膝に故障がある場合のランニングシューズの選び方

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ランナーは、さまざまな種類の膝痛を経験することがある。 適切なランニングシューズを履くことは、長距離を快適に走れるようにする1つの方法だ。

最終更新日:2024年6月24日
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膝を悪くしたときに最適なランニングシューズの選び方

ランニングにはきわめて多くの精神的・肉体的なメリットがある。実際、『The British Journal of Sports Medicine』のシステマティックレビューによると、毎週50分間走るだけで健康状態を大きく改善し、死のリスクを下げる効果がある。 一方で、ランニングは膝に負担をかける可能性がある。 走行中は、足が着地するたびに体重の3~4倍相当の負荷がかかっている。 ランニングは強い衝撃が繰り返しかかる運動であり、膝痛の原因になりうる。 膝の故障に苦しむ可能性を想定しておこう。

ランナーの多くは、ストレングストレーニングや正しいランニングフォーム、そして十分なクッション性を備えた適切なシューズを履くことで膝痛を克服できる。 最初のステップは、膝痛が生じる原因を特定し、再発防止のための対策を取ることだ。

膝の故障がある場合のランニングシューズの選び方

  1. 1.ミッドソールのクッショニングと安定性

    足が回外位、つまり着地の際に外側に傾きやすいランナーは、衝撃を吸収できるよう、より優れたクッショニングを備えたシューズが必要かもしれない。 しかし、ランニングシューズのクッション性が高すぎても、膝が受ける衝撃が増すことがある。 自分にぴったりなクッショニングのシューズが見つかるまで、いくつかの異なるクッショニングのシューズを試してみよう。

    膝痛の原因が回内位、つまり着地の際に足が内側に傾きやすいことにあるランナーは、メディアルポストなどの構造的サポートがあるスタビリティシューズを選ぶとよいだろう。 衝撃吸収性の高い幅広のスタビリティシューズも、膝への負担を減らす効果があるかもしれない。

    履いているうちに慣れるとは考えずに、必ず自分の足にぴったり合うシューズを選ぼう。 また、新しいシューズでテストランを行い、快適さが続くかどうかを確認すべきだ。

  2. 2.ヒールドロップ

    ランニングシューズのヒールとつま先の高低差をヒールドロップと呼ぶ。ヒールドロップ次第で、着地時の衝撃を受け止める筋肉の位置が変わってくる。 ITバンド症候群、ランナー膝などのほとんどの膝痛には、小さいヒールドロップの方が良い。 しかし、ストライドで足底筋膜の痛みをかばっていることが原因で膝痛が生じているランナーは、大きいヒールドロップの方が良いかもしれない。

  3. 3.サポート性に優れたアッパー

    常に涼しくドライな状態を保ってくれる、通気性と速乾性に優れたアッパーのシューズを探そう。手袋のようなフィット感と目的に合ったサポート性を持つアッパーを選ぶのがポイントだ。 たとえば、Nike FlyKnitテクノロジーは軽量で耐久性に優れ、ソックスのようにフィットする素材で、重要な部分のサポート性とクッショニングに優れている。

  4. 4.軽量構造

    重いシューズやブーツは膝に過度のストレスを与えることがあるので、かかとからつま先まで重さを感じさせないシューズを選ぶことが大切だ。 サポート性とクッショニングのバランスが良く、軽い履き心地のシューズを探そう。

ランニング中の膝痛の原因

膝痛を起こす可能性がある要因はたくさんあるが、ランナーが経験するかもしれない一般的な例をいくつか紹介する。 健康で痛みのない膝を維持するためのヒントやエクササイズはたくさんあるが、膝痛が長く続く場合は、必ず医療機関に相談し、専門医のアドバイスを求めよう。

  1. 1.ランナー膝

    脚の筋肉が弱いまたは固いランナーの場合は、膝頭がずれていることがある。 ずれが生じている膝に繰り返し負荷をかけると、膝頭の下部に痛みを生じるさまざまな症状につながる可能性がある。 ウォーキング、ランニング、スクワットをしているときや階段の上り下りの際に痛みを感じるかもしれない。

    知っておくべきポイント:ワークアウトの前に必ずストレッチを行うこと、脚を強化するトレーニングを行いながら、目標の走行距離を徐々に伸ばしていくこと。 筋肉をバランスよく鍛え、膝の故障を防ぐためには、さまざまな種類のエクササイズを普段のメニューに取り入れることも必要だ。

  2. 2.ITバンド症候群

    ヒップの筋肉が弱いと、ランニング中に腸脛靱帯(ITバンド)に過度な負担がかかることがある。 腸脛靱帯と大腿部または膝の筋肉に摩擦が生まれ、骨が刺激を受けたり、痛みや腫れが生じたりする可能性がある。 ITバンド症候群がある場合は、膝の外側に痛みが出て、動かすと何かがはじける音やカチッという音が聞こえることがある。

    知っておくべきポイント:走る前には必ずウォーミングアップを行うこと、日常的にストレッチを行うこと、日々のワークアウトにヒップを強化するエクササイズを取り入れること。 症状が悪化している間は休んで、ストレッチやフォームローラーの使用を続けよう。

  3. 3.ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

    膝とすねをつなぐ腱は、繰り返し衝撃を受けると炎症を起こす可能性がある。 走り始めや座位から立ち上がるときに、膝頭の下部に痛みを感じるのが一般的だ。

    知っておくべきポイント:まず自分のランニングシューズをチェックして交換時期かどうか確認すること。 ランニングシューズのアーチサポート性は時とともに低下するので、300マイルごとに新しいシューズに交換するのが理想的だ。 これまでの走行距離がわからない場合は、新しいシューズを履いてみて、新しいシューズの方が快適かどうかを確認しよう。 ソールがすり減っていたら、シューズ交換の時期のサインだ。

  4. 4.鵞足炎(がそくえん)

    骨と腱の間には、クッションの働きをしている滑液を含んだ袋があり、滑液包と呼ばれている。この袋に、痛みを伴う炎症が生じることがある。 膝の外傷が原因となることもあるし、ランニングのような激しい運動が原因となることもある。 膝の前方が腫れたり柔らかいこぶができたりすることもあるし、膝そのものが痛くなったり固くなったりすることもある。

    知っておくべきポイント:走るときには、ストレッチ休憩の時間を十分に取ること。走行距離はゆっくりと伸ばしていこう。 鵞足炎は体重が重い人により多く見られるので、適正な体重の維持に努めよう。 問題が再発する場合は、有酸素運動の種類を変えた方がよいかもしれない。

  5. 5.関節炎

    ランニングのみならずウォーキングでも、長年続けると関節軟骨の摩耗を引き起こすことがあり、結果として関節炎になる。 膝の内側の関節に痛みを感じる人が多い。 関節炎があるときは、活動を続けることが大切だ。 抗炎症薬が痛みに効果を発揮する場合もある。

    知っておくべきポイント:加齢に伴う関節炎を必ず回避できる方法というものはないが、適正な体重を維持することと、関節への負担を抑えることは有効だ。

  6. 6.フォームの崩れ

    筋肉によって強さや固さが異なる場合、バランスの悪さが原因となり、ランニング時に膝に痛みが出ることもある。 通常は膝の内側や膝頭に痛みが生じるが、個々のランニングフォームにより変わる。 膝に痛みがあり、原因が特定できない場合は、ランナー専門の理学療法士に相談し、判断を仰ぐとよいだろう。

    知っておくべきポイント:初心者の場合は、トレーニングを始める前にランニングコーチまたはパーソナルトレーナーに相談すること。

  7. 7.過剰回内/回外

    偏平足と膝痛には関連がある。高齢者の場合はなおさらだ。偏平足の人は過剰回内(足が内側に傾く)になりがちだからだ。 足が内側に傾くのは自然で正常だが、偏平足が原因となる膝痛がある場合は、適切なクッショニングを備えたシューズを履いて歩き方を修正する必要があるかもしれない。 同様に、土踏まずが高いハイアーチの人は回外(足が外側に傾く)になりがちだ。 ハイアーチの人は足首に負担がかかりやすく、土踏まずのサポートが足りずに膝痛が生じる人もいる。

    知っておくべきポイント: 適切なランニングシューズを手に入れること。 足が外側に傾くことで痛みが出るランナーは、アーチサポートが高く、クッショニングに特に優れ、トゥボックスが大きめのシューズを探そう。 足が内側に傾くことで痛みが出るランナーは、スタビリティシューズかモーションコントロールシューズがおすすめだ。

よくある質問

ランニングシューズは2足持つべきか?

答えはイエス。 2足のランニングシューズを交互に履くことで、衝撃の大部分を脚のどこで吸収するかが変わってくる。 ランニング後に膝が痛むランナーの場合、これは特に重要だ。 2015年の研究では、ランニングシューズを交互に履くことで、ランニング関連のけがのリスクが39%も下がることがわかった。

膝を傷めずに走るにはどうすればよいか?

けがをしないように、スピードと距離は徐々に上げるようにする。 また、日々のワークアウトにクロストレーニングやレジスタンストレーニングも取り入れよう。脚とコアの筋肉を強化し、さまざまな動きのパターンを学ぶことで、けがに十分に備えることができる。 水分を十分に摂ること、ランニングシューズの靴ひもを締める前にウォーミングアップをすること、日常的にストレッチを行うことも大切だ。

ランニングシューズが膝に影響を与える可能性は?

答えはイエス。 履きつぶしてクッション性が下がったランニングシューズを履くと、膝の故障につながることがある。自分の足に合わないシューズを履くことも同様だ。 膝痛を感じるときは、シューズの交換や痛みを伴わない走りに変えるために、理学療法士に相談することを検討しよう。

公開日:2021年12月23日