水泳のメリットとは?
スポーツ&アクティビティ
全身の筋肉を動かす運動である水泳には、気持ちをリラックスさせる効果がある。
水泳は優れた有酸素運動の一つだが、ランニングやウォーキングのように手軽に取り組める運動とは言えないかも知れない。 精力的に(そして安全に)ワークアウトに励むには、監視員がいるプールを探し、泳法をいくつか習得する必要があるからだ。
他のエクササイズと比べると多少の準備が必要だが、水泳にはウォーキングやサイクリングといった他のアクティビティにはない独自のメリットがある。
水泳で得られる健康上の5つのメリット
水泳は、ハイキングやサイクリング、ランニングなどで得られる感覚的体験とはまた違う、泳ぐという運動ならではの爽快な気分が味わえるスポーツだ。 そして実は、他のエクササイズ以上に、数多くのプラスの効果を心身にもたらしてくれる。
1.全身を鍛える
他の持久力トレーニングとは違って、水泳は全身を使う有酸素運動だ。 腕の筋肉(二頭筋や三頭筋)で水をかき、肩(三角筋)や背中(広背筋)の筋肉でストロークのパワーとスピードを高める。 コアで水の中を効率良く進むための姿勢を保ち、大臀筋や脚の筋肉を使ってキックし、推進力を生む。
ウェイトリフティングと全く同等の筋力トレーニング効果をもたらすわけではないが、泳ぐときに抵抗を高めることで筋肉を鍛えるという方法はある。 たとえば、多くのスイマーが利用するパドル。これを手に装着すれば、水の抵抗が高まり、強く効率的なストロークを身につけることができる。
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水中でリズミカルな動きを繰り返すうち、それが瞑想のように感じられてくるという人は多い。 瞑想状態をもたらす水泳を、マインドフルスイミングと呼ぶ人たちもいる。
Total Immersion Swimmingの創設者であるテリー・ラクリンは、『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューで、「プールを往復するだけのルーティンが、心を意識して泳ぐことで、運動を伴う瞑想に変わります」と説明している。
そして、水の中での自分の存在を意識し、呼吸とストロークの動きに集中することを心がけるよう彼はアドバイスする。 感謝の気持ちを胸に、泳ぎの音に耳を澄ませば、メンタルヘルスを向上させる効果がさらにアップするとも語る。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)の『News in Health』に掲載された記事によれば、このように心に意識を向ける行動はストレスマネジメントや、重い病気への対処、不安感やうつ症状の軽減に役立つという。 マインドフルネスを実践することで、リラックスするスキルが向上し、人生に対する熱意や自己肯定感が高まるという報告も寄せられている。
3.体脂肪を落とす効果が期待できる
健康的な食事とともに水泳を習慣に取り入れることは、身体組成(筋肉と脂肪の割合)の改善につながる。 ただし通常は、水中での気軽なワークアウトよりもハードな水泳に取り組むほうが、高い効果が得られることは覚えておくべきだろう。
たとえば、2015年に学術誌『Journal of Exercise Rehabilitation』で発表された研究では、12週間にわたり、強度の高い60分間の水泳に週3回取り組んだ中年の女性は、体脂肪がほぼ3%減少している。 さらに、柔軟性、心肺系の持久力、血中脂質にも改善が見られた。
4.安全かつローインパクトなワークアウトである
対戦相手との接触があるスポーツや個人競技の人気アクティビティの多くは、衝撃により筋肉や骨格にけがを負うリスクを避けられない。 足が路面から受ける衝撃や、他の選手や器具との接触が、打撲傷や骨折、またはそれにとどまらない大けがの原因になることがある。 その点では、水泳の環境は安全だ。
浮力が働いて体重の影響が軽減される水中での運動はローインパクトになると考えられるため、水泳ではこのようなけがのリスクを最小限に減らせることが、2015年に『Journal of Exercise Rehabilitation』に掲載されたレビュー論文で示されている。
とはいえ、けがのリスクと全く無縁とは言い切れない。 水泳の強度によっては、上腕二頭筋腱炎や肩腱板断裂を引き起こす可能性がある。 プールでの水泳には、けがのほかにもう1つリスクがある。
たとえば、2014年に世界保健機関(WHO)の刊行物『Bulletin of the World Health Organization』に掲載されたレポートの説明によれば、プールなど水で遊ぶレクリエーション施設での水泳には、おぼれたり、伝染病にさらされたりするリスクがある。血液や体液を介して、また空気感染によって人から人へと広がる感染症のリスクがあるのだ。しかし、悲観することはない。 このレポートの著者は、プールやスパに適切な安全基準を設ければ、このリスクはかなり減らすことができると述べている。
5.血圧の改善につながる
水泳には、高血圧になるリスクを低減させる効果がある。 2018年に『European Journal of Preventive Cardiology』に掲載された研究論文によると、すでに高血圧と診断されている人が水泳をした場合、血圧が下がる可能性があるという。
具体的なケースが『BioMed Research International』で発表された2014年の研究だ。軽度の高血圧と診断された女性62人を、強度の高い水泳を行うグループ、強度が中程度の水泳を行うグループ、そして何もしない対照群へと無作為に分けて比較した。
その結果、強度が高い水泳と中程度の水泳を行ったグループは、収縮期血圧(最高血圧)、安静時心拍数、体脂肪率が低下した。 一方、対照群には変化は見られなかった。
血圧を下げるほかにも、水泳には健康上のメリットが期待できる。 『International Journal of Environmental Research and Public Health』で発表された2020年の研究では、冷たい水で水泳をすると、中性脂肪のトリグリセリドが減少し、インスリン感受性が高まり、気分障害や上気道感染症のリスクを減らせることがわかった。
水泳に関するよくある質問
水泳を始めるにはどのような装備が必要か?
ほとんどのスイマーは、競泳用の水着を着用する。 競泳用水着は、縫い目がフラットで摩擦を防ぐ、すっきりとしたデザインのものが多い。 水中での摩耗に耐えられる性能も、水着選びの重要なポイントだ。 たとえば、Nike HydraStrong素材の水着は耐久性が高く、使用頻度が多い場合に頼りになる。
また、薄型デザインで柔軟性の高いゴーグルと、流水抵抗を低減するシリコン製のスイムキャップの購入をおすすめする。 アウトドアで泳ぐ場合、冷たい水に対応するウェットスーツを着るアスリートもいる。 予算内に収まるようなら、プルブイやハンドパドルといったトレーニングに役立つ器具を購入するとよいだろう。
水泳をワークアウトに取り入れる前にレッスンを受けるべきか?
正式なラップスイミングは未経験という場合は、資格を持った水泳コーチに何度か教わるとよいだろう。 トレーニングを受けた専門のコーチから適切なストロークの動きを教われば、効果的なワークアウトができるようになる。 正しい泳法を身につけることで、けがのリスクが減り、水泳をもっと楽しめるようになるはずだ。