筋肉増強に最適な食材とは?
食事
筋肉増強を促すための、ウェイトトレーニングの前後におすすめの食事について知っておこう。
コンテストを目指すにしろ、単なる趣味にしろ、スポーツとしてボディビルディングに取り組むアスリートは、食事に特に注意を払う必要がある。 ボディビルディングとまでいかずとも、ただ筋肉を鍛えたい場合も同じだ。 結果が現れるかどうかの鍵を握るのはウェイトトレーニングだが、食事の重要性もほぼ同等。
筋肉増強に最適な食事プランを組み立てるには、トレーニングの進捗状況を考慮して、筋肉量を増やすのに最適な食材を選ぶ必要がある。 また、目標達成を遅らせるような食材は控えるべきだ。
筋肉をつけるための栄養の基本
ボディビルダーの最終目標は、筋肉量を増やしつつ(筋肥大)、くっきり割れた筋肉を作ること。 そのためには、体脂肪を減らす必要がある。 シンプルなことだ。 単純な話に聞こえるかもしれないが、筋肉量を増やしつつ、同時に体脂肪を減らすのは、決して簡単なことではない。
1.増量期と減量期
脂肪を落としながら筋肉をつけようとすると、ときに困難を伴う。 ボディビルダーの多くは(特にコンテストに参加する場合)、トレーニングのフェーズを2つに分け、交互に繰り返しながら目標達成を目指す。
- 増量期の目標は、筋肉量をできるだけ増やすこと。 この期間はカロリーの摂取量を増やすため、体脂肪も多少増える可能性がある。 増量期は、一般に初心者では6~~12週間だが、コンテストを目指す多くのボディビルダーでは約4~6か月に及ぶ。
- 減量期の目標は、筋肉量を維持して脂肪を落とすこと。 目標の達成に向けて慎重に摂取カロリーを減らしつつ、筋肉量を維持するために十分なタンパク質を取り続ける。 減量期は、脂肪がついていなければ数週間で済むが、目標とする割れた筋肉を獲得するために脂肪を落とす必要がある場合は、数か月を要することもある。
2.カロリー摂取量
研究者の従来の見解では、増量期にはカロリー摂取量を15%増やす必要があるとされてきた。 しかし、最近の研究を見ると、この数値に幅を持たせても良さそうだ。
2019年に発表された研究の再検証では、現状維持に必要なカロリーより10~20%くカロリーを摂取することが推奨されている。 一方で、アスリートのレベルに応じて細かい数値を設定し、体重の増加率や体組成の変化に基づいて調整すべきであるとも指摘されている。 研究者によると、上級ボディビルダーは、カロリー摂取の増加を低めに設定すべきだという。
では、どのように設定すればよいだろうか。 自分の筋肉量の維持に必要なカロリー摂取量をすでに把握している人もいるだろう。 まだ知らないという場合は、2週間以上、食事の内容を細かく記録するとよい。 体重と体組成を維持できていれば、その2週間に摂取したカロリーの量が、維持に必要なカロリー摂取量になる。
全米スポーツ医学協会(National Academy of Sports Medicine、NASM)のウェブサイトで公開されているオンラインのカロリー計算ツールを利用してもよい。 ただし、こうした計算ツールで提示されるのは概算値に過ぎないことは覚えておこう。
査読済みのいくつかの研究によると、増量期にボディビルダーが摂取する1日あたりのカロリーは、男性の場合は約3,800カロリー、女性の場合は約2,400カロリーであると示唆している。 しかし、これはあくまでも平均値に過ぎない。 目標値は、個々の体重に応じて設定する必要がある。
増量期の1日あたりのカロリー摂取量として、スポーツ生理学者が一般的に示す数値は、体重1kgあたり平均45カロリー。これで、一週間ごとに体重の0.25~0.5%の増量を達成できると推定される。3.主要栄養素のバランス
摂取する主要栄養素のバランスに加え、カロリーの質も大きな違いを生む。 複数の専門家が推奨する主要栄養素のバランスは、炭水化物55~60%、タンパク質25~30%、脂質15~20%というもの。 一方、個人の状況に応じて調整したほうが良いとアドバイスする専門家もいる。
たとえばある公開報告書では、タンパク質を中心に主要栄養素の摂取バランスを組み立てることが推奨されている。具体的に言うと、タンパク質の最適な摂取量を見積もったうえで、残りのカロリーの15~30%を脂質から摂取し、 最終的に余ったカロリーを炭水化物に割り当てるというアプローチだ。
増量期には、タンパク質の摂取が最も重要であることを忘れてはならない。 筋肉をつけ、維持するには、アミノ酸が必要だ。 アミノ酸は分子であり、結合してタンパク質になる。 20種類あるアミノ酸の多くは体内で作られる。 しかし、必須アミノ酸と呼ばれる9種類のアミノ酸は体内で合成されないため、食事から摂取する必要がある。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)による最新のガイドラインでは、筋肉をつけ、維持するのに必要なタンパク質の1日あたり摂取量は、通常、体重1kgあたり1.4~2.0gとされている。
他方で、必要量より多くのカロリーを摂取する増量期は、1日あたりのタンパク質摂取量を体重1kgあたり1.6~2.2gとし、1日の間に均等に分散させて摂取することを推奨しているガイドラインもある。 減量期などカロリー摂取量を減らすときであっても、タンパク質の摂取量を増やすよう(1日あたりの摂取量で体重1kgあたり3.0g以上)ほとんどの専門家がアドバイスしていることは覚えておくべきだ。
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では、どのような食材を選べば栄養とトレーニングの目標を達成できるだろうか? 以下のような、タンパク質を多く含み、栄養価の高い食材を中心に食事プランを組み立てよう。
- 乳製品:牛乳、ヨーグルト、カッテージチーズをはじめとするチーズなど
- 緑の濃い葉物野菜:ケール、ホウレンソウ、マスタードグリーン、チンゲンサイ、ルッコラ、フダンソウなど
- 卵:全卵および卵白
- 体に良い脂質:アボカド、ナッツバター、植物性の油(たとえばオリーブオイルやサンフラワーオイル)など
- 赤身の肉と鶏肉:牛肉(サーロイン、ヒレ、ひき肉)、鶏肉(鶏や七面鳥の胸肉やもも肉)、豚肉(ヒレや骨付きロース)など
- 豆類:キドニービーンズ、ブラックビーンズ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ウズラマメなど
- 植物性のタンパク質:ナッツ、シード、枝豆、豆腐など
- 魚介類:サケ、マグロ、ホワイトフィッシュ、ホタテ貝、エビ、オヒョウ、マスなど
- デンプン質の多い野菜:ジャガイモ、サツマイモ、カボチャなど
- デンプン質の少ない野菜:ブロッコリー、アスパラガス、ピーマンなど
- 果物:バナナ、ベリー類、ザクロ、かんきつ類など
- 全粒穀物:キヌア、大麦、スペルト小麦、玄米など
ホエイプロテインパウダーやクレアチンなどのサプリメントを食事に取り入れてもいいだろう。 筋肥大を目指すのなら、通常、プロテインパウダーよりもホエイプロテインのほうが望ましい。ホエイプロテインに含まれる必須アミノ酸は体に吸収されやすいためだ。 また、クレアチンのサプリメントを取ることで、運動後のリカバリーを促し、アスリートのけがを予防できることも、研究で明らかになっている。
増量期に避けるべき食材には、高カロリーだが栄養価の低いものが挙げられる。 飽和脂肪酸や塩分を多く含み、タンパク質含有量が少ない食材(たとえばフライドポテトなど、油で揚げた食べ物)がこれに当たる。 そのほか、糖類が添加された食べ物や飲み物も避けたほうが良い。具体的には、糖類を含むソーダ、コーヒー飲料、キャンディー、アルコール(過度な摂取は控えるべき)などだ。