ミニマリストランニングシューズを購入する際のヒント

購入ガイド

ミニマリストランニングシューズは、基本的な要素のみを備えたランニングシューズだ。 素足で着地するような感覚を求めるランナーがシューズを選ぶ際に注目すべきポイントを紹介する。

最終更新日:2022年1月24日
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ハダシ感覚で履けるミニマルなランニングシューズを買うときのヒント

ミニマリストランニングシューズは、基本的な要素のみを備え、ランニング中に自然な感覚で体と足を自由に動かせるランニングシューズだ。 ソールのクッショニングが少ないため、素足のような履き心地で、地面の感触が足に伝わりやすい。

最適なミニマリストランニングシューズを購入するときには、注目すべき重要なポイントがいくつかある。また、素足のような履き心地のランニングシューズがすべての人に適しているわけではないことも覚えておこう。 素足のようなスタイルか他のスタイルかを問わず、ランニングシューズの用途とメリットを知っておくと、情報に基づいて正しい選択ができる。

ミニマリストランニングシューズ、ベアフットランニングシューズとは?

人間の体は、走るようにできている。 足を守るためにはシューズを履く必要がある。 ただし、走るときにどのタイプのランニングシューズを履くかが極めて重要だ。 ランニングシューズのタイプごとに、アーチサポート、クッショニング、ヒールカップ、オフセット(ヒールとつま先の高さの差異)などの特徴が異なる

また、着用するランニングシューズのタイプによって、ランニング中の生体力学が変化する。 ミニマリストランニングシューズやベアフットランニングシューズは、軽量で柔軟性に優れ、従来のランニングシューズよりもクッショニングが少ないため、素足のような履き心地を実感できる。 このタイプのランニングシューズは、サポート性とクッション性の低いシューズを履いて、地面の自然な感触を味わいたいランナーに好まれる。

ミニマリストランニングシューズやベアフットランニングシューズのメリットは?

2016年に『Sports Biomechanics』誌に掲載された研究では、従来のランニングシューズを履いたランナーよりもミニマリストランニングシューズを履いたランナーの方が前足部または中足部で着地する可能性が9.2倍高かった。 前足部で着地すると、地面反力の減少や接地時間の短縮といったさまざまなメリットを得ることができ、ランニング効率が向上する。

ミニマリストランニングシューズは衝撃を吸収するクッショニングが少ないため、ランナーはランニングシューズのパーツではなく足の筋力と筋組織によって衝撃吸収を補助することになる。 実際に、2019年のある研究では、ミニマリストランニングシューズを6か月間着用したことで足の筋力が60%強化されたことがわかった。

一方、従来のランニングシューズは安定性に優れ、ランニング中にアーチをしっかりサポートする。 一般的に、このタイプのランニングシューズは、高いサポート性を求めるランナー、怪我を克服したいランナー、偏平足オーバープロネーションのランナーに適している。

ミニマリストランニングシューズは、中足部や前足部での着地を促すために怪我防止の効果があると言われている。 『British Journal of Sports Medicine』誌に掲載された研究によると、素足で走るランナーは膝の怪我やかかとの痛みを訴えることが少ない。また、『European Journal of Sports Science』誌に掲載された別の研究では、ベアフットシューズを履くと足首を曲げ伸ばしすることが増えるため、着地の仕方が矯正され、怪我のリスクを低減できることがわかった。

しかし、素足またはベアフットシューズでのランニングについて確かな答えはない。どのランナーも、どの足も同じではないからだ。 ミニマリストランニングシューズやベアフットランニングシューズは、すべての人に適しているわけではない。 以下のヒントを参考にして、どのタイプのランニングシューズが自分に適しているかを見極めよう。

ミニマリストランニングシューズやベアフットランニングシューズを購入する際のヒント

  1. 1.オフセットを確認する

    ミニマリストランニングシューズ、ベアフットランニングシューズ、従来のランニングシューズの違いの1つは、オフセット(ヒールからつま先への傾斜)だ。 オフセットは、ランニングシューズに搭載されているクッショニングの量を示している。 クッショニングは、シューズの土台部分全体に均等に配置されているのではなく、ヒールからつま先に向かって少なくなっている。 クッショニングのスタイルに応じて、ランニング時の着地や足運びが変化する。 そのため、適切なオフセットはランナーによって異なる。

    1. 従来のランニングシューズ
      従来のランニングシューズまたはスタビリティランニングシューズは、オフセットが8~12mmある。 そのため、後足部での着地が促され、豊富なクッショニングによって足への衝撃が吸収される。 このタイプのランニングシューズは、オーバーストライドの防止に役立つ。また、オーバーワークによる怪我(足底筋膜炎など)の予防にも有効だ。
    2. ミニマリストランニングシューズ
      ミニマリストランニングシューズは、その名のとおり、最低限のクッショニングしか備えていない。 オフセットは小さく、4~8mmだ。 クッショニングの少ないランニングシューズを履くと、前足部で着地するようになる。
    3. ベアフットランニングシューズ
      ベアフットランニングシューズは、ミニマリストランニングシューズの一種だ。 一般的に、オフセットがなく、素足に近い感覚で走ることができる。 クッショニングのオフセットがないためフラットな形状で、 少量のクッショニングが後足部から前足部まで均等に配置されている。 柔軟な軽量構造によって干渉を最小限に抑え、ランニング中に足の自然な動きをサポートする。
  2. 2.軽さを重視する

    ミニマリストランニングシューズの魅力の1つは、まず軽量であることだ。 このタイプのランニングシューズを履けば、ストライドのたびに重いシューズを持ち上げる必要がないため自然な足運びが促され、エネルギーリターンが向上する。 これにより、接地時間が短くなり、ストライドの効率が改善される。

    『Sports Medicine』誌に掲載された研究によると、柔軟で軽く、クッション性に優れたランニングシューズを履いて走ると、ランニングエコノミー(ランニング中のエネルギー消費効率)が最大限に高まる。 ミニマリストランニングシューズを履いたときの酸素消費量は、硬いシューズと比較した場合に2.8%改善した。

  3. 3.徐々に履き替える

    クッション性に優れたシューズでずっとランニングしてきた人は、突然ベアフットランニングシューズに替えない方がよい。 怪我を防ぐために、徐々に替えるようにしよう。 ニュートラルなシューズに替える際は、数週または数か月間かけてオフセットのないシューズに慣れる必要がある。 ソールの薄いベアフットシューズには、アキレス腱やふくらはぎの筋肉を鍛える効果がある。ただし、これには時間がかかる。 急にシューズを替えると、筋肉の痛みや張りが生じる恐れがある。

  4. 4.トゥボックスの広いシューズを選ぶ

    一般的に、ミニマリストランニングシューズはトゥボックスが広い。 トゥボックスは、足の指を動かせるスペースがシューズ内にどれくらいあるかを表している。 ランニングシューズのトゥボックスが広ければ、ストライドのたびに足の指を広げることができ、時間が経つにつれて足運びが改善される。 どのタイプのランニングシューズを選ぶにしても、トゥボックスのサイズは重要なポイントだ。

  5. 5.足の状態を把握する

    ミニマリストランニングシューズやベアフットランニングシューズは、誰にでもおすすめできるシューズではない。 足に痛みや不快感が生じたことがある人は、シューズを替える前に足病医などの医師に相談しよう。 足底筋膜炎など、ランナーによくある怪我は、クッション性に優れたシューズを履き、必要なサポート性を確保して痛みを和らげることで対処できる場合が多い。 しかし、ベアフットシューズを履くと、悪化してしまう可能性がある。

  6. 6.地形を考慮する

    どのタイプのランニングをするのかもシューズ選びの重要だ。 さまざまな地形を走るトレイルランニングでは、より多くのクッショニングで足を保護する必要がある。 例えば、トレイルランニングシューズは中足部が硬めで、起伏がある路面でのサポート性に優れている。 素足で走ることやミニマリストランニングシューズで走ることが初めてなら、足がその感覚に慣れるまで、平らな路面で注意しながら練習しよう。

公開日:2022年1月12日