求められるスポーツのトレーニングをしている人は、筋肉を維持、増強させるため、1日に体重1kgあたり1.4〜2.0gのタンパク質を摂取すべきとしている。

一般的には、血糖値を安定させ、筋肉の成長を助けより長く満腹感を持続させるため、ほぼすべての食事または軽食にタンパク質を含めるべきだ。 アスリートがプロテインシェイクを摂取するタイミングを見極めたいと考える主な理由は何だろうか。 たとえば、アスリートが筋肉の増強や運動能力の向上といった特定の目標に向かってトレーニングしていると仮定しよう。 そういった目標の場合に重要となるのが、決まったタイミングでタンパク質の摂取を優先させることなのだ。

では、プロテインシェイクを飲む最適なタイミングとはいつなのだろう? 結局のところ、タンパク質を摂取すべき最適なタイミングは、(一般論として)一括りで語ることはできない。 そしてプロテインシェイクはタンパク質をすばやくたくさん摂る便利な手段だ。ワークアウト前はエネルギー補給として、終了後はリカバリーに、または、一日のタンパク質摂取量の目標を達成するために、タイミングを選んで摂取できる。

プロテイン入りシェークを飲むベストタイミング

プロテインシェイクを飲むのはワークアウトの前か後か?

タンパク質を摂取する最適なタイミングは、ひと汗かいた直後だと聞いたことがある人もいるだろう。 これは、運動直後にタンパク質を摂取するのが、筋タンパク質合成を高めるうえで最適であり、筋タンパク質分解を上回る時間帯であると一部の研究者が考える、アナボリックウィンドウの最盛期に筋組織や細胞の修復を促進できることを示した研究があるためだ。 この特別な時間は、ワークアウト後30~60分の間に起こると考えられている。 しかし、2013年に『Journal of the International Society of Sports Nutrition』で発表された研究論文など、アナボリックウィンドウの存在自体を否定し、正当性に疑問を投げかけている研究もある。

実際、筋肉の成長に必要なタンパク質の摂取は、エクササイズを行う際にエネルギーが充足しているか否かにより関係している。 たとえば、上記の2013年の研究論文では、朝食前にエクササイズを行う場合は、筋タンパク質合成を助けるためにワークアウト終了後90分以内にタンパク質を摂取することを推奨している。 例外は? ワークアウトの1~2時間前にタンパク質を含む食事を摂取していた場合、運動直後にタンパク質による栄養補給を最優先する必要はないだろう。

一日に必要なタンパク質量を満たしたい場合のプロテインシェイクを飲むタイミング

プロテインシェイクは、食べ物だけでは必要なタンパク質量に届かない人をサポートしてくれる。 必要な量に届かない要因は、特定の食や味の嗜好がある、医学的症状によりタンパク質を大量に摂取する必要がある、低脂肪のタンパク質にアクセスできないなど、さまざまだ。 外出先にも持ち運べて、素早く満腹感が得られる軽食や置き換えの食事を必要としているという場合でも、プロテインシェイクはうってつけだ。 こうしたケースであれば、プロテインシェイクを飲むタイミングは特にこだわらなくて良い。

しかし、朝食や昼食でのタンパク質量が少ない場合は、軽食としてプロテインシェイクが役に立つ場合がある。 栄養素を摂取するタイミングについての2017年の論文では、20~40gのタンパク質を3~4時間おきに摂取し、一日を通して一日分の必要なタンパク質量を確保することを推奨している。 また、タンパク質の豊富な食事や軽食を、一日を通して摂取することで最適な吸収を促し、満腹感を持続させることができる。

プロテイン入りシェークを飲むベストタイミング

適切なタンパク質源の選び方

プロテインシェイクを飲むタイミングと同じくらいか、それ以上に重要なのは、パウダーまたはストアで購入したシェイクに入っているタンパク質の種類だ。 プロテインシェイクやパウダーは、どちらも、植物性または動物性の原材料から作られているが、タンパク質の質は均一という訳ではない。 タンパク質の質は、消化性、バイオアベイラビリティ(どの程度のタンパク質量を体内で利用できるかを示す指標)、必須アミノ酸含有量によって決まる。

ホエイのような動物性タンパク質で作ったプロテインシェイクは、体内では合成できず、食べ物から摂取する必要がある9種類の必須アミノ酸すべてを含んでいるため、完全タンパク質の供給源であると言える。 動物由来のプロテインパウダーは、一般的に高品質だと考えられている。 しかしながら、コラーゲンプロテインパウダーは例外で、9種類の必須アミノ酸すべては含んでいない。

大豆は植物性タンパク質の中で唯一、完全タンパク質と見なされている。 とはいえ、大豆タンパク質だけが植物中心の食事や植物性タンパク質を好む人にとっての最適な選択肢という訳ではない。 植物由来のシェイクの中には、エンドウ、ヘンプ、カボチャ、米のタンパク質を組み合わせて完全タンパク質を作り出しているものがある。

プロテインシェイクを購入する際は、少し時間をとって原材料の一覧に目を通し、質の高いタンパク源であることを確認すること。 最適な原材料は、ホエイと大豆だ。 少しだけ余分に時間をかけて原材料に目を通すことで、最大の費用対効果を得ることができる。

プロテインシェイクやパウダーを購入する際のヒント

プロテインシェイクを購入するときは、ラベルの原材料一覧が最低限に抑えられている商品を選ぼう。 また、添加糖や人工甘味料が入った商品は避けた方がよい。 添加糖はフィットネスの目標に逆行する可能性があり、人工甘味料はおならや腹部の膨張感といった、不快な消化器系の症状の原因となるためだ。

加えて、摂取するプロテインパウダーやシェイクの種類を週ごとまたは月ごとに交換して、タンパク源やアミノ酸の割合を多様化させる方法も検討してみよう。 タンパク源を変えることで、体は多様な栄養素や異なるアミノ酸組成に触れることになる。

最後に、プロテインシェイクは総合的な食生活を補完する役割を担うもので、医師やその他の有資格の医療専門家に指示された場合を除き、プロテインシェイクをタンパク質の最大の供給源にはしないようにしよう。

文:シドニー・グリーン(理学修士、 管理栄養士)

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公開日:2023年8月7日

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