栄養士がすすめる、ワークアウト後に最適な高タンパクの軽食
食事
ワークアウト後にタンパク質を摂取する重要性を登録栄養士が説明し、おすすめの軽食も紹介する。
1日に必要なタンパク質の摂取量は?
一般的に、1日に必要なタンパク質の量は、年齢、性別、活動量、体重、そして当然ながら目的によって異なる。 座り仕事の健康的な成人に必要なタンパク質の推奨食事許容量(RDA)は、1日に体重1kgあたり0.8gだ。 これによると、体重約70kgの成人が1日に必要なタンパク質量はおよそ55gとなる。 ただし、前述のように年齢、性別、活動量などによって異なるので注意すること。
アスリートや活動的な人、エクササイズで筋肉量の増加を目指す人は、1日のほとんどを座って過ごす人よりも多くのタンパク質を必要とする。 学術誌『The International Society of Sports Nutrition』の2017年号に掲載されたレビューによると、定期的なワークアウトをしているほとんどの人は、1日に体重1kg当たり1.4~2gのタンパク質を食事で摂取すれば十分だ。 成人の場合、『Physical Activity Guidelines for Americans』では1週間で150分以上、中程度の負荷でエクササイズを行うことを推奨している。
ワークアウト後にどれだけの量のタンパク質を摂取すべきか、1回の食事でどの程度摂取可能なのかについては、さまざまな意見がある。 学術誌『The International Society of Sports Nutrition』の2018年号に掲載されたレビューによると、1回の筋タンパク質合成(エクササイズで損傷した筋肉をタンパク質で修復するプロセス)に使われるタンパク質の量は、1回の食事で20~40gとのこと。 鶏胸肉の場合、約85gと約170g程度の差に相当する。
ワークアウト後の空腹を満たすのにおすすめの高タンパク軽食は?
ワークアウト後に摂取するタンパク質の細かい量を気にするよりも、その種類と質のほうが重要かもしれない。 言い換えると、完全たんぱく質を含む食品を摂取すべき、ということだ。 タンパク質はアミノ酸で構成されており、完全たんぱく質には、9種類すべての必須アミノ酸が望ましい割合で含まれている。
完全タンパク質を摂れる食品の例:
- 卵
- 魚
- 牛乳
- 赤身の肉
- 鶏肉
- 豆腐
- エンドウ豆
- キヌア
実際、学術誌『The International Society of Sports Nutrition』の2017年号に掲載されたレビューに書かれているように、完全タンパク質の摂取が筋肉の望ましい増強方法であることは広く受け入れられ、推奨されている。
エクササイズ後に簡単に完全タンパク質を摂取する方法は?
プロテインパウダーは、タンパク質をすばやく摂取できる方法として一般的だ。 パウダーを水か牛乳に溶かして飲めば、(ブランドによって幅があるが)15~30gのタンパク質をすばやく手軽に摂取できる。
その他にすばやくタンパク質を摂取できる軽食の例:
- 固ゆで卵
- スライスした調理済み肉
- ギリシャヨーグルト
- ストリングチーズ
- ツナ缶
- ジャーキー
上に挙げた高タンパク軽食の一人前の量は、最終的にどれだけのタンパク質を摂取したいかによる。 例えば、負荷が中程度のヨガクラスに参加する人が必要なタンパク質の量は20g未満なので、固ゆで卵を2つ食べれば十分だ。 一方、1時間の負荷の高いウェイトリフティングをやったばかりの人には、20g以上のタンパク質が必要だ。 ギリシャヨーグルト1人前とナッツ、固ゆで卵1個でまかなえるだろう。
ヴィーガンの人には高タンパク軽食を探すのがやや難しいかもしれない。 ヴィーガン向けのシード類、豆類、ナッツ類、全粒穀物は完全タンパク質ではなく、9種類の必須アミノ酸がそろっていないからだ。 とはいえ、ヴィーガンのライフスタイルを求める人にもタンパク質の摂取は簡単だ。 不完全タンパク質を2種類組み合わせることで、筋肉の回復に必要なすべてのアミノ酸を摂取できる。 その例として、 全粒粉パンのスライスにピーナッツバターを塗ると良い。 この2つを一緒に食べると、12~15gのタンパク質を摂取できる。
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エクササイズの後に高タンパク軽食を食べることは確かに大切だが、他にも重要な栄養素がある。回復に重要な役割を担っている脂肪や炭水化物だ。 2010年に学術誌『Journal of Sports and Medicine』に掲載された論文では、エクササイズ後に摂取した栄養素の種類に注目し、筋肉の成長とグリコーゲン(運動のために筋肉の中に蓄えられている予備の燃料)の生成に与える影響が報告されている。
持久力が必要なスポーツ(長距離ランニング、サイクリング、スイミングなど)をしている人や、ジムでウェイトトレーニングや短い集中的な有酸素運動に取り組んでいる人には、炭水化物とタンパク質の補給が特に筋肉の回復と成長に効果的だ。 タンパク質と炭水化物を手軽に摂取するには、フルーツとプロテインパウダーのスムージー、フルーツを混ぜたギリシャヨーグルト、半分に切ったターキーサンドイッチなどがおすすめ。
ここでも、栄養士に相談して自分のニーズに合わせた食事プランを作ってもらうことを検討しよう。
高タンパク軽食を摂るタイミングはエクササイズ後が最適?
2017年に学術誌『The International Society of Sports Nutrition』に掲載されたポジションペーパーには、エクササイズ直後(または2時間以内)にタンパク質を摂取すると、筋肉の成長が刺激されることが示されている。 一方、タンパク質とエクササイズについて2017年に掲載されたレビューでは、エクササイズが終わって24時間は筋肉が成長するとしている。
エクササイズ後について重要なポイントは、十分な量のタンパク質を食事で摂るということだ。特にワークアウト後はしっかり摂取すること。 高タンパク軽食と一緒に炭水化物も摂取すると筋肉がしっかり回復し、成長する。 もちろん、食事の時間まで空腹を和らげる効果もある。 軽食の種類も、保存が利くものや持ち運びしやすいもの(ジャーキーやプロテインパウダー)から、オリジナルのちょっと手の込んだもの(ヨーグルトパフェや豆腐サラダの小皿)まで、多岐にわたる。 しかし、自分が毎回楽しめる高タンパク軽食を取ることが一番だ。