早起きが健康にもたらす4つのメリットを医師が解説
健康とウェルネス
早起きがもたらすメリットを知れば、二度寝の誘惑に打ち勝てるはず。
自然に早起きする人にも、仕事の都合で早起きが必要な人にも、早起きは健康上のメリットをもたらしてくれる。 ホルモンバランスを整え、うつ症状も改善。早朝に目覚まし時計をセットすべき理由について、専門の医師が解説する。
早起きのメリット
早起きによってもたらされるメリットには、生物学的なメリットと行動学的なメリットの2種類がある。 そう語るのは、デビッド・ブレンデル医学博士だ。 どちらのメリットも、快調な毎日(昼も夜も)を過ごす助けになる。
1.早起きがサーカディアンリズムを整える
太陽の光は、最高の目覚ましだ。 日光を活用すれば、長期的に質の高い睡眠覚醒スケジュールが手に入る。
「朝いちばんに日の光を浴びることで、サーカディアンリズムを整えることができます」とアニー・ミラー(認定臨床民生委員)は解説する。 サーカディアンリズムとは、光の変化に反応しながら24時間サイクルで循環する体内時計のこと。「目に入った光が脳への合図となって、活動する時間だと伝えてくれます」とミラー氏は言う。
早朝に光を浴びて一日をスタートさせれば、暗くなったときもスムーズに眠れるようになる。 「朝いちばんに光を浴びることは、朝だけでなく夜の合図としても機能します。そのため眠りに入りやすくなるという効能があります」とミラー氏は語る。
2.生産性アップも期待できる
「一般的に、早朝は他の時間帯よりも働く意欲を感じさせます」とミラー氏は言う。
その理由のひとつは、体が最高の覚醒状態にある時間帯を活用できる点だ。 ストレスホルモンとして知られるコルチゾールが、覚醒状態を促してくれる(ブレンデル博士談)。
コルチゾールは一日を通して自然に増減するホルモンだが、ほとんどの人は朝8時頃にピークを迎えるのだとブレンデル博士は指摘する。 「コルチゾールは、覚醒と注意力を促進する働きがあります。この生物学的な変化に合わせて行動や仕事のスケジュールを調整すれば、健康と生産性を極大化できるのです」とブレンデル博士は説明する。
3.早起きで慢性病のリスクを抑制する
4.早起きは心の健康にも良い
早起きでサーカディアンリズムを整える習慣には、よく眠れた実感以上の恩恵がある。 気分の波を調節し、メンタルヘルスの改善に役立つ可能性もあるのだ。 研究によると、サーカディアンリズムの乱れは、大うつ病性障害や不安障害といった気分障害の症状を悪化させる可能性がある。 ここで注意したいのは、気分障害が睡眠障害を引き起こし、睡眠障害が気分障害を引き起こすという相関関係だ。
「うつ病の治療法のひとつが、自然の明暗サイクルに合わせた睡眠パターンを確立する方法です」とブレンデル博士は説明する。
博士はうつ病患者に対し、症状を緩和させる行動の最たるものが好ましい睡眠習慣の確立だとアドバイスしている。具体的には、体内時計に合わせて睡眠を取り、早朝に日光を浴びるという習慣だ。
「臨床的な観点から見ても、早寝早起きを習慣化できた人は、メンタルヘルスが改善する傾向があります」とブレンデル博士は指摘する。 この主張を裏付けているのが、84万人を対象にした2021年の研究だ。早起きを好む人は、大うつ病性障害のリスクが23%も低いことが分かっている。
一貫性が重要
「一番大切なのは、起きる時間を一貫させることです」とミラー氏は語る。 「決まった時間に起きる習慣を続ければ、夜も眠りに入りやすくなります」
毎日の起床時間を守ることは、「睡眠衝動」と呼ばれる機能の構築に役立つ(ミラー氏談)。 「睡眠衝動は、夜になると眠くなる体の機能のこと。 睡眠衝動は起きている時間が長いほど大きくなるため、早起きが役に立つと言えます」
一貫性が大切なのは、起床時間に限ったことではない。運動や食事などの健康習慣を構築するには、一貫した継続性が大切だ。 「患者さんには、規則正しい睡眠の重要性を説いています。 規則正しく眠ることが、体のリズムを整えて健康的な習慣を作る土台となるのです」とブレンデル博士は言う。 「適切な睡眠スケジュールを守れば、健康的な習慣を楽に構築できるようになります。そして健康的な習慣が構築できれば、適切な睡眠スケジュールを確立する助けになります」
疲れが原因でワークアウトをさぼったり、好ましくない食事を選んでしまう人は多い。
「生きていく中で、何かひとつだけ守るべき習慣を作るとしたら、まずは良い睡眠習慣の構築から始めましょう」とブレンデル博士は結論づける。 その成功の鍵を握っているのが、早起き習慣なのだ。
文:エイミー・マーツラナ・ウィンダール