エキスパートがすすめるワークアウト後に最適なリカバリードリンク

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認定パーソナルトレーナーと管理栄養士が解説。ワークアウト後のリカバリードリンクをフィットネスのルーティンに取り入れることの重要性とは?

最終更新日:2023年3月8日
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ワークアウトの後に飲みたい、専門家おすすめのリカバリードリンク

汗をかいた直後に栄養を摂取すると、体の回復を促す。つまり、次のワークアウトに備えられるという側面もあるのだ。 リカバリードリンクがトレーニングに有益な理由は、それだけではない。

「ワークアウト後のリカバリーは、グリコーゲンを補給し、運動中に筋肉組織内で発生する微細な断裂を修復するうえで重要です」と、A.C.E.認定パーソナルトレーナーのマリッサ・ミラーは説明する。 彼女はコーネル大学のT. Colin Campbell Center for Nutrition Studiesの植物由来の栄養学に関するコースの修了証を取得している。 ちなみに、グリコーゲンとは体内に貯蔵されたブドウ糖や炭水化物であり、体の主要なエネルギー源のことだ。

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主な電解質成分が汗とともに排泄された後に栄養価の高い食べ物や飲み物を補給すると、「筋成長と筋力の増強が促さると同時に、遅発性筋肉痛のリスクも軽減されます」とミラーは説明する。

エキスパートがすすめる最適なリカバリードリンクを紹介する前に、栄養補給全般に関して検討すべき重要な情報がある。

運動後どのくらい早く栄養を補給すべきか?

栄養補給が早いほど筋肉の回復も早い、とエキスパートと研究者は口をそろえる。

2013年に学術誌Journal of the International Society of Sports Nutrition』に掲載されたあるレビューでは、(回復プロセスを促進する)栄養補給に適したタイミングは、さまざまな要因に左右されると結論付けている。 たとえば、年齢、ワークアウト前の食事サプリメントの摂取の有無などが影響する。

「一般的には、ワークアウトを終えてから15~30分以内にリカバリードリンクを飲むことが推奨されています」と話すのは、理学修士号を持つマンディ・エンライト。 管理栄養士、 公認ヨガインストラクターの有資格者でもある。

全米スポーツ医学協会(National Academy of Sports Medicine)では、ワークアウト終了後30分以内に栄養を補給すると、必要な筋肉組織への血流増加などの要因によって、グリコーゲン補充が促進されるとしている。

エキスパートがすすめる最適なリカバリードリンク

ワークアウトの後に飲みたい、専門家おすすめのリカバリードリンク

エンライトがすすめるワークアウト後の定番リカバリードリンクの1つがチョコレートミルクだ。

エンライトは「低脂肪乳または無脂肪乳とチョコレートシロップを混ぜて作るチョコレートミルクには、エネルギーの補給と筋肉の回復を促す炭水化物とタンパク質が適度な割合で入っているだけでなく、水分補給を助ける電解質も含まれています」と述べ、カリウムやビタミンB群など、回復を助けるいくつかの栄養素も補給できると言い足す。

それを裏付ける科学的根拠もたくさんある。ただし、研究対象となっていたのは牛乳で作ったチョコレートミルクを飲むことの効果のみである点に注意が必要だ。

2012年に学術誌Medicine and Sports Science』に掲載されたレビューによると、運動直後にグラス1杯のチョコレートミルクを飲み、運動の2時間後に2杯目を飲むと、筋肉損傷が軽減された兆候が認められた。

また、2019年に掲載されたレビューによると、牛乳には筋タンパク質合成(筋肉量を増やす自然なプロセス)と水分補給を促す働きがある。 そのうえ、運動後に消費されたグリコーゲンを補給し、筋肉痛を軽減する効果も期待できる。

ワークアウトの種類によってリカバリードリンクを変えるべきか?

ヨガマットやトレッドミルの上で汗を流した場合は、炭水化物とタンパク質の両方を含むリカバリードリンクが最も効果的だ。

体を動かすと、ワークアウトの種類に関係なく、グリコーゲンの貯蔵量が減少するとミラーは言う。

ただし、良質なタンパク質の適度な吸収・代謝量(体が消化・利用できるタンパク質の量)は、1食あたり20~25gだ。 一方、ウェイトリフティング自重エクササイズなど、レジスタンストレーニングを主とするワークアウトの場合は、タンパク質の摂取を優先することが重要だとミラーは指摘する。

(関連記事:筋肉をつけるために本当に必要なタンパク質の量とは?

リカバリードリンクに炭水化物が含まれていることも重要だ。 ミラーは、体重453gあたり0.5g以上の炭水化物を消費するよう推奨している。 たとえば、体重約60kgの人なら1食あたり約75gの炭水化物を含むスナックが適切だと説明する。

ワークアウト中に大量の汗をかいた場合は、「炭水化物やタンパク質だけでなく、水分補給を促す電解質も含まれているドリンク」を選ぶことが欠かせない、ともエンライトは指摘する。 水筒の水に塩を少し混ぜれば、簡単に電解質を補充できる。 ただし、ナトリウム濃度については、医師や栄養士に相談してほしい。

水分補給もお忘れなく

ワークアウトの後に飲みたい、専門家おすすめのリカバリードリンク

ちょっとしたことだが、運動中だけでなく直後にも水を飲むことが重要だ、とミラーは強調する。

「水を飲むことで、体温調節や回復が促進され、筋肉組織を生成し、臓器機能を支える役割を持つ水分の損失を補うことができます」という。

エンライトによると、飲水量の「目安」は運動中に失われた水分の150%。 ワークアウト中に失われた水分を補うだけでなく、その後に汗や尿を通じて排泄される水分も補うことができる、とのことだ。

「ワークアウト中におよそ470mlの水分を失ったら、700mlの水を飲んで補給する必要があります」と言う。 正確に計算したいなら、ワークアウトの前後に体重計に乗り、発汗によって失われた水分量を確認するとよい。

文:エイミー・カペッタ

ワークアウトの後に飲みたい、専門家おすすめのリカバリードリンク

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公開日:2023年3月8日