理学療法士が毎週行うことを推奨するふくらはぎの6つの運動
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ふくらはぎの筋肉は、さまざまな運動やワークアウトに不可欠。 ここでは、フィットネスの目標に関係なく行うべき重要な運動についてエキスパートの見解を紹介しよう。
ワークアウトを長期間行っていると、おそらくふくらはぎの筋肉を意識するようになるだろう。 膝下の後ろ側にあるこの筋肉は、全力疾走やランニング、クロスフィットを行うとき、あるいはジャンプや下半身のすばやい動きを伴う他のスポーツで使われる。
フィットネスの目標が何であれ、筋力や柔軟性のワークアウト中にふくらはぎの筋肉のエクササイズにある程度時間を割くことで長期的なメリットが得られるはずだ。 この記事では、理学療法士たちが、ふくらはぎの筋腱複合体が大切な理由と、全員に毎週行ってもらいたい重要な運動を説明する。
腓筋(ふくらはぎの筋肉)の基礎知識
「脚の後ろ側にある腓筋は、主に腓腹筋とその下にあるヒラメ筋の2つからなります」こう語るのは、キャメロン・ユエン (管理栄養士、認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)だ。 「これらが脚の最下部で一緒になってアキレス腱となり、かかとの下までつながっています」
腓腹筋とヒラメ筋(腓筋)はランニング、ジャンプ、脚力を必要とする他のすべての動きで身体を前進させると、ユエンは述べている。
「腓腹筋は膝と足首という2つの関節をまたがっているのに対し、ヒラメ筋がまたいでいる関節ほぼ足首のみです」とメーガンマリー・デリガス(理学療法士、Russian Kettlebell Challenge認定ケトルベルコーチ)は語る。 どの筋肉が主に使われるかは、動きに左右される。だが、「たとえばランナーが全力を出すためには、ヒラメ筋が必要になります。実は力のほとんどをヒラメ筋が吸収しているのです」
両方の筋肉が連動できるよう、定期的に鍛えることも重要だ。
これらの主要な腓筋はアキレス腱と連動して、足の動きにも関わる。 「ランニングや全力疾走で良いパフォーマンスを発揮するためには、腓筋を強化する必要があります」こう語るのは、メリッサ・プレスティピノ(理学療法士)だ。 「ふくらはぎを強化すると、つま先を伸ばして蹴り出し、加速するときに効果が出ます」
ふくらはぎは、ランニング以外でも、トリプルエクステンション(腰関節の伸展、膝関節の伸展、足関節の底屈)を必要とするあらゆる動きで重要な役割を果たしている、とプレスティピノは述べる。
「ランニングの蹴り出しに加えて、ダンベルスナッチ、クリーンとジャークのようなオリンピック系リフティングなどの瞬発的な動きにもトリプルエクステンションが関わっています。 スクワットジャンプやボックスジャンプなどのプライオメトリック運動もトリプルエクステンションの運動を採り入れています」
ふくらはぎのストレッチと強化が重要な理由
最適なパフォーマンスを行い、けがを予防するために、ふくらはぎを鍛え、伸ばしておきたいものだ。 ふくらはぎを強化する運動を定期的に行うと、ふくらはぎの肉離れによるけがのリスクを緩和し、再発を予防できる。
「縄跳びには、足首が跳ね返るような動きがあります。 飛び込み台がいったん曲がってから跳ね返るようすを思い浮かべるといいかもしれません」とデリガスは述べる。
ふくらはぎにも同じ機能がある。瞬発力を発揮し、跳ね返って元に戻り、すばやい動きを繰り返す。 ユエンはこれを「プライオメトリック能力」と呼んでいる。このような伸縮機能にはストレッチと強化の両方が必要だ。
ストレッチを怠り、ふくらはぎが硬直すると、重大な問題が発生するおそれがある。
「ふくらはぎが硬直していると、アキレス腱が断裂するリスクは高くなります」とプレスティピノは語る。 「加速して走ろうとしているときにふくらはぎが硬直していると、ふくらはぎが文字どおり断裂する可能性があります。これが硬直の最も危険な点です」
断裂までいたらなくとも、硬直は腱炎や炎症の原因となる場合がある、と彼女は付け加えた。
ふくらはぎの硬直は、足底筋膜炎を引き起こすこともある。これはランナーのかかとの痛みの一般的な原因であり、かかとの骨からつま先までをつなげている組織の炎症により引き起こされる。
「アキレス腱は足下を覆い、足底筋膜、つまり足下の繊維組織とつながっています。 硬直したふくらはぎはアキレス腱を緊張させ、それが筋膜を緊張させるのです」とプレスティピノは述べる。 「ふくらはぎの柔軟性を維持することで、筋膜がゆるみます」
裏を返せば、ふくらはぎの筋肉を強化して伸ばすと、ウォーキングの向上やランニングのスピードアップが可能になると、デレガスは語る。
「筋肉の伸縮性と筋力が増すと、労力を節約できます。求めているのは、まさにこれです。 各ステップのターンオーバー時間が短くなり、効率的になり、スピードアップできるのです」と彼女は述べている。
エキスパートが伝授する、ふくらはぎの運動ベスト6
ストレッチと強化の動きを組み合わせてルーティンに組み込むと、健康的な可動域を確保し、ランニングや下半身の他の動きをパワーアップするために必要なふくらはぎの筋力と伸縮性が確実に得られるだろう。
以下の運動は、自宅やジムで行うことができる。 デレガスは、可能であれば週に3回ほど、これらの運動を筋力トレーニングに組み込むことを推奨している。 運動を分けて行っている場合は、下半身トレーニングの日にふくらはぎの運動を行うことを、ユエンは勧める。
「最低でも週に1回は、これらのトレーニングを必ず行ってほしいです」と彼は語る。 ふくらはぎが非常に硬いようなら、毎日少しストレッチすることを検討してみよう。
シューズを履くか否かを考えている場合、シューズを履いても害はないが、裸足の方がメリットの高いことを2人のエキスパートは請け合っている。
「ランニングシューズを履いたままでも、まったく問題ありません。 ただし、裸足にもメリットがあります。 裸足で歩くと足に負荷がかかり、地面からの反発力が大きくなり、足の動かし方が変わります」とユアンは語る。 「シューズを履いたトレーニングと履かないトレーニングを混ぜるとよいでしょう。不慣れな運動であれば、シューズを履くケースを多くします」
1.立ったままで行うふくらはぎのストレッチ:脚を前後に開く
これは従来からあるふくらはぎの運動で、筋肉のストレッチが簡単にできる。 後ろの脚を伸した状態では腓腹筋に効く一方、曲げればヒラメ筋に効く、とユエンは述べる。
やり方:前後に脚を開き、壁に向かって立つ。 肩の高さで両掌を壁につける。 後ろ脚をまっすぐ伸ばしたまま、前脚の膝を曲げて、ゆっくりと壁の方に身体を倒す。後ろ脚のふくらはぎが伸びているのを感じるように。 ヒラメ筋をさらにストレッチする場合は、膝の力を少し抜いて、かかとを床から離す。
20~30秒間キープする。 2、3セット行う。
2.腓腹筋かかと上げ
かかと上げは、腓筋の筋力をつける簡単な方法だ。 こちらも両膝を伸ばすことで、腓腹筋に効果が集中する。
やり方:足をそろえて立ち、両膝をまっすぐ伸ばす。 つま先立ちになり、親指に体重をかけるようにする。 次に、両方のかかとを下げて床に戻す。
20~30回連続を2、3セット行う。
3.ヒラメ筋かかと上げ
このかかと上げでは、両膝を曲げてヒラメ筋に効果を集中させる。
やり方:足をそろえて立ち、両膝を少し曲げ、その状態を維持する。 つま先立ちになり、親指に体重をかけるようにする。 次に、両方のかかとを下げて床に戻す。
20~30回連続を2、3セット行う。
4.スキーヤー
「この運動は、ふくらはぎの筋腱複合体全体に間接的に負荷をかけますが、具体的には足の小さな内在筋をターゲットにしています」デレガスはこう語る。 「そこの回復力と筋力をつけて、腓筋が機能できるようにします」
やり方:足をそろえて立ち、両膝と腰をまっすぐ伸ばす。 スキージャンパーをイメージして、つま先が床をつかみ、かかとが床から離れそうだと感じるまで、身体を少しずつ倒す。 前に倒れることなく、両脚の筋肉が少し疲れるまでこの状態を維持する。
20秒間キープする。 5セット行う。
5.片脚または両脚のポゴジャンプ
脚がポゴスティック(ホッピングの棒)だと想像する。
やり方:足をそろえて立つ。 母指球に体重をかけて、跳ぶ。 デレガスは、縄を使わない縄跳びだと考えればよいという。 膝をロックさせない一方で、跳ぶときにできる限り膝が曲がらないようにする。 最初は両脚同時に行い、次に片脚で行い、バランスを取ることに挑戦してみる。
10秒間跳び続ける(片脚で行う場合はそれぞれの脚で)。 5、10セット行う。
6.Aランまたはハイニー
Aランは基本的にその場でのランニングまたはハイニーだといえる。「俊敏性、左右の動き、ふくらはぎの伸縮性に効果があります」とデレガスは述べている。
やり方:その場でのランニングを開始する。最初は両膝を低い状態にし、次に膝を胸の方に上げるように高くしていく。腕を勢いよく振りながら、その場でランニングする。
10秒間続ける。 5、10セット行う。
文:エイミー・マルトゥラナ・ウィンデル(ACE公認パーソナルトレーナー、PRONatal産前産後エクササイズスペシャリスト)